7
話そのものは前話で終わり。
この話は蛇足です。
長原と神立の会話を聞いてしまったその日の帰り道。
その日もまた、俺は夏希と一緒に帰路につく。
あたり一面オレンジ色で、なんというか、幻想的だった。
「あ、今日な」
と、俺は夏希に話しかける。
「長原と初めて話したわ」
「えっ、なんで?」
夏希は俺と長原に接点がないのを知っているから、不思議そうに俺を見る。
やっぱり夏希は可愛い。
「まぁ、その場の成り行きってやつかな」
俺は、曖昧に笑みを浮かべる。会話の内容は夏希が知らなくてもいいことだ。
それに、もし、長原が夏希に真相を知ってほしいと思ったら、本人が直接言うだろう。
俺が言う話ではない。と、思う。
夏希は、その後、いろんな話をした。慰められたことも含めて、たくさん。
俺たちの家もだいぶ近づいてきて、夏樹がこう切り出した。
「ねぇ、どうして?どうしてヒロはそんなに私に優しいの?どうして、こんなに。こんな話を、聞いてくれるの?」
そう言われても返答に困る。
俺の失恋は確定なわけだし。
どう答えようか迷った。
「俺にとって、夏希は、大事な人だからだよ」
だから、俺は穏やかに笑ってみせる。
俺は、夏希が幸せなら。それでいいんだと言い聞かせる。
「俺は、夏希が笑ってくれてたらそれでいい。夏希が笑ってると、俺も幸せだ」
夏希はそっぽを向く。その頬はほんの少し赤かった。
完結!!