動物ですか?
(「きゃーーーーーーーーーーー!!!!!」)
心の中で叫びました!恐ろしくて恐ろしくて、声に出ません!
えっ?これは本物なのですか?本物の生き物なのですか?地球にこんな凶暴な生き物が生息していたのですか?えっ?えっ?絶体絶命っていう事なのですか?
パニックです!
「グガリルルルルルルルルルル!」
凄まじい叫び声が響き渡ります!思わず耳を塞いでしまいました。
怖い!!これは本物なのですね?!さっきの人間の手も・・・・そこまで考えた私はガクンと腰が抜けてしまいました。
力なんか入るはずがありません。逃げる勇気もありません。恐怖に固まった私に逃げるなどできるはずもありません。
これは罰なのでしょうか?午後からのお仕事をボイコットしてしまった私への罰なのでしょうか?
凶暴な生き物は荒い鼻息をたてながら私の方へと勢いよく移動して来ます。
凄く早いはずなのに それはゆっくりと私の脳裏に焼きつきます。
走ってくる時に揺れる毛皮も川の水しぶきも、全てが鮮明に見えます。
私はここで訳も解らない場所で、訳も解らない生き物に殺されてしまうのですね。
私はここで終えてしまうんですね。
視界がぼやけてきました。自然と涙が流れます。
私はまだ死にたくないです。やりたい事はまだ見つけていませんでしたが、死ぬには早いと思います。
30年でもまだ生きたりません。
凶暴な生き物が川を渡ってしまいました。
何か、何かないのですか。掌に当たる石を握ります。
震えながらも 力無くとも投げてみます。私の目の前で石は落ちます。それでも少し出た力で近場にある石を投げていきます。少しでも、少しでも抵抗できたらと投げていきます。
石は近く生き物に届きません。泣きながら、へたり込みながら石を投げます。
怖い。怖い。怖い。怖い。死にたくない。死にたくない!
「あっちへ行ってくださいっ!」
叫びながら投げます。まったく当たりませんが さっきより力が出ています。
「来ないでください!」
「私は美味しくないですよ!」
凶暴な生き物がジャンプして来ました。
その時、奇跡的に石が生き物に当たりました!
が、まったく効いてません。
石は前足で弾かれました。と同時に着地して、尻尾を振ってきます
私は大きくしなる尻尾に叩き弾かれました。
「っ!かっ!はっっ」
い 息が・・息が出来ない!苦しい!痛い!!
「っはっうっ」
動けないです。車に跳ねられたらこんな感じなのでしょうか。口の中が鉄の味がします。
きっと涙と血とで今の私は汚いでしょうね。グチャグチャでしょうね。
でも見つけられてもきっと食べられているから、私の一部だけでしょうね。
せめて綺麗に死にたかったです。でも、今ので意識が朦朧として来て痛みも遠のいてきています。
これは救いでしょう。
意識ある生きたまま食べられるより、意識が無いまま食べられる方が恐怖も痛さもありませんもんね。
ああ。
息が近いです。
とても獣臭いです。
先程の手の方も同じだったのでしょうか?
頭に重圧がかかっているような気がしますが、よく解りません。
私の意識はここで途切れてしまいました。