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勇者様は女の子?

作者: あむ

俺の生きがいは可愛い女の子を口説くこと、可愛い女の子と付き合うこと、可愛い女の子と……

ま、女の子あっての俺、みたいな。

その生きがいは、世界が変わっても変わらない。

俺が、俺である限り…。




「勇者様、魔王を倒してください!」

「いいよ」


いつもの高校の教室にいたはずなのに、一瞬の暗闇のあと、気がつけば神殿のような空間にいた。

そして、そんな俺の目の前にいたのはローブをまとった美少女。

その美少女のセリフに、俺は間髪いれずに即答した。

あまりの即答ぶりに、美少女も一瞬言葉に詰まったほどだ。


俺だってもちろん驚いているし、混乱もしている。

けど、いくら驚いていようとも、魔王とか訳わかんないとか思おうとも、こんな美少女の頼みを断ることができようか!!


まぁ、その美少女も、だぼっとしたローブを着てるから全体像は把握できないんだけど。

その目深に被ったローブから覗く桃色の唇とか、小さな鼻とか、チラリと見える深い青の瞳とか!!

まぁあとは俺の動物的直感が、この子は俺のタイプだと告げている。

そんなわけで、いくら世界が変わろうとも、女の子の願いは叶えねばならないのだ。


それに、さっきまでの喧騒を避けられたっていう喜びもあるしね。



「ありがとうございます!

 この国の名はシュベリウス。私の名はリリーと申します。

 勇者様の名前をうかがってもよろしいですか?」


俺の即答っぷりに止まっていた美少女は、我に返ったらしい。

ローブを外し、自己紹介をしてくれた。

…思ったとおり、ドストライクに可愛い、もろ俺のタイプです。


「俺の名前は薫、姫島薫(ひめじまかおる)

 普通に学生なんだけど、大丈夫かな?」


俺も自己紹介しつつ、聞いてみる。

じゃあいいやって還されてもなんか寂しいけど、疑問は疑問だし。

異世界トリップのお約束的に、特殊能力とか付いてたらいいなぁなんて希望もあったし。


「大丈夫だと思います。

 わが国の言い伝えの通りのお方とお見受けしますので」


「言い伝え? どんな?」


「『異界から召喚されし少女が世界を救う。

  彼の者は漆黒の髪をなびかせ、漆黒の衣をまといて現れる。

  漆黒の少女には、神々の祝福が与えられるだろう』とあります」


「え、ちょ、俺、男なんですけど?」


得意げに告げられたその言い伝えに、大いに反論する。

確かに学ランは黒いし、髪も黒いかもしれないけど、なびくほどもないし、まず第一に『少女』ではない。

そう言ったら、リリーは不思議そうな顔をした。


「え、私の見る限り、女性に見えるのですが…」


「いやいや、確かに昔から女顔だって言われるけど、髪だって……

 って、ええっ!!??」



短い髪を示そうと頭に手をやれば、そこにあったのはいつもの短髪ではなく、長い、長い髪だった。

手にとって見れば、腰ほどまでもある、それはそれは見事な黒髪。

そして、その視線の先に見えた自分の服装にまた愕然とする。


「な、なんで……」


俺は、セーラー服を着ていた。

いつもの学ランではなく、女子の制服。


そして気づく、体の異変。

まず、足が細い。スカートから覗く足が、まさしく女子のそれになっている。

そして、恐る恐る落とした目線の先に、見つけてしまった。

大きく膨らんだ、胸を。

そして、その下は…??


「どうかなさいましたか?」


急に挙動不審になった俺に、リリーが話しかける。

けど、それに答える余裕なんて、あるはずがない。


恐る恐る、襟元から自分の胸を見る。

谷間……。

憧れの谷間。

いや、しかし、それは自分じゃなくて可愛い女の子のを見たり触ったりするものであって…。

俺の胸に谷間は要らない。


触ってみた。

柔らかかった…。

これが自分のものでなければ、夢のようなさわり心地なのに…。


「あの、カヲルさま?」


自分の胸をもむ、という挙動に、リリーが不審な声を上げている。

でも、もう一箇所、確認すべきところが、ある。


そっとスカートをめくる。

ない。

そこにあったのは昨晩履いたはずの星柄トランクスではなく、清楚な白のパンティ。

どこかで見たと思ったら、3ヶ月前に別れたリョウコちゃんが履いてたやつだ。

清楚で可愛いリョウコちゃんに似合うなと思ってたから覚えてる。

で、何でそれを俺が…。

しかも、そこにあるはずのふくらみが、ない。

触ってみる。

やっぱり、ない。

そっと、そうっとその白いパンティをめくってみる。

あぁ……



「俺は、女の子??」


「そう見えますが……」


絶望に染まった俺を、奇異なものを見るような目で見るリリー。

だいぶ引いてるよね。

すごい好みの子なんだけどな。



そうか、俺は、女の子、か…。

いくら好みの子でも、女同士では付き合うことも口説くこともできない?

俺の、生きがいが…。


「女、女かぁ……。」




つぶやきながら、もう一度スカートの中を確認して・・・・・

そこで、意識を手放した。





遠くなった意識の先で、思うのはここに来る直前までの事。


文化祭の出し物で、シンデレラをすることになった俺たちのクラス。

そのシンデレラ役に、この俺が抜擢されようとしていた。

普段から女顔を気にしていたのに。

絶対に嫌だと言い張る俺と、有無を言わさずやらせようとするクラスの面々。

どこからか取り出したドレスを持って追いかけまわされた。

そんな喧騒から、逃げられたと思っていたのに…。


まさか女装以上のことが起こるなんて…。





それから、小動物系な侍女に飾り立てられたり、双子の剣士を仲間に入れたり…

好みの美女に囲まれて、天国なはずなのに地獄名日々。

それでも、勇者として魔王を倒す旅に出る…のか?



さて、俺の未来は…??



とりあえず思いついたネタを書き留めてみました。

続きは考えてないのですけど、もしもリクエストがあれば考えるかも?


別サイトで連載している作品のパラレルネタです。

お暇があれば読んでみて下さい。

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