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幸せ  作者: はるな
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3

お久しぶりです

翌日。


今日とて今日も、夏希と一緒に帰路につく。


今日は、雨だったから、傘をさしながら。

ゆっくりと周りの景色が変わってゆく。


「長原まじでありえんのやって」


夏希がしている話は俺が一番聞きたくない話だ。


それでも聞き続けるのは、この10分が、無くなっちゃうよりはまだ少しだけましだから、だと思う。


夏希はクルクル表情を変えながら、話している。


「夏希は、長原くん?に、告白しないのか?」


俺は、夏希の話がひと段落ついたところで、切り出してみた。


夏希の恋が実るかわからない、まるで生殺しのようなこの状況が一番辛かった。


もし、2人が付き合うことになったら、そのときはキッパリ夏希を諦めよう。と、思う。


だから、この期間を早く終わらせてほしかったんだ。


「うーん…ってえっ?否定したじゃん!」


夏希は手をブンブン振るけれど、顔は紅潮している。


「夏希は嘘つくの下手くそだから、バレバレだよ」


と、俺は笑う。


「ほら、今も顔が真っ赤だよ」


「そっか……ヒロには隠し事できないね、やっぱ。」


夏希も笑って見せた。


「うーん、そうだな、こういうのは思い立ったが吉日って言うしなぁ。うん、今週中になんとかするかな……振られたら慰めてねー」


夏希は冗談めかしてそう言った。


「勿論、そのときはとことんつき合うよ」


「じゃあ安心安心。ヒロは私以上に私の取扱い分かってるからねー。」


「そんなことはないと思うけどな」


気づけば既に、家の前だ。


「じゃあな、また明日な。夏希。」


「うん、また明日。ヒロ。」


夏希に手を振って、夏希が家に入ったのを確認してから、ため息をつく。


成功して欲しくない。けれども、夏希の涙は見たくない。


願わくば、夏希が泣かずに済みますように。

それが、俺の、一番の願いだ。

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