-友達-
「何でそんなに疲れてるのよ」
俺の様子を見た白癒は開口一番にそれを口にした。もう少し俺を労わってはくれないのだろうか。
白癒らしいといえば白癒らしいが。
「お前、やりすぎなんだよ...!」
「やりすぎ?まだ本気出してなかったけど」
なんて恐ろしい。
もうこいつの相手はしないように心がけよう...。
というか、ここまで来ると何故俺が練習相手に選ばれたのか更に謎だ。本気を出していなかったという白癒の腰には、確かに余りの弾倉がささっていたし、恐らく俺の様子を見て練習を終えたのだろう。これでは確かな実験結果が得られなかったのではないか。
「...白癒。ごめんな」
俺がポツリと発した言葉に、白癒が顔をしかめる。何度も見たことがある、俺が嫌いだったその表情。俺と聖のことを好き勝手言うときに似たその表情。けれど、何故か今は違って見えた。
「どうして謝るのよ」
「あんまり役に立てなかった」
折角、俺を選んでくれたのに。
折角、俺を認めてくれたのに。
やっと、俺を必要としてくれたのに。
「知ってるわよ。貴方が役に立たないことくらい」
...は?!
「魔力回復のことも、暇じゃないことも知ってたわ」
じゃあどうして俺に練習相手を依頼したんだ?!
単純に見ればイジメでしかないぞ。
まさかそのつもりでやったわけではあるまいし...。いや、そのつもりではなかったと信じたい。
「意味が分からない...」
俺はため息まじりに、そうとしか表せない本音を言った。白癒は首をかしげて良く分からない微妙な表情をつくったが、やがて俺に背を向ける。
「つまり!私が貴方に練習を頼んだ理由はただ一つ!あ、貴方と話す機会が欲しかったからよ!」
怒鳴るように言って、俺が何か行動を起こす間もなく早足で歩き始める。いつものように壁を乗り越えればいいものの、南のドアを態々開けて練習場から出て行った。
一人取り残された俺は思う。
話したかっただけなら、一緒に街を回ればよかったのではないか、と。
とにかく結果的に魔力消耗で疲れきった俺は、練習場を出ると真っ先に自室へ向かった。
予定変更。街の偵察は明日に回して今日は休むことにする。少々怠けすぎのような気もしたが、残念ながら時間はありまるほどにある。どれもこれも前王のお陰。
しかし、これまた残念なことに、前王が俺たちに何を望んでいたのかはさっぱりわからない。世界統一は零聖の勝手な目標だし、他の誰かが国王になっても成し遂げることは可能だったと、俺は考えている。
「何か見落としていることが...」
あったとしたら。
部屋に歩きながら記憶をたどっていた俺は、ふとある精霊のことを思い出した。確かその二人は双子で翠の友達だった。ここ数年会っていないが、元気にしているだろうか。
双子の女の子の名前は藍。青色の癖っ毛と水色の瞳。魔法で獣を召喚して戦う。
男の子の名前は蒼。藍と同じく青色の癖っ毛で水色の瞳。水や氷を使った魔法を好む。
二人の見分け方は、着ている服だった。いつも意識して藍が水色のローブ、蒼が緑色のローブを着ているらしい。
そんなことを考えていた俺の足は自然と、翠がいる事務室へと向かうのだった。
短くてすみません!あとで付け足すかもです。
最近寒くなりました。昼間も寒いです。夜なんて凍えてます。前回の後書きで昼間は暑い時もあると書いたばかりなのですが、寒くなりました!秋とかありましたかね?!←




