うんざりだ
ああ。うるさい。
怪我人が完治して、しかもいきなり言葉が通じるとは誰も予想も出来ないだろう。
しかも言葉が通じると解るや否や、質問攻めの嵐。
正直、かなり迷惑だ。
うんざりだ。
「私、真女と言います。真の女と書いてマオです!良い名前だと思いませんか?私のお父さんがつけてくれた名前らしいのですが、その名の通りな子に育つようにとの願いもあるのです。」
そして凄くお喋りだ。
聞いてない事まで話してくる。
勘弁してくれ。
「イースさんはどなたが名付けられたのですか?」
生き生きした顔と声でこちらを期待した眼差しを向けてくる。
このまま売り飛ばそうか?
「さぁな」
「そうですか〜。忘れてしまったのですか〜。仕方ないですね!」
ニッコリと笑って手を差し伸べてくる。
その手には料理を持っている。
完治してから家の事は全てマオがしている。
最初は自分の家を勝手に触られるのが嫌だったが、マオは勝手に触られるのが嫌だと勘付いているのかいないのか、俺の物を触る時は伺ってくる。
言葉ではなく、雰囲気で。
これだけお喋りで、うんざりする奴だが 何故かそういうところだけ勘強い。
そして料理が美味い。
食べた事のない料理が出てくる。
今もツクネと言う物を食っている。美味い。
肉なんか切って煮るか焼くだけだったのに、こんな一手間で変わるものなんだと感心すらする。
まあ。
まだ売るには早いだろう。
もう少し様子をみるか。
このヤキトリと言う食べ物は興味深い。
まだまだ価値を見定めるには早いな。
お喋りなのは耐え難いが、それに劣らずマオの料理は手離しがたい。




