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契約者は侵害する!  作者: るなふぃあ
第四章 夜の魔王はえっちぃことが大好きなのです
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覚悟

 翌朝。

 予想外にもしっかり眠ることができた。

 といっても、ティグリスの匂いも加わったからドキドキ感は半端なかったのだが。

 一度それに近い体験を、主にルナと一緒に眠ったことがあったためか、いつの間にか眠っていた。昨日のようにまた気怠い思いをして目を覚ますことがなくてよかったと思う。

 が、

「さて、どうしたものか」

 ルナもティグリスもまだ眠っている。スー、スーと規則正しい寝息が双方から聞こえてくる。おまけに腕に抱きつかれたままだから、顔以外は動かせない。

 一応二人の寝顔を確認してみたのだが……何とも幸せそうな、もしくは安心したような表情をして眠っていた。

 とてもこの二人の眠りを妨げることはできないと思って、結局俺はしばらくじっとしておくことにする。

 そして、数十分間そうしていると――ガチャリ。

 急にドアが開いた。

 いや、勝手に開いたのではない。誰かが開けたのだ。ルナもティグリスもここにいるし、父親も母親も帰ってきていない。

 つまり残っている人物は、

「おにいちゃん、起きてる? いつもの起きる時間はもう過ぎているんだけど」

 案の定唯奈だった。どうやら朝食を作ったのに降りてこないからまだ眠っていると思ったらしい。

 そういえば忘れていた。昨日アラームをセットし忘れたんだった。ま、とりあえず返事だけはしておくか。

「あぁ、さっき目を覚ましたところ。唯奈、今何時だ?」

「今七時二〇分だけど……って、おにいちゃん。なに、してるの?」

「――え?」

 なるべく体を動かさないようにして唯奈の方を――ちらり。

 なんか、ものすごく困惑した表情をしていた。

「え、えーっと……これは、だな」

「ふーん、そっかぁ。そうだったんだぁ。やっぱり二人とはそういう関係だったんだね?」

「え、いや、これはその」

「あ、おはようございます、トノサマ。唯奈さん」

「ん、もう朝なのね。おはよう」

 俺と唯奈の話し声で目が覚めたらしく、ガバッとルナが勢いよく起き上がった。

 その一方、ふわぁぁぁと欠伸をしながらティグリスがゆっくりと上体を起こす。

「おはよう、ルナさん、ティグリスさん。……ごめん、ゆいなはお邪魔だったみたいだね。下で待っているからごゆっくり」

「ちょ、待て唯奈。これは誤解で」

 バタン。ちょっと強めにドアを閉められた。

 ……怒っている。理由はよくわからないけれど、あれは間違いなく怒っている。

 それに完全に勘違いされてしまった。

 あ、いや、勘違いじゃないといえば、そうなのかもしれないけれど。

 契約者っていうのはまぁ、そんな関係だし。

「わかっているじゃないですか」

 とかなんとか思っていると、やはりルナに胸中を読み取られた。

 続けて、

「そういえばどうですか? 昨日やったことでちゃんと思い出せていますか?」

「ん、昨日やったことって……おぉ、全部思い出してるぞ。ルナと初めて出会った時も、下級悪魔とボードゲームをした時のことも、それに天国で短編小説を作るという任務を遂行した時のことも」

 ルナと出会った時はゾンビ、もとい亡霊に俺は襲われていた。それをルナに助けてもらったのが初めてこいつと出会った時のことだ。

 また、下級悪魔ともボードゲームで命を掛けた勝負もした。あの時は巨大チェスを扱って自分がキングに乗ったんだよな。

 そして、無事天国へ行ってからは初めての任務で短編小説を作った。ルナとどういう風に小説を作るか考えた挙句、議題系小説に決めたんだよな。

 俺とルナの会話を聞いていたティグリスが首を傾げた。

「真志さん、それは本当?」

「あぁ、もちろんだ。ちゃんと記憶に戻っている」

「そう、よかったわ。ということはやっぱり」

「眠ったら記憶が戻るようですね」

「そうみたいだな」

 ルナの答えに俺は頷く。

 これで確定した。記憶を取り戻すためには思い出したい記憶に近い体験をして、あとは眠れば良い。

 よし、これであと思い出せばいいことは――

「残りの三つですけど、まだアレ以外で思い出せるような方法は考えていないですよ?」

 俺の胸中を読み取ったルナが先に答える。

「それってルーズリーフに書き出したことよね? 残念ながらわたくしもまだ考えていないわ」

 どうやらティグリスもルナと同じようだ。

「そうか……」

 困ったな。残りの三つってかなり難しいんだよな。

 でもどうしようか。何せこっちには時間制限がある。今日一日という限られた時間の中で何としても残りの三項目によって思い出せる記憶を呼び戻さなければならない。

 やり方を考え直している時間なんてないのだけれど、

「こうなったらトノサマ、実際にそれを行なっていくしかないですよ」

「う……そうなんだけど」

 ルナの言葉に俺は顔を引きつかせる。すると、ティグリスが上目づかいで俺を見つめ、瞳を潤わせた。

「真志さん。ここまで来てわたくしを見捨てるの?」

「……覚悟は決まった」

 そんな目で見つめられてナヨってなどいられない。痛い思いなどドンとこいだ。

 よし、とりあえず順にやっていくか。

 どうせどれからやってもひどい目に合うのは間違いないのだし。

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