表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/34

トーゴ 遺跡調査3

碁盤目の道とまではいかないが、確かに長方形を思わせる通路だ。

しかも縦横に道が繋がっているが、たまに斜めにのびる道だとか行き止まりだとか鬱陶しい。


たいして広くもない道を進んでいると横道が現れたのだが、そこを覗くと5mほど先で崩落して完全に埋まっていた。

灯りを上下に動かし隅々まで調べるアソラル。

・・・・・俺には調べる要素が見つからないんだけど、何か気になることがあるのか?

真似してみる。

横道は狭く幅は一人が通れるくらいしかなく、壁にレリーフは無く、床をみても地下2階への階段は無い。

うん、ちょっと分かってきた。ここには階段がない!



「ここ、地上に続く階段があったみたいです。完全に土に埋もれてしまったんですね。一応地上にでたら探してみましょうか?」



上かよ!



「なんでわかんの?やっぱなんとなくか?」



「壁のこの模様です。入口付近に必ずある模様で、8つの入口の様々な模様の中にもコレがありました。勝手な憶測なのですが、出入り口を示す文字ではないかと」



「・・・・・情報公開を早めに頼むよ」



「文字だと思うんですが読めないので。ただの偶然かも知れませんし」



困った顔をするアソラルの肩を組み、頭を下げさせ目線を同じ高さにする。

トーゴの方が身長が低いから、真剣に話したい事の場合、目線を同じにしたくて無理矢理肩を組む。



「なあ、アソラル。今、俺たちはアンタに全部任せてるんだから、そんな細かい事なんか気にせずにやれ。その模様も俺らに教えてくれ。何があっても皆がいるんだぞ」



ゾレスの言葉に少し悩んだ様子をみせたアソラル。



「それでは何が起こってもゾレス達を信じます。それと、気になることがあるので早く地下1階の地図を完成させたいので協力をお願いします。」



「───まだあるのか、非公開情報」



「言わなくていい事ってあるじゃないですか。それを言うのは、実は面倒なことがあると言う事で、私は言わずに調査が終わることを願っています」



言ったら現実になる気がしてイヤなんです。


そう言って深いため息を吐くアソラルは本気で嫌がっているが、ここで何故か子供のころを思い出した。──言った言葉がホントになるんだよ、だから酷い事を言ったりしたらダメよ──っていう幼児の躾けのひとつを。

もしかしてあの躾けを信じているのか?

ぷふっ

もしかして素直かっ。







ま、無理には聞かないさ。

情報が嬉しくない内容な気がするしな。

周りを見てみると、なんだか嫌な気がする。って顔を全員がしてるよ。

シュナ達もなんとなくアソラルを分かりだしたようだ。


3から2の入口へ行く時は出来るだけ壁に沿うように進んでいたのだが、今は新しい道を地図上にあげる為に中央へ向かって進んでいたのだが。

角を曲がると広場にでた。

灯りが広場全体を照らしきれない程広い。

アソラルがさらに灯りを増やし四方へ移動させる。

向かいの壁が見えたが左右の壁が見えない。

チームゾレスのメンバーはすっかりアソラルに染められて、警戒もそこそこに自由に歩き回りキョロキョロと壁や床を調べている。



「随分と広い空間ね。天井もここだけ高いようだわ」



「ここは、地下遺跡の両端をつなぐ中央の道のようです・・・よく似ています、私が知る遺跡と同じなら中央の道に階段はありません」



1の入口へ向かう道すがら、ゾレスがチームシュナにアソラルが以前に遺跡調査に加わった時の地下2階で遭遇した魔獣のくだりを話す。

どんどん顔が暗くなるシュナ。

彼女としては危険すぎる依頼は受けないし、受けて危険が大きすぎると判断すれば依頼失敗とする。

まだ、アソラルも今ほど実力をつけていなかったDランクの時の話なので、今回の調査メンバーの実力を考えれば、油断さえしなければ全滅はしないだろう。











──────────────


魔獣がいないということで入口に待機していた人達も一緒に地図作成に加わり、全チームが作成した地図が共有され、地下1階の地図の完成は早かった。

たったの二日でかなり広い地下1階の地図が出来上がった。

ただ疑問は残る。

魔素の濃さなら魔獣、魔物が湧いてもおかしくないのだが、なぜ1匹も居ないんだ?

