-関係-
女精霊は、人売たちを文字通り骨まで燃やし尽くすと動きを止めた。
俺も魔法の発動をやめ、いつの間にか緊張で詰めていた息を吐き出してさっきまで激戦区だった場所まで歩く。
......そこには、面白いくらい何もなかった。
生きているのは俺と女精霊、怯えている様子の子供だけ。人売りたちは、肉片も骨のかけらも残さず、白い粉となって土に還っていた。
「遅い」
路地裏の壁から出てきた俺を見た女精霊の第一声はそれだった。
怒っている口調ではないが、無表情で言うから余計怖い。
「ごめんごめん」
俺は苦笑して謝r......何故俺が遅いと言われて謝らなければならないのだろう。
寧ろ俺の方が謝ってもらいたいものだ。
「聖、お前ここに来る前どこにいたんだ」
「待ち合わせ場所に、ずっと居た」
もうお気づきだろうか。この長い赤髪で羽のある、魔法が使えない精霊が俺の妹である。
名前は聖。俺には良く分からないが、ひらひらした服を好んで着る。理由は動くと踊ってるみたいで綺麗だから、だそうだ。
「そういう零兄こそ、どこに...?」
ずっと待ち合わせ場所に居たと言う聖の発言がどういうことかと考える前に問われる。
俺の名前は零羅だが、聖には零兄と呼ばれている。
「どこって、俺もずっと待ってた...んだけど...」
や、やっぱり俺が待ち合わせ場所を間違ってたのか?!
さっき公園で待っていた時と同じ焦りに見舞われる。
「それに、さっきの戦い...綺麗じゃない」
「すみませんでした」
もう謝るしかない。彼女はただ一人、俺の魔法が綺麗だと言ってくれた。人間が使う魔法が綺麗だと言った。
綺麗なものは、綺麗なままで。
綺麗なものは、失われることがないように。
常に、どんなものよりも綺麗であれるように。
だから俺は、魔法を雑に使えば聖に怒られた。正確に言えば、怒られたではなく...“私、嬉しくないから、だめ”みたいなことを言われて説教された。
「ま、まぁ、取り敢えずその話は後にして...」
俺は心苦しくも話題の変更を試みた。
成功したのかしてないのかはともかく、聖は次の俺の言葉を聞いてくれるようだ。
「その子供、どうする?」
俺が指さしていうと、子供は震えて今にも泣き出しそうな顔をした。
それを見た聖は子供のところへ行き、しゃがんで目線を合わせると微笑んで頭を撫で始める。
俺は数秒間その様子をじっと見ていたが、最初から決まっていた答えを当たり前であるかのように、静かに口にした。
「殺すか」
実は戦闘シーンを書くのが苦手です。
じゃあ何で戦闘シーンある小説書いてるんだよ!!ってなりますが...好きなんです!戦闘シーンが!!
ここまで読んでくださってありがとうございます!