解った事は?
目覚めてから数日が経ちました。
身体はまだまだ痛いですが、目覚めたので 自分が何処に居るのかを調べようと、少しですが動いています。
私の物は何1つ残っていません。
携帯があれば日付が解ったのに残念です。
まだ1人ではベッドからは出れませんが、起き上がる事はできます。
なので、お世話になっている人の穴の空いた服を縫っています。
名前は解りませんが、勝手に呼ぶ事にしました。
恩人さん と。
恩人さんは縫い物が苦手なようで、ひと縫いごとに指を刺していました。
痛くないのでしょうか?
まったく気にもせずに縫いチク縫いチクしていたので、見ている私が痛く感じてしまい、身振り手振りで どうにかして この縫い仕事をゲットしました。
動けずとも これぐらいは出来ます。
この数日で私が解った事は、
・日本ではないこと
・私は生きていること
・あの狂暴な生き物は恩人さんがやっつけてくれたこと
・恩人さんは1人暮らしなこと
・私の傷は恩人さんが診てくれてたこと
・この家は森の中にあること
私は目覚めてからまだ恩人さん以外の人と合った事がありません。
どなたか私のように気付いたら国外に来てしまった!
という人が もしかしたらいるかも知れません。
早く傷を治して、1人でも歩けるようにならなくてわ!!
せめて恩人さんがお仕事に行っている間にお掃除、洗濯、お料理をさせてもらわなければ!
命の恩人さんです!いつまでも甘えてはいけません。
ガタン
あ。恩人さんが帰って来ました!
ベッドの上で振り返ると 恩人さんが血だらけでいました。
「だ、だだ大丈夫ですか!!?」
言葉は通じなくても、表情や言葉の雰囲気で伝わったらしく、恩人さんは掌を私に向けて首を振りました。
多分、大丈夫だと言っていると思います。
荷物を置いて、外に出て行ったかと思えば 全身ずぶ濡れで戻って来た恩人さん。
ボタボタと水が滴っています。
服のまま水浴びですか。ワイルドですね。風邪ひいてしまいますよ。
濡れたままお料理をして、私が食べている間に 私のための塗り薬と飲み薬を調合してくださり、食べ終わるのと同時に包帯を解いてくれます。
正直。恥ずかしいですが、仕方ありません。
今更ですし、恩人さんに薬を塗ってもらいます。
自分が届く場所は自分で塗ります。
これも身振り手振りでやっと回避できたのです。
意識が無いとはいえ、こんなイケメンさんな方に全身治療してもらってたかと思うと恥ずかしさで死ねます。