アソラルはその理由を知っているように感じるのだが。



「ああ、それでしたら魔素を吸収し、それを魔法効果の維持に消費する魔法具があちこちにありましたから」



「「「「「「非公開情報な!」」」」」



誰が突っ込んだか分からんほど声がハモった。

チームゾレスとチームシュナなのは間違いない。





当然のことだが全員が、その魔法具の確認に夜に地下へ入ることにした。

何故夜なのかというと、魔素を吸収するのが夜で、昼間に魔法効果の維持に消費されるという仕組みだから。

地下のあちこちに淡く光る何かがあった。

昼間は気づかなかったが、魔法具がいたることろに埋め込まれている。

一見してただの石だ。これを昼間に見つけるのは階段を見つけるよりさらに難しい。


周りと馴染むように土でコーティングしてあった。魔石特有の色で探しても見つからないはずだ。


どういう技術が使われているのか、

夜になると魔素は魔法具に吸い取られ、急激に地下に充満している魔素が無くなっていく。

明け方にはほとんど魔素が無い。

そして日が昇るとともに、吸収が止まり魔素が増え始める。

これでは魔獣や魔物が湧きにくいはずだ。


本来、魔石とは魔物の体の中にあるもので、それ単体で使用できるものでは無い。

なのに、この魔法具は魔石にしか見えない。が、魔法具として作り変えられているという。

見た目じゃ全く分からん!これが魔法具に見えるアソラルは心眼の持ち主かよ。

うっかり魔石として使おうとしたらどうなるのか・・・・壊れるんかな?



「これ、魔法の維持って言ってたけど、どんな魔法が掛かってるんだ?」



「封印とゴーレムを維持するために使われています。封印の中の魔物が死ねばゴーレムは徐々に停止。遺跡も風化し土に還っていくでしょう」


──────・・・

──────・・・・・

────────────は?



声にならない声が周辺に木霊した。

音が無いから木霊はおかしな表現だが、これ以上適切な言葉はないな。

全てが息を吐くように、聞こえない言葉を発した。


アソラルは呼吸をするのと同じように自然体で爆弾を投下する。

それはもう静かに。

引き攣った笑顔を表情に貼り付けて



「へー、これじゃ封印が弱まる心配もないな。っじゃねぇだろ!!なにさらっと爆弾落としてんだ!」



ガシっとアソラルの顔を正面から掴み指に力をこめる。

ギリギリギリ



「った。痛っ、トーゴ!?痛い痛い。離してください!痛いっ」



腕を払おうとしたが、膂力はトーゴの方が上。

びくともしない。



「俺たちに非公開情報だった魔法具の紹介しながら、さらに情報投下するのは何故かなー?怒らないから言ってみ?」



「どうして怒るんですか!?封印されてる何かが生きてるのを確信したから言ったんです!不必要な情報など出すこともないと思っていただけで。痛いからっもう離してください!」



「ん~、まだ怒ってないよ?まぁ、それはいい。で、なんかいるのか。じゃあ準備しなきゃな、アソラルが行ったっていう遺跡の事を、もう一度、地上に出て全部話してもらおうか?」



ギリギリギリギリ・・・・・








地上へ連行して尋問を開始。

いや、別に悪い事したわけじゃ無いけど、アソラルはかなりの情報を持っているとみた。

こっちも命がかかっているからな。全部吐いてもらうぜ。


焚火を囲み、リオ、べギ、ゾレス、シュナ、がアソラルの傍に座り、5人の周りでトーゴ達が話を聞いている。



「チームゾレスには途中まででしたが以前入った遺跡のことを話していまして・・・」



「それならゾレスから聞いている。その先、地下2階から話してくれ」



どこから話せばいいのか困るアソラルに、ゾレスに話したことは全員が知っているとリオが教える。

ゾレスがシュナに話していたのは知っていたが、いつの間にリオとベギに話したのか。

素早い。



「この調査チームなら冷静に対応すれば魔獣にやられることは無いと思います。ですが、遺跡の状態が今までみた2つの遺跡よりキレイなんです。それが気になる所でして」



綺麗だと何か問題があるのか?

