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始原世界の中で  作者: 神原 拓
第1章 世界の始まり
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ガイアとリリアは… 前編

次の日、さっそくレイルはリリアを見つけ出し、ガイアを協力してもらうように説得した。

最初は嫌がっていたリリアだったが、これもツキを助けるためとダメ押しで言ったところ渋々納得した。


「しかし、レイルさん。どうやって、ガイアに協力してもらうんですか?あの人は姉には絶対服従するような男ですよ」

「あのガイアが服従するような奴なのか。少し興味はあるが、今は関係ないな。まあ、ガイアは少し痛めつけて大人しくなったところをリリアちゃんに説得してもらうというかたちになるのかな。で、そのためにリリアちゃんには…」

「ナンジョウ家のフリをしろと?」


リリアはレイルの考えをすぐさま見破った


「私にあのナンジョウ家のフリをしろと?どうせ、ナンジョウ家の次期当主が同い年だからちょうど良いとでも思っているんでしょう?ふふふ、そうなんでしょう?」


リリアに見破られたことにレイルは少し驚いたが、それを笑いながら喋るリリアに驚き以上の恐怖を感じていた。


(リリアちゃん怖!目が笑ってないよ。あれは、絶対やりたくないって思ってる。でも、ここは協力してもらわなくちゃならないからな。悪いがリリアちゃんには苦労してもらうよ)


「考えがばれている以上もう説明はいらないね。それで協力してもらえるかな?ちなみに、リリアちゃんの返事のすぐ後にガイアのところ行くから」

「ふふふ、レイルさん?これはどうせ拒否できないんでしょう?私が拒否したところであなたはレンの名前を使う。分かりきった結末です」

「そこまでは考えていなかったが、拒否しても協力はしてもらっていたね。確実に」

「ふぅ、仕方ないですね。今回だけはナンジョウ家のフリをしてあげます。その代わり、もう2度とナンジョウ家のことと私を関係付けないでください」

「分かった」


一応協力することになったリリア。しかし、一つ疑問点があった。


「ところで、痛めつけるといっていましたがそれはレイルさんが?」

「ああ、ある程度痛めつける」

「私には必要性を感じないんですが、何故そのようなことを?」

「いや、これはただ単に個人的な理由でかな。実践でどのくらい戦えるのかが知りたくてな。そのためには直接手合わせした方がいいんだ」

「そうですか分かりました」


こう言ったレイルだったが、ガイアと戦闘を行う理由にはもう一つ実に個人的なものがあった。


(ガイア…日々俺が巻き込まれた喧嘩の数々の恨みここで晴らしてくれるわ!手加減はしない。徹底的に痛めつけてやるぞ。俺の苦渋の毎日と理不尽の恐ろしさを身にしみさせてやる。はっはっは!)


「レイルさん?何故に笑っているんですか?そんなにガイアとの戦いが待ち遠しいのですか?はぁ戦闘好きは男の特徴なのでしょうか…」


などなどと隣で一人呟くリリアの言葉をレイルはまったく意に介さず、これから起きるガイアの惨劇を想像するのだった。


そして、場所は変わり第2演習場。人払いは済まし、多少の音では誰も来ないようにしておいたレイル。準備は万全だった。そこに、犠牲者ともいえるガイアが登場する。


「いたいた。ガイアよ…覚悟しろよ」

「レイルさん鏡見たほうがいいですよ。顔がすごいことになっています」

「おっといけない、いけない」


2人はレイルのコート型の麒麟機巧〈クサビ〉のステルスを使い背景に同化しながら様子を伺っていた。


「何故仮面なんか被っているんですか?」

「ん?正体がばれないように」

「素顔のままでも良いのでは?力試しだけでしょう」

「いや、そうなんだけどね。やっぱり実力見たいからね。知っている友人にいきなり戦えって言われても本気出せないでしょ」

「それでは、麒麟機巧も使わないのですか?」

「そうだね。すこしきついだろうけど大丈夫だろ」

「少し過小評価な気がしますが…」

「そうかもね。リリアちゃん、終わらせるタイミングは君に任せるよ」

「分かりました」


レイルは〈クサビ〉のステルスを解除し、漆黒になったコートをたなびかせながらガイアの前におどりでた。


「うおっ!?なんだ!」


突然の人の襲来で当然の反応を示すガイアの顔を見ながらレイルは隙だらけのガイアにいきなりの攻撃を仕掛ける。

まずは腹部のみぞおちに狙いを定めた。

俊敏な動きですぐさま近づき唖然としているガイアの腹部にまっすぐに拳を繰り出す。


「ぐふっ!」


見事に目標に命中。

小さく悲鳴を上げたガイアだったが、突然の攻撃に異常な事態と認識したため隙だらけだった体を戦闘状態に移行させた。


(やる気になったか、だが構えがまだ甘い!)


