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ゲームスタート


家に着き、ハサミを取りに行く時間さえ惜しんで

手で強引にエロゲのビニールを破る。


いい年した男がエロゲを抱きしめ、

にやけながら帰路を急ぐ姿はさぞかし不気味であっただろう。



─ジィィィィィ


少々不愉快な音をたててパソコンがソフトを読み込むと、

画面にはお洒落な校舎が映された。


きっと、このエロゲの舞台である女子校(てんごく)だ。

その女子校の後ろには深々とした森が広がっているようだ。


青い空、深い緑、校舎の茶色…。


速まる鼓動を抑えつつ、ゲームを進める。


画面の右上から、羽の生えた女子高生(エンジェル)が楽しそうに飛び出でてくる。

『はじめましてっ!どの子にする?』

そこには三人の女の子がいる。

もちろん、全員名前を把握していた。


しかし、俺には迷う必要もない。

手に持つマウスは止まることなく机の上をせわしなく駆け回る。


ルリカ、っと。



『本当にこの子で良い?』


その質問にYESと答えると、

ルリカがこっちに向かってお辞儀をした。


かっ…かわいい…!!


さすが俺が見込んだだけの子である。

お辞儀の仕方も、俗にいう最敬礼。一番丁寧なお辞儀だ。


顔をあげたルリカと画面越しに見つめあう。

その瞳の嬉しさの影に悲しい感情が感じられるのは気のせいだろうか。

しばらくしてルリカが口を開いた。


「初めまして、ご主人様。私を選んでくださりありがとうございます。

ご主人様のお役にたてるよう、精一杯務めさせていただきます。」


次へ、をクリックする。


「私はまだ攻撃力も技能も何もありません。

ご主人様の言うことは絶対であり、喜んでなんでも受けます。」


攻撃、という単語に少しの疑問を持ちながらも

次へ、を再度クリックする。


「では、さっそく得意技を選んでくだ───!?」


『パッシューン』


はぁ…、まったく…。

ルリカが喋ってるのになんで邪魔すんだよ。

紙吹雪のようなものの所為でカラフルになった画面をみながら、長いため息をつく。


『おめでとうございまーす!』


女の子を選んでね、と言っていた、羽の生えた女子高生(エンジェル)

クラッカーを鳴らしながらの再登場。


『田中 真彦様。』


………っ!?

なんで本名を知っている!?


愕然としている俺をよそに話は進んでいく。


『あなたは伝説の勇者に選ばれました。

いまから五分間だけ、

とある方の力で二次元と三次元の間の空間がなくなります。』


頭が痛い。

伝説の勇者?間の空間がなくなる?


『信じるか信じないかは貴方次第。

来るか来ないかも貴方次第。』


淡々と話す羽の生えた女子高生(エンジェル)が怖くなってくる。

『あ…。』

ふと、羽の生えた女子高生が指をさす。


「くる…しい…っ!助け…て!!」

その指をたどると助けを求める、ルリカ!?

その首には蛇のようなものが巻きついていて、締め上げようとしている。



ほぼ反射的に手をのばして、その生き物を剥ぎ取った。



「はあ…はあ……っ!」

画面後しのルリカは

肩を大きく動かして必死に酸素を取り込んでいる。


……あれ?

なんで助けられたんだろう。


生き物を握った感触はしっかりと手に残っている。



『田中様、残り2分ですが…。

この世界に来られるようであれば、今のように画面の中に入れれば良いのです。

その時は腕だけではなく全身を。』


これは、本当に現実に起こっていることなのか?

近くにあるシャープペンで思いっきり手の甲を刺す。

球のようになって血が出てくる。

痛い……。


『ただし、一度入ればこの世界に戻れるかは分かりませ──』

「行くに決まってんだろ!?!?』


まさか、こんなことが現実だとは信じにくい。

でもこの数分間に起きたことはトリックや夢ではなさそうだ。


それに………。

画面に目を移すと、先程の苦しみから涙目になっているルリカ。

口元に微笑を浮かべている羽の生えた女子高生。

少し遠くから不安そうにこちらを伺う、選ぶ候補にいた二人。

そして、ガヤガヤと賑わう女子校舎。


なんの迷う要素もない。

行くよ、行くに決まってる。



『それは光栄です。』

一切表情を変えない羽の生えた女子高生は一礼してから画面の端にずれる。


よし行くぞ!

意を決して、右足を勢いよく画面の中へ入れる。

何の抵抗もなくその世界(にじげん)の地へ着いた。

例えるならば、寒い日に浴槽をまたぐような感じで。

右足が今にも踊り出しそうだ。


一度入れてしまえば、もう恐怖感はない。

ほぼ間髪入れずに左足もいれる。



─ピンポーン

普段は訪ね人がいない為、ほとんど意味をなさない家のチャイムが

こんな時に珍しくなった。


気の毒だが帰ってもらおう。

今更、此処(にじげん)から両足を抜いて玄関を開けなければならないほどの

大切な人ではあるまい。

きっと、(さき)らへんだろう。


腰を前に出して此処(にじげん)後方(さんじげん)の狭間に座る。

たぶん、いま俺は宇宙一珍しいところにいるんだろうなぁ、なんてにやけながら。


ーガチャ…

「…鍵あいてる。

まさくん、いるんでしょー?入るよー!」

玄関の方から声が聞こえた。やっぱり咲か。


そういえば鍵かけるの忘れてたかも。

てか勝手に入るなよ。


『田中様?あと15秒ですのでお急ぎください』

「はい、すいません」

心の中で咲に毒づきながら、少し急ぎめに頭も入れた。



俺、二次元デビューしたぞ!!!



「……まさくん?え、あれ?」

遠くから咲の混乱するような声が聞こえた気がするが、

今はそれどころじゃない。




とりあえず、ルリカの巨乳に向かって走った。

更新、遅くなってすいません。

二次元デビューは真彦と一緒に私も喜んでました。

やっと二次元へ辿り着けた(ぇ

それではまた、近いうちに。

ありがとうございました!

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