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第1話 運命の出会い

目に関する少々のグロ描写があります

激しいものではありませんが、苦手な方は気をつけて下さい

いっけなーい!遅刻遅刻!

私は久遠美春。どこにでもいる普通の高校3年生。その日は少し寝坊をしてしまったのだ。朝はご飯派の私は茶碗と箸を持っていつもの道を走っていた。

「このままじゃ学校で茶碗を洗う時間もないかもしれない…」


角を曲がろうとしたその瞬間、よく見ずに飛び出したせいで何かにぶつかった。油断していた私は受け身を取ることも出来ず、前に倒れこんでしまった。すると柔らかいが、気持ちの悪い感触が手に伝わる。


「痛い…キャッ!?」


そこには綺麗な金色の長い髪をした男性とも女性とも言えない人が私の下敷きになって倒れていた。

そしてその人の右目には私のお箸が突き刺さっていたのだ。あまりの衝撃と恐怖に謝罪することも出来ず、固まってしまう。腰が抜けて立ち上がれない私を見下ろしながら、その人は立ち上がり刺さっていた箸を抜いた。思っていたほど血は出ていない。少し安堵する。


しかしその左目からは何の感情も読み取る事は出来ない。すると右目を片手で覆ったままその人は走り去ってしまった。だが、立ち去り際にその人が一瞬笑ったような気がしたのはただの私の勘違いだろうか


あの後、一日中私は上の空だった。

それも当然だ、あんな出来事があった後平然としていられるほど私もメンタルが強いわけではない。特にあの人の右目のことが心配でならなかった。箸が突き刺さったのだ、失明してしまっている恐れがある。もし、そうなったら、私はどうしたらいいんだろうか。


もう人生終わりじゃないのか?

そんなことを考えながら行きとは正反対にトボトボと帰り道を歩いた。家まで一直線に見通せる所まで来て、私は気がついてしまった。


そう、いるのだ例の人が。私は軽くパニック状態に陥った。どうしよう、逃げてしまおうか?だが、もしあの人がずっと家の前で待つつもりなら、親と鉢合わせするかもしれない。冷静に考えてみれば、親にはいずれ必ず説明しないといけないのだがその時はそこまで頭が回らなかった。それにしてもあの人は何故私の家を知っているのだろう。ぶつかった所は家を特定するには少し距離がありすぎる。私は想像より遥かに大変な人にぶつかってしまったのではないか。そこまで考えて足がすくんで動けなくなってしまった。


呆然と立ち尽くしていると、その人と目が合う。右目にピンクでフリルのついたファンシーな眼帯をしていることにようやく気がついた。顔に恐怖が浮かぶ私に向かってなんと笑顔で手を振ってきた。頭が回らず引きつった笑みを浮かべつつ手をあげる。もう逃げることはできない。私は覚悟を決めて、家の方へと歩き出した。


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