第八話 迷宮①その二
俺は今デカいゴブリン相手に死闘を繰り広げている。
なんといっても死闘だ。
一発当たれば致命傷になる(自分が)そんな戦いだ。
これでも三回は繰り返した。
なかなかコツが掴めないでいた。
俺は戦えるのか本当に。
ルナさんは俺より強いのに。
さっきからルナさんが俺を守っている。
後ろに下がってりゃれとか上から来るぞ気を付けろやなど指示を受けている。
これにより的確な助言のお蔭でだいぶ時間回帰しなくてすんでいる。
それでも俺はなんとも情けないのだ。
とにかくこの身長二メートル五十センチはあるデカブツをなんとかしないといけない。
ルナさんに任せてばかりはいけないと思うのだ。
「連続爪引っ掻き!」
ルナさんの攻撃は強烈だ。
ハイゴブリンの体力をどんどん削る。
しかしまだハイゴブリンの体力はたくさん残っている。
やはり二人の力を合わせないといけないようだ。
俺は覚悟を決めた。
そしてそのまま斬りつける覚悟と共に。
俺は走った。
駆けた全てを心に咎めて。
ハイゴブリンの足元を抉った。
続いても足元を抉る攻撃を放った。
そしてさらに同じところを攻撃した。
そこで俺の攻撃の手は止められた。
ハイゴブリンが気づいたのだ。
俺に攻撃の手が移った。
デカい棍棒が俺目がけて飛んでくる。
俺は咄嗟にかわした。
高かった敏捷のお蔭だ。
なんとかかわすことに成功する。
そして次の攻撃動作に移る。
ルナさんが俺の近くに来た。
「健志!あまり近づくないくらお前が特殊能力持ちだというが万が一死んだらどうすりゃいいのかやだから後ろの方で構えていればいいのじゃ」
「ルナさん……俺も戦いたいんだ」
「お主……わかった無理はするなよ?」
「はい!」
そして二人で前後を攻めることにした。
ルナさんがハイゴブリンの前を俺がハイゴブリンの後ろを。
そしてハイゴブリンを追いつめるべく戦った。
俺は背中を何度も叩いた。
正確には斬っただが。
これがおもしろいように何度も決まるのだ。
ルナさんが前で引き寄せてくれているからだろうが。
こんなにも上手くいくなんて思わなかった。
そしてハイゴブリンが疲れ始めた。
もう三十分は戦っているからな。
相手も疲れるだろうに。
そしてついにハイゴブリンの息の根を止めた。
ハイゴブリンは消滅した。
大きめのの魔宝石を残して。
これなら100ルミはあるんじゃなかろうか。
とにかくこれはリュックにしまっておこう。
なおこのリュックはルナさんの家にあったものだ。
いくら入れても重さが変わらない便利なリュックだ。
しかもかなりの量が入るのだ荷物は俺持ちだ。
なんでも昔大きな町でこれを買ったとか。
いつか冒険に行くかもしれないと思っていたのだろうか。
そして俺たちはまた進む。
この迷宮を攻略するために。
暫く歩いているとモンスターが出なかった。
それよりも迷路のように入り組んでいる道がやっかいだった。
時より物を拾う他の冒険者が落とした物だろうか。
謎の本や謎の玉を拾った。
なんだろうかと思ったら。
『これは魔導書の一種ですねタイトルは炎の書初級編と書いていますこっちは封印の玉ですねモンスターを一体封印することが出来る玉です強敵に使えればいいんですが』
世界の声さんのことすっかり忘れていた。
本当に物知りだよなお前は。
『そりゃ博識で有名ですし私は』
そうなのか博識なのか。
とりあえず貰っておいて損は無いな。
迷わずいくらでも入るリュックに入れた。
そしてそろそろ本当の道を探すことにしようとしていた俺たちは新たなモンスターに遭遇した。
『あいつは黒魔術師です強敵ですもしかしたら死ぬかもなんでこんなとこに』
えっそんなヤバい奴なのか!?
『なんたって魔法を使います肉体はそんなに強くないので攻撃すればいいのですが』
「ならばわらわに任せるのじゃ」
「任せました」
ルナさんが駆ける凄い速さで。
しかしそこに黒魔術師の攻撃が飛んでくる。
「クロムレイ!」
黒の弾丸が飛んでくる鉄球のようだ。
しかしルナさんはそれを難なくかわす。
「ヒョ!」
「喰らうのじゃ!強力爪攻撃!」
「ギャアアアアアアアアアアアア!」
かなり効いたようだそして。
「ほれもう一撃」
「ウギャアアアアアアアアアア!」
「もう一度」
「グアアアアアアアアアアアアア!」
「止めじゃ!」
「ビギイイイイイイイイイイイイ!」
黒魔術師はこっ酷くやられた。
こんな奴が本当に強い奴なのか?そんな疑問が出た。
「おい世界の声今の本当に強い奴だったのか?」
『どうやら今のは強さ的に黒魔術師(弱)のようですつまるところレベル1のようですね』
「なんじゃそりゃつまりあんまり強くないってことか」
『つまりそういうことですね』
「次行くかや」
そうして俺たちは進んだ。
どうやら中間地点に来たようだ。
なぜなら立て看板があった。
ここが中間ですとご丁寧に。
これなら少しは歩きやすくなったというわけか。
俺たちはさらに先を目指した。
すると今度もモンスターが。
『あいつはスケルトンと呼ばれる軟体生物ですねでも溶解液を放ってくるので気を付けないと溶かされちゃいます』
「今度は俺に行かせてください」
「先陣は健志が行くと言うのか?」
「はいそうです!」
「ならばわらわは援護に回るとするか」
「ありがとうございます」
そして戦いが始まった。
一回目は脇腹を溶かされた。
死ぬかと思った。でも死なずに戻った。
二回目は今度は右手を溶かされた。
ここで無理せず戻った。
三回目ようやく慣れてきた。
このスケルトンとかいう奴相当危険なモンスターだと感じた。
なにせ溶解液でなんでも溶かすのだ。
骨も残らない。
そして今度は溶解液を喰らわず攻撃に成功した。
そしてルナさんも援護に成功した。
しかし倒れない。
意外とタフなのか?
そしてもう一度同じことをする。
今度は当たらないように慎重に動く。
忽然と消えるかのように動く俺。
その速さは電光石火のごとくに近いはず……
俺はとにかく速く動いた。
そして攻撃を与え続ける。
繰り返される攻撃の嵐。
スケルトンは丸っこくなって動かなくなった。
そして弾け飛ぶ。
ついにやったか?と思ったがどうやらまだのようだ。
スケルトンがバラバラになって戻っていく。
そして何故か前より体積が増えたように感じる。
そこから溶解液の弾丸を放ってくる。
俺たちは回避することになる。
回避していく中一度も当たらなく安堵した。
でも油断は大敵なので何故か反省した。
そして俺は攻めに転じる。
剣の切っ先をスケルトンの肌に当てて抉る。
確かにダメージは通っているはずだ。
ルナさんの一撃も通る。
そして二十回ぐらいの反復作業でようやくスケルトンは消滅した。
これでようやく先を目指せる。
何やら落としたようだ。瓶に液体が入っているこれは……?
『これは魔の秘薬です致命傷に効く薬ですね』
そうなのか一応貰っておくか。
こうして俺たちは先を目指すことになる。
この先に待ち受けるものは一体なんなのだろうか。
俺たちは生きてここから出てこれるのだろうか?