前振りの意味が分からないまま続きを促す。



「それでは一つ目の遺跡の地下2階へ降りて行ったところから話しましょう。細かい部分は省略しますが、魔素は地下1階と変わらない魔素の濃さでしたが、1階と違ってたくさんの魔物がいました。アンデッド、スケルトンとゾンビです。余裕で倒せる相手でしたが、とくかく多くて視界にはいる道がスケルトンとゾンビで埋め尽くすほど。大量発生という言葉では足りない程その数は圧倒的で、遺跡が蜘蛛の巣状の形だったのも最悪でした。簡単に背後をとられてしまって・・・撤退も簡単にはいかず倒れていく冒険者が少しずつ増えていきました。結局生き残ったのは5人だけ。」



「地下2階に何があったか見ていないのか?」



「でも、地下3階のことも言ってたわよね?」



「全部みましたよ。遺跡の状態が悪くて100年後も状態を維持できているかどうか際どくて。崩落して魔物があふれてしまえば近くの町や村は全滅でしょう。遺跡調査を依頼したのが貴族だったのですが、その貴族が国王へ報告し、国が危険と判断して討伐隊を結成したんです。騎士はもちろんですが、その大陸にいたSランク冒険者にも依頼していて、とにかく大規模になっていました。私は道案内として彼らに同行し再び遺跡へ入ることになったんです。」



淡々と話していく。

その内容は俺たちの顔色を悪くさせていくのに十分な破壊力があった。



「Sランクパーティーのおかげで遺跡の中心にある部屋を守っていたゴーレムも倒して部屋にたどり着きました。そこには魔物が封印されていて魔素は封印から漏れ出していたんです。封印は魔獣の体を繭が包み込むような形をしていて中が透けてみえたのですが、中の魔獣が死んでいるのが一目でわかりました」



「ゴーレムまでいたのか。ではこの遺跡にいる可能性もあるってことか」



ベギは空を見上げ、リオは唸る。

レベルが低いが大量の魔物と封印されてもなお影響力のある魔物。

それを守るゴーレム。



「封印された魔物が死んでるのに魔素を噴き出していた!?」



「はい、干からびていて体の下半分は崩れて土へ還っていっている様にみえました。そんな状態なのに魔素が吹き出していて・・・・その強さが窺われます。本当に死んでいて良かった」



死んでなお魔素を噴き出し続ける魔物なんて聞いたことがない。

魔素が吹き出してたら素材を回収できないだろ。

ドラゴンだって死んだらすぐに素材の回収ができるんだぞ。



「その魔物の種族名は分かっているのか?」



首を横に振り無言で答える。



「Sランク冒険者と国の魔導士が、魔素が吹き出ないよう封印の重ね掛けを検討していましたが、無理に魔素を閉じ込めても溢れ出す量に耐えきれなければ今ある封印まで壊してしまう可能性がある。彼らは封印には触らず放置を決めたのです。そのまま地下2階を探索しながら浄化の符をあちこちに貼り魔素の濃度を下げるにとどまりました」



「崩落しそうな遺跡だったんでしょ。そんなんで処理完了とは言えないでしょ。他に手は打てなかったの?」



「ええ、好手は見つからず、地下1階を徹底的に調べ上げました。魔素の濃さは同じなのにたまにスライムが出る程度な理由がどこかにあるはずだから。そして魔素を吸収する魔法具を見つけたんです。探せば大量に見つかった魔法具は地下2階にもありましたが、その殆どが機能していませんでした。」



