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【XIth Stigmartha / Τέλος αιωνιότητα】  作者: ささゆみさき
Prologue
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Prologue

❖はじめまして、作者のささゆみさきと申します。

 この度は「XIth Stigmartha」をご覧いただきありがとうございます。

 さて早速ですが、この章はプロローグ、というよりはインストのようなものとなっています。

 「XIth Stigmartha」の舞台となる幻想世界カルディアの簡単な紹介となっています。

 この章を読まなくても本編は十分に楽しめますので、本編を早く見たい! という方は2部にお進みいただけるとすぐ読み始められます。

 いきなりこんなスタートで申し訳ありません。

 では気を取り直して、作者ささゆ節をふんだんに突っ込んだ本作、ぜひぜひお付き合いくださいませ。



◆この場を借りてSpecial thanks

星翅

さしみ

TRPGgamers(組織名)


(以上順不同)


and 読書さま

『――嗚呼……すべてのものに絶望あれ




 少女は血に濡れた瞳で空を仰ぎ、詠う。


 其の歌は廻り続ける。


 終点は始点。始点はまた終点へ向かい流れ往くだけ。


 終わることはなく。


 終えることはできない。




 ――怨み怨めど絶えず終わりなく。




 命を賭せ、足掻き苦しめ。


 無情を憎み、儚く散らせ。


 其れは人を、神を、世界を呪う怨み歌。




 ――其の身は幾多の血に濡れて




 うたは戯曲に演者を定める。


 其の身に赤い紋章を刻んで。


 紋章を持つはいたいけな乙女。


 生まれ落ちたその日から其の命は運命(さだめ)られた。




 ――人に宿る欲望の魔手は、(おまえ)を決して逃さない




 乙女はその身に秘宝を授かり生まれ落ちる。


 如何なる願いも叶える宝石。


 然し、ひとつでは不完全な結晶。


 為れば他者を蹂躙し奪い取れ。




 欲望に甘く囁く誘いうた。


 高らかにちらつき、彼の胸に黒い種火を落とす。


 其の歌は生きる指針さえ選ぶことを赦さない。


 自らの望みに背こうと、其の影に誰かの望みが襲いくる。




 ――其の手に凶器を、其の果てに狂喜を




 幾許の涙や血を飲み、なお止まらない。


 人を、神を、世界を呪う怨み。


 欲望に甘く囁く誘惑。


 彼女の美しい歌声に乗せ、演者は、愚者は踊る。


 呪いの正体に気付かぬまま欲望のままに殺し、死にながら。




 其の歌はまた幾許かの終点へたどり着き。


 やがて、始点へ戻る。




 そうして戯曲は幾人目かの演者を嘲る。


 悠久を終焉へと導き得る鳥は、一羽とて現れず。


 其れを望むるは果たして希望足りえるのか。


 それとも、更なる絶望への儚き種と成り果てるのか。』






 ――ある“騙り部の語った物語の前口上”より











 豊かな自然と魔法、魔導と呼ばれる魔法科学が共生する世界、カルディア。




 精霊子(アウラ)と呼ばれるエネルギー体が万物と万象を構成するこの世界には歌――あるいは詠――が溢れていた。


 歌は精霊子を導き、人は精霊子を以て魔法や魔導を生み出し発展させていった。


 生命への祝福と感謝が絶えない幸せな世界。


 人々は愛を語り、夢を目指し、手を取り合い、時に争い、四季の風を感じながら生きている。




 四十年に一度、悪夢のような戦争が始まる、その日までは。




 その戦争、宝珠継承戦争は神々に選定された聖なる痕、聖痕(スティグマ)を持って生まれた十人の乙女のみで行われる。


 それは小規模なもの……であるはずだった。




 勝ち残った者に約束された褒賞はこの世界の王となり、そして「どんな願いもひとつ叶える」事ができる権利。




 褒賞に魅せられた者達は自らの欲望を胸に挙って彼女たちに協力を申し出た。そうして戦争の火は、大きく膨れ上がった。


 世界の王を選定するため幾度と無く繰り返される戦い。王が選ばれず、未だに終えることのできない戦いの輪廻。


 それを呪いと語らずして、何を呪いと呼べば良いのか。


 古くから続く悠久にも思える聖戦を騙る呪われた物語は、実に三十一回目の幕を閉じた。




 多くの血と涙を啜った末に閉じられた書。だが、それでも物語は結末を迎えなかった。




 ――それから幾許かの年月が流れた。




 呪われた聖戦に挑むため、試練を受けようとしている、聖痕を持ち、生まれた心優しい少女。


 そして、神の意思により呼ばれたひとりの少年――




 彼らの出会いによって、再び物語の紐が解かれようとしている。

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