出発前
そんなこんなで不安になりながらティグリスと一緒にルナを待っていると。
漸くルナがまともな格好をしてきた。
といっても昨日着ていた制服。特に変わったところはない。
そういえば、ティグリスも制服なんだよな。
「なぁルナ。どうして制服なんだ? それにその制服はなんのやつなんだ?」
「あれ? このことは思い出してないんですか? 昨日私たちが着ているのを見たはずなので、てっきりあの時のことを思い出しているのかと私は思っていたのですが……」
「あの時のこと?」
「ええ、そうよ。あんなに過激だったのに……真志さん、忘れてしまったの?」
「か、過激!?」
ティグリスの捕捉に俺は素っ頓狂な声を上げる。
お、おいおいおい……過激ってどういうことだ!? ルナたちがその制服を着ている時、いったい何が起こったというんだ!
「ティグリス。このことは言ってしまっても問題ないですよね?」
「別にいいと思うわよ。話をすることで思い出すかもしれないし」
ティグリスの同意により、ルナがこほんと咳払いをした。そして、
「では……いきます。あれは数か月前の出来事でした。いつの間にか殿様がこの制服を用意していたらしく、深夜を過ぎた頃、眠っていた私とティグリスを起こしてこの制服を着せてきたのです。そしていつものように殿様が私とティグリスを同時に、いわゆる3ぴ」
「ちょっとまったあああああああああああああああああああああああ」
「ど、どうしたんですかトノサマ。急に大声を出して」
「それ以上は言わなくていい!」
「え、でもここからが盛り上がるところで」
「とにかく言わなくていい! それよりもほら時間がない。今から出ないと間に合わないかもしれないぞ!?」
と言って、あわてながらルナたちに時計を見せる。
が、
「まだ時間があるじゃないですか」
「ルナの言う通りよ。上映時間まであと五〇分もあるじゃない」
二人に否定された。くうっ、やはりダメか。上映時間を二人に教えちまってたんだった。
それならば。
「いや、でもここから移動するのに――」
「二〇分しかかからなかったはずよ? 真志さん、あなたそう言ってたわよね」
「ぅ……」
ティグリスに言われて俺は口籠った。し、しまった。ティグリスにだけは徒歩でかかる時間を教えたんだった。ルナには言ってなかったからうまくいくと思っていたが……。
くっ、こうなれば止むを得ん。
「あ、あれだ。ちょっと早めに行って向こうでゆっくりしないか? 映画館の付近に喫茶店があるんだ」
食べ物で釣るという卑怯な手を使ってみたのだが……おっ、どうやら二人には効果があったらしい。二人とも乗り気な表情をしている。
「あら、それはなかなか良さそうな案ね」
「そうですね。もちろんトノサマが奢ってくれるんですよね?」
「おう。もちろん俺の奢りだ」
ルナの確認に俺は冷汗をかきながら頷く。なんとか食べ物の話へ逸らすことはできたが、余分な出費が増えてしまった。
でもいいか。あの怪しげな話の続きをされるよりはよっぽどましだ。
「さて、じゃあ行くとするか」
「ええ、行きましょう」
「喫茶店……ふふっ、楽しみね」