「なるほど、魔素が濃くなるばかりだったのか。で、その遺跡の地下3階はどうなっていた?」



「階段はすぐに見つかりましたが、全て崩れていてあまり近づくと足元まで崩れ落ちてしまいそうな状態でした。ですが崩れてできた穴から降りれたので、私と数名が調査に行ったのですが。地下1階2階に比べれさらに状態は酷いもので、よく2階に大勢がいて床が抜けなかったものだとゾッとしたのを覚えています。結局、地下3階はほぼ水に浸かっていて地下を流れる川が侵食していました。見つかった魔法具もほぼ機能が停止していて、わずかに残ったのを地下2階に嵌っている停止した魔法具と交換して終わりでした。あとは封印が魔獣を完全に土へ還してくれるのを待つしかないということで。もちろん遺跡は厳重に管理されてています」



ここまで一気に話して視線を遺跡の入口に向ける。

次に何か言おうとして迷っているような。



「おい、アソラル。俺は全部話せって言ったぞ。またギリギリされたいのか?」



「う」



周りを見回すと何人かが、俺もギリギリしていい?と言わんばかりに掌を見せている。

早く話した方が身のためだぞ。



「今回の・・・・・調査はここで終了して、依頼達成にすることを勧めます。2つ目の遺跡の時と状況が酷似し過ぎています。ここに封印されている魔物はまだ生きていると断言できますから。地下1階に魔獣が1体もいなかったのが証拠です。ここは誰も入らせず封印に近づかないようにした方がいい。・・・・・もし、今、封印が解かれたら私は全力で逃げます。近隣の町も廃墟になるでしょう」



全員が押し黙る。

魔物や魔獣が跋扈してるから、封印されている魔物もまだ生きているというなら分からないでもないが。

何故、地下1階に魔物が1体もいないのが、封印されている魔獣が生きている証拠になるのだ?


皆の疑問が顔に出ていたのだろう、



「封印された魔物が死ねば、遺跡は役目を終え崩れて形跡すら残らない。逆に生きていれば遺跡は維持され続けます。遺跡そのものが封印が壊れないようにするシステムだったんです。・・・・2つ目の遺跡は封印された魔物が生きていましたし噴き出す魔素も桁違いで。封じられた繭の中からこちらを睨んで殺気を放っていましたね。二度とあの場には行きたくありません」



「死ぬまで封印が解けないようになっているのか」



「地下3階はどうなのよ?」



「封印のシステムが剥き出しになっていました。清浄で上の階の魔素が嘘のようでした。そして封印された魔物の丁度真下に位置する場所に大きな魔法具が規則正しく埋め込まれていました。おそらくそれが封印の要。それでも経年劣化で所々くずれて土がむき出しになっていましたが」



・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・



誰も言葉を発することなく風がふく音だけが聞こえる。

ふと思い出したように口調をかえ



「ああ、そうでした。地下2階の階段付近で魔獣を狩れば、いい素材を手に入れることができますよ。退路さえしっかり確保していればおいしいです。魔素が濃すぎると魔獣と魔物の両方がいるのでそこは気をつけてください」



そこからは封印を確認するより、狩りを楽しめがいいじゃない。な感じでアソラルは・・・・・たぶん助言のつもりなのだろう・・・・



「皆さんのレベルなら、持ちきれないくらいの素材を集めることが出来るでしょうから魔法具の収納カバンがあるといいですね。それと治癒が出来る人を必ず傍におくか、ポーションを持てる限り用意するか。どうせ減るので空いたらそこに素材をいれればいいわけで」



すらすらと狩りの準備を口にするアソラルにリオ、ゾレス、ベギ、シュナが待ったをかける。



「「「「おおおいっ!」」」」



「ちょっと待てよ」



「持てる限りの回復薬って、すごい不吉なんだけど!」



「襲ってくる魔物が人海戦術なみなんだろ!?」



「はい、収納カバンがないと素材を全部持って帰れないかも・・・」



「「「「「「待って!今は魔物の狩りに思考を切り替えれていないからっ後にして」」」」」



ガッシとアソラルの肩を掴み、真剣な顔で訴える。



「俺たちの心が落ち着くまで待ってもらえないかな?アソラルは平気かもしれないが、俺達はあんたの情報でバカ程遺跡の難易度が上がったんだよ。持てる限りの回復薬なんて準備してないんだよ」



