解禁した結果
任務が終了し、現実の俺と天国で過ごしてきた俺の魂を切り離した俺は、天国へ帰ってきた。
そして、その翌朝のことである。
「ん……あー、よく寝たああああ」
ぐーっと伸びをして身体を解す。
そして左右にいる二人の少女を見て、俺は顔を青ざめた。
お、おいおいおいおい。一体どこまでやったんだ、夜の魔王よ。
(…………)
しかし、心の奥底で眠るやつへ話しかけても返事はない。完全に眠っている。
とりあえず俺は、横の二人を見ないようにしながら起き上ろうとしたが――
くっ、身体を動かせない。
だって、だって……二人が俺に密着してきてるんだもん。
しかも裸で!
「…………」
俺は無言のまま、これからどうしようかと思案する。
まず二人の姿をどうにかしなければならないだろう。となると、とりあえず服を着てもらわないといけないのだが――
うーん、どこだ。ルナたちのパジャマはどこにあるんだ。
少しだけ体を起こして布団が二人から剥がれ落ちないように注意しながら、ベッドの横を、主に床を見ると――
服が乱雑に置かれていた。
ルナがよく着用している猫の着ぐるみパジャマに、ティグリスのピンク色の可愛らしいパジャマ。
本来ならルナが猫の着ぐるみパジャマを着用するときは下着を穿いていないのだが、今回は穿いていたらしい。
それも地球で買った、つい先日買った白の下着を。
ティグリスは違ったらしく、パジャマの色と同じピンク色の下着を穿いていたようだ。
ただ、その下着を目にしたことにより問題になったのが――
「み、見なかったことにしよう」
うん、俺は見なかった。
断じて見ていない!
何があっても見ていない!!
二枚とも、とある部分がシミになっていたなんて見ていない!!
「とかなんとか言いながらもしっかり見ているじゃないですか、トノサマ」
「そうね、相変わらず行動が逆なのね」
「お、お前らいつから起きて……!?」
「え、最初から起きていましたよ。目は瞑っていましたけど」
「そうよ。だって真志さん。あなた寝させてくれなかったじゃない」
「……っ」
そんなことを言われた後、双方から抱きつかれた。
胸の柔らかい感触もそうなんだけど――
「や、やめろ! う、腕を股で挟むなお前ら!」
本当に眠らせてくれなかったのか、ルナの身体もティグリスの身体も結構汗ばんでいた。
その……妙に興奮させる汗の匂いというか……他の匂いなのかはわからないけれど。
とにかくヤバい。この状況はマズイ。
どうにかしてここから逃げ出さないと。
「逃げ出さないとって……ひどいです、トノサマ。まだ私たちはこんなにグショグショなんですよ。早く蓋をしてください」
「そうよ。逃げるなんてひどいわ。わたくしたちをまたここまで濡れさせておいて」
と言いながらさらに、ぎゅううううううううう。
腕を強く抱きしめてくる。
や、やめろ! そんなに抱きつくな!
そんなことされたら――
(……呼んだか?)
ほら、出てきたじゃねえか夜の魔王が!
お前は呼んでねえよ!
「あら、魔王が復活かしら?」
「トノサマが殿様に変わるんですね?」
「だからお前ら俺の心を読むんじゃねええええええええええええええええええええ」
ガバッと勢いよく起き上がり、俺は部屋から飛び出す。
「待ってください、トノサマ!」
「真志さん、逃げちゃダメよ」
ルナとティグリスも部屋を飛び出し、そのままの格好で俺を追いかけてくる。
「だからお前ら服を着ろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
俺は叫びながら逃亡を試みる。
無駄だと分かっているが……できる限り逃げる! 逃げ続ける!
そうさ、俺は絶対に諦めないんだ!
こうして今日もドタバタする毎日がやってきた。
地球と違い、天国で過ごす二人は歯止めが効かない。
それに契約者が二人になった俺は、さらにもう一人からもプライバシーを侵害される。
でも、それでも……
悪くないかもな、こういう生活も。




