亡霊の結末
もうすぐ人気の無い路地へ入ろうとしていたところで……
音もなく、俺の身体に取りついていた亡霊が弾き出された。
『……ッ。な、何だ? 急に身体からぼくが』
「唯奈。ちょっとここで待っていろ。野暮用が入った」
「な、なに? 急にどうしたの、おにいちゃん」
突然雰囲気が変わったことに唯奈は目を白黒させる。
当然の反応だろう。
「いいからそこで待っていろ。絶対だぞ、いいな?」
「う、うん。わかったけど……変なおにいちゃん」
とりあえず俺は唯奈を本屋の中へ入らせる。
そして、
「ルナ、降りてこい。そして貴様、亡霊よ。成仏させてやろう」
と言って、慌てふためいている亡霊の身体を掴み、逃がさないようにする。
『なっ、ど、どうしてぼくの身体を掴むことが』
「今の俺を普通の人間だと思うな。どれ……」
ルナが空から降りてくるのを待たずに亡霊の身体を引っ張り、人気のない場所へ連れて行く。
人気の無い路地に入ったところで、ルナが空から降りてきた。
「トノサマ。亡霊を掴んでいますけど……って、もしかして殿様?」
「あぁ、そうだ。ちょっと訳あってな。表の俺に頼まれた」
「そ、そうなんですか。じゃあ今から」
「そうだ、こいつを成仏してやれ」
『や、やめろッ。ぼ、ぼくはまだやり残したことが』
「五月蝿いやつだな。調理方法は何がお好みだ? 魔法か、それとも鎌で切裂かれるのがいいのか、はたまた活動エネルギーを全て吸い取られるのがいいのか」
「殿様。選択肢ははじめの二つですよ。どっちにしろ活動エネルギーをすべて奪うことになりますし」
『ヒィィ、やめろ、やめてくれ。こうなったら』
そう言いいながら亡霊は周りを確認する。
……無駄なことを。
「残念だな。この場には俺たち以外の人間はいない。ルナ、鎌で決定だ。久々の狩りだ。ゾクゾクするだろう?」
「そうですね。狩りをするのは久々です」
ルナがそう言いながら――――ガシャン。
二メートルは越えるであろう大鎌を召喚する。
「何連続斬りがいいですか、亡霊さん?」
言葉は丁寧だけど、口は笑っているのに目は笑っていない。
『やめろ、やめてくれッ』
「ルナ、痛いのは可哀そうだからな。一〇連続にして終いにしようか」
「殿様、それ私のできる最大じゃないですか。相変わらずドSですねえ、殿様は」
「当然だろう。それじゃあ、ルナ」
「はい」
そして亡霊にゆっくり、ゆっくりとルナは近づいていく。
亡霊は俺に掴まれているため、逃げることは不可能。
『やめろッ、やめてく―――ッ』
そして、ルナが大鎌を振り上げて――――――――