トーゴの真剣な顔は魔物相手以外では中々みられはない。

ゾレスは珍しいものを見てちょっと冷静になれた。





この話は置いといて、まずは魔素吸収の魔法具─魔石にしか見えない─を見つけてその在りかを地図に載せることになった。

正直、地図を作成するより面倒だった。

目立つ場所だけじゃなかったからだ。突き当りや細い通路の死角、天井に位置する、柱と壁の角にコッソリと埋め込まれているのまであって、最終確認まで4日もかかった。

疲れた。








──────────────



リオが、全員の装備やアイテムの確認と治癒と付与が得意なメンバーが何人いるか確認をとる。

結局は狩りを試してみてもいいと判断した。


魔素吸収魔法具を探すかたわら、数人が町へ戻ってポーションや薬草などを買って準備を整えていた。




「階段のそばから離れずに狩ればいいんじゃないか?すぐ逃げられるし、階段をすぐに塞げるようにしておけばいい」



遺跡の入口は長い年月の中で土に埋もれたのも合わせて18あった。

地下2階への階段は20。

予想以上に大きな遺跡だった。

1つの階段を1チームが使い狩りをする。もしもの時はその階段を即座に塞ぐようにする。

一人ひとりに通信玉を十分に持たせ準備を整える。

それぞれの階段が微妙な距離で散らばっているおかげで、チーム単位での連携が難しいが、できるだけ近くの階段を使う。

全滅しても階段はしっかり埋めておくこと。

これ重要。

大雑把にこれだけを決めて狩りを始める。










地下2階への階段の前に立ち、やる気満々のトーゴ。埋もれた階段の石をどけるのはルルナの風属性魔法で穴をあける方法で行う。



「さて、俺達も言ってみるか」



「んじゃ、石をどけるよー。当たったても知らないからね」



階段を破壊し過ぎないよう、ドリルのように石を削り階段を開けていく。

天才的なコントロールでたいして時間をかけずに地下2階へ繋げるべく掘り下げていくと、土ばかりの中に小さな穴が開き、空間が見えた。



「見えた、もうちょっと!」



喜びの声をあげた瞬間、黒い影が小さな穴を押し開け飛び出してきた。

階段下をハッキリ見ているのはルルナだけ。周りにいるトーゴ達は反応が一瞬遅れた。



「きゃあ!?」



ガガッドォン!

グチ。



岩に挟まれた巨大な蜘蛛が刃物のように鋭い足をルルナの眼前に向けわずかに動いている。

爪に視点があったとたんルルナはその場にへたり込んでしまった。

とっさに魔法を発動させて蜘蛛の動きを封じた。



「大丈夫ですか?」



「ええ。この岩ってアソラルの魔法?ありがとう助かったわ」



無事を確認してホっとして蜘蛛の魔物に目をやると重なる岩の中で潰れながらもまだ生きていた。

サイズは違うがその岩の重なり具合に見覚えがあった。

少し違うのは中心に空間があるかないかの違いだけ。



「なぁ、俺の記憶違いかな?竃魔法って言ってたよな。これ家庭魔法って言ってたよな?」



「言ってたわね」



「どうみても攻撃魔法だな」



「・・・・・応用です」



「嘘つけ!初めから攻撃魔法だろ。だから俺が何度も竃を作ろうとしても出来なかったんじゃねぇかっ」



魔力は一般平均しかないトーゴに家庭魔法以外の魔法は使えない。

竃魔法が、攻撃魔法だったなら形がわずかに出来たとしても本来の効果までだすことができない。



「本当なのですが・・・・・作製したら、こういう使い方も出来る事に気がついただけで」



「そうか、なら仕方がない・・・・俺たちの仲間になることで許してやる。さて狩りをはじめようか」



おなしな事を口走りながら狩りの続きだとトーゴが先頭になって階段を下りて行った。



「仲間?」



首を傾げるアソラルに答えてくれる人はいなかった。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