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日付冒険譚  作者: 睡眠不足
2/5

日付に縛られた世界

目覚ましの音がけたたましく鳴り響く。

見慣れた天井。

いつも通りの自分の部屋。


鳴り続ける目覚ましも止めず、ベッドの中でじっとしている。

またあの夢をみた。


子供の時から、何回も見ている夢。

悲しく、懐かしい。そんな夢。


「なんで覚えてないんだか」


呟いた言葉は目覚ましの音に消された。

ずっと鳴り続ける仕事熱心な目覚ましを、心の中でご苦労さまと言いつつ止める。

大事な友達から貰った目覚まし。


目覚ましなのに、手足が生えてちょび髭のおじさんが書かれている。

そのおじさんの顔を見て元気をもらいつつ、やっとベッドから身を起こす。


部屋は冷たい。

息を吐くと白くなっていた。


「そういえば、もう冬にするんだっけ」


独り言を言いつつ、カーテンを全開にする。

空は晴天。太陽が輝きながら、雪を降らせていた。



人が不思議な力を手に入れてどれくらいたったか。

人々は、自分の誕生日に関した力を手に入れた。


いつから手に入ったか、等といったことはわからない。

ただ、いつの間にか当たり前のように皆の身近に存在した。


冬に生まれた人は雪を降らせる力。

夏に生まれた人は周りを暖かくする、等という力だ。


ただ、細かい日付や個人によって能力は変わる。

雪だるまを発生させる力や、凄いものでは昼の時間を現象させる、といったものまである。


最も、力を使用すると対価を払う必要が発生するので大きな力を持つ者はあまり力を使わない。

そう、力には対価が必要だ。


周りを暖かくする力なら、発生した熱量分に相当する食料を食べなければいけないといった具合だ。


そのため、力による干渉はそこまでなく、逆に力を使用した際に罰金を払う制度すらあったくらいだ。

そう、今までは。



「今日もまた、元気よく活動してるな。政府の連中は」


半年くらい前だろうか。

今までの主要な党を押しのけて、「毎日党」が国会をほぼ掌握するという事態が発生。


そして、この不思議な力を行使して世の中をよりよくするという名目で、「日常法案」が設立された。

内容は簡単に言うと

この力を使用して人を助けるのに罰は発生せず、むしろ事故等で力を使用しなかった場合には罰金が発生するといった法案だ。


何とも意味不明な内容だが、そこは日本人。

設立直前までは大々的なデモが発生していたが、成立直後からほぼ解散。

今ではほとんど受け入れられている。


そんな中、政府直属で力を積極的に使用するための組織「世間の力」が作られた。

要は、力を使って世間を助けてますよアピールをするための団だ。

言い換えると政府の犬。


力に対する対価の無償報酬もあるそうで、人は結構入ってるらしい。


そんなことを考えている間にも雪は絶え間なく降り続ける。

これも人助けの一種。

「四季をコントロールすることで、生産性の安定を図る」だったか。


人がコントロールする四季に安定も何もあるのだろうか。

そんなことを思いながら、僕は出かける準備を始めた。

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