本題
押し問答すること30分。
僕は唐突に気がついてしまった。
(待ち合わせの時間過ぎてない?)
現在、10時40分。
待ち合わせ、10時半。
スマフォへの着信件数、プライスレス。
「お金で時間が買えないって不便!」
唐突に叫びだした僕を目の前の女性は変な顔で見ている。
厨二病のくせに!そんな目で僕を見るな!
「あぁ、そっか。今日は君友達と出かけるんだっけ」
何かに気づいたような顔で唐突に言い出す。
というか、何で知ってるんだよ。
「え?ストーカー?」
割と本気で引くわ。
確かに今日は友達と出かける予定だったけど。
本気で不気味に思う僕に対し、女性は意味深な笑みを浮かべつつ
「言ったじゃん?君は私で私は君って。
名前、斎藤閏。年齢19歳。専門学校行ってるんだっけ。
でも君に電子系統は向いてないと思うな~」
人の個人情報をばら撒き始めた。
やばい、本気な人だ。
確かに見た目美人だけど、流石にストーカーはノーサンキュー。
ジリジリと間を取ろうとする僕を見て何を勘違いしたのか
「あ、大丈夫だよ。
童貞はきっとステータスだよ!
だから、そんなに照れなくていいよ!」
爆弾を投下してきた。
新手のイジメだろうか。精神的に抹殺とはやるじゃないか。
そんなことを言ってる間にも着信が増える。
ダメだ。これ、怒ってる。やばい。
ストーカーも気になるけど、今は待ち合わせが先決だ。
「何の用だったか知らないけど、そろそろ僕はここらで」
「あー、いいよいいよ。
いってらっしゃい」
意外と物分りのいい人だった。
ありがたい。でも遅れそうなのはこの人のせいじゃないか。
やっぱりありがたくない。
「あーでも、一つだけ忠告。
多分これから色々大変なことがいっぱいあると思うから。
困ったことがあったら、この謎のおねーさんを呼ぶといいぞっ」
何だか不吉なことを言い始めたぞ。
しかし、待ち合わせに遅れそうな僕は冗談として流すことにした。
「了解。
お店で小銭が足りなくなりそうだったら呼んでみるよ」
「何だか微妙!」
こうして、僕はよくわからない女性と別れた。
今思えば、この時に全てが動き出したのかもしれない。
でも僕は、そんなことは知らず言い訳の内容を考えながら待ち合わせ場所に向かった。