レイルはさらなるガイアの本気を見るために攻撃の手を緩めなかった。

戦闘状態に移ったガイアの足を払い体勢を崩したガイアの体に更なるダメージを蓄積させていく。


「くっ!この野郎!」


ガイアは執拗な攻撃に苛立ちを覚えながらも反撃を開始した。

相打ち覚悟で仮面の男の顔面に拳をめり込ませようとしたが、避けられた。


「くっ!おらぁ!」


避けられた事を予想していたガイアは回し蹴りを喰らわせようとしたが、軸足を仮面の男に叩かれまたしても体勢を崩した。

隙だらけになった右脇に仮面の拳がまたしてもめり込む。


(重い!)


相手の武術の力量を直に感じ取りガイアは体術においての自分の劣勢を思い知った。

すぐさま距離をとるべく後ろに跳んだが…


「なにっ!?」


レイルはその行為をガイアにさせなかった。

後ろへ跳ぼうとしたガイアの腕を掴み自分の方へ引っ張り込む。

ガイアは強い力で引っ張られ体を地面に叩きつけられた。

しかし、このときガイアも次の行動の予測をつけていた。

ガイアを引っ張り込んだ仮面の重心は後ろにずれているところをガイアは視界の端に見ていた。ガイアはとっさに地面に叩きつけられた衝撃を頭から消し、立ち上がる途中の動作で仮面の腹に頭ごと突撃。頭からの突進だったが効果はあった。


「っ!」


ガイアの突然の行動に仮面は避けられず正面からガイアの突撃を受けた。

そのまま2人はお互いに地面に倒れこむ。


(捕らえた!)


瞬間にガイアは心の中で捕獲したと感じた。

自分は今この仮面のマウントを取っている。

絶対的に優勢な状態だ。

しかし、当然そう思ったガイアに油断が生まれる。小さな油断だったがそこをレイルは逃さなかった。

体を稼動限界まで曲げ、バネのように足をはねらせる。

ヒュッと風を切るような音とともにガイアの後頭部に仮面の右膝が激突した。


「くぁ!」


死角からの攻撃にガイアの頭は軽く揺さぶられた。その隙を見て仮面はガイアから脱出し距離をとる。


(くっ・・このままだとまずい!接近戦では俺が圧倒的に不利。遠距離からやるしかない)


ガイアの仮面に対する危険度が一気に増加した。

ガイアは一刻も早くこの危険を排除すべく自分の中で使える魔術を探し出し、発見する。

かくして、ガイアは仮面の男に決定的な一撃を与えるために詠唱を開始した。


(ガイア…この状況での詠唱は適切じゃないだろ。集中を要する詠唱は戦いでは枷になる)


レイルは詠唱を始めたガイアに少し失望しながらも右足の蹴りを喰らわせようと動き出した。

しかし、レイルが動き出した瞬間にガイアの詠唱が終わっていた。


(なにっ!? 早い!)


予想を超えた詠唱の短さにレイルは舌を鳴らす。

自分の甘い判断を叱咤しつつもこれから来るであろうガイアの魔術に備えた。

そして、ガイアの使う魔術の名が告げられる。


「重力術〈架願螺旋〉」


ガイアが術の名前を言った瞬間、ガイアの体が宙に浮き始めた。

ガイアは完全な発動の前にガイアを叩こうとガイアに向かって走り出す。

しかし、その行動はすぐさま中断することになった。

そして、すぐさま思い知ることになる。

ガイアを過小評価しすぎたことの後悔と未知の魔術の脅威を。


少し遅れてしまいましたが投稿しました。

何とか時間をとって、早足に完成させた感じです。

暇を見つけては小説のことを考えているのですが、頭の中で完成してもパソコンに入力する時間がありません。(う~ん、どうしたものか。)

ここ最近は時間があまりありませんので、これからは不定期投稿になっていきそうです。やる気だけはあるので、話の途中では投げ出さないと誓います。

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