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始原世界の中で  作者: 神原 拓
第1章 世界の始まり
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ミリヤ=ハテナキ

太陽が傾きかける。現在夕方。

研究棟では、リステリアがレイルからもらったヒントを試しながら飛行魔術の詠唱を改良していた。

リステリアがいるのは研究棟1階。そして同じ研究棟2階ではミリヤが魔力探知機の製作を行っていた。


「ふぅ。これで、完成ね。後は寮で微調整を行いましょう」


ミリヤは今現在、氷魔術の解析をしていない。

諦めたのではなく、コナミに調査を禁止させられたためであった。

ミリヤは探知機を作るかたわら、心の中では氷魔術のことを考えていた。


(もう!氷魔術の研究を中止するなんて何のつもりなのよ会長は!私が何言っても中止しなさいの一点張りなんて!)


ミリヤは最初この命令には猛反対したが聞き入れてもらえなかった。

度重なる会長からの説得などで内心では反対しながらもミリヤはしぶしぶこの中止を了承する形になった。

しかし、中止を受け入れたミリヤはそれでも内心は隠れて研究を続ける気でいた・・・が、


(もう!納得したように見せかけてバレないようにひっそりと研究しようと思ったのに!まさか、欠片持って行くなんて~!)


このミリヤの思惑は氷魔術の結晶は持っていかれる非常にシンプルな行動の前に敗れた。内心で裏では続けようと思っていたためにこれにはかなりショックを受けたミリヤだが、どうしても氷魔術の解析をしたい強い思いを持っていたために探知機をつくって結晶を探し出そうと思いついた。そして完成させた試作品の魔力探知機を掲げたミリアは希望を掴んだような錯覚に襲われた。


「これで、やっと奪われた結晶を取り戻せるわ!待ってなさいよ!」


新たな目標に意気揚々としてミリヤは寮に戻り夜まで微調整を続けた。そんなミリヤが微調整を終え探知機の感度を調べるために夜外に出て探知機の試験動作を行っていた時、ミリヤはとある魔力反応を発見する。


「これは・・・レイル君の魔力?でも、もう1つ魔力がある。こっちは学園の生徒のじゃない?」


探知機には学園の教師・生徒すべての魔力データが入っているのだから間違いは無いだろうとミリヤは考えたが、それではこのデータに無い魔力はなんだ?ともミリヤは思う。しばらくの間ミリヤは二つの魔力の細かい計測を続けた。


「この反応からすると戦ってはないわね。レイル君の知人?でもなんで学校に来てるの?・・・考えても駄目ね。行ってみましょう」


ミリヤは興味が出たことに対してはとことん追求する。

そのときの行動力はいうまでもなくすさまじいものだった。

ミリヤは見たことのない魔力とレイルの知人関係に興味が湧きレイルの居る場所に行くことを決意した。


「場所は1年寮の裏の森の中ね。あんまり人がいない場所ね」


ミリヤはさまざまな考えを巡らせながら探知機を見てレイルがいると思われる森に向かった。

森の中で姿と気配を消しながらゆっくりレイルがばれないところまで近づく。


(居た!)


ミリヤはレイルを視認できるところまで接近した。近づくにつれてレイルともう一人の話し声が聞こえ始める。ミリヤは隠れつつも目を凝らし二人の姿をその目で見た。レイルはいつもと変わらない制服の格好でいたが見知らぬ魔力の持ち主は全身が暗闇に溶けるような黒の服で、黒い仮面を被っていた。その姿は闇夜に忍ぶ暗殺者のように見えなくも無かったが見える限りで武器は持っていなさそうだった。

ミリヤはこの暗殺者のような男の仮面を見て確信は無かったがあることを思っていた。


(あの仮面!もしかして氷魔術を使った人!?)


ミリヤは仮面の男の情報をそれほど多くは持っていない。

凍り付けにされていた男の現場に到着した時には仮面の男はすでに消えており、ミリヤは仮面の男のことを後で人から聞いた。

聞いた話の中では黒い服を着ており、仮面をつけていたということぐらいしか情報が無かった。そのため、黒い仮面をつけているこの男をミリヤは氷魔術の使い手と勘違いした。

ミリヤは何か氷魔術の情報はないかとレイルと仮面の会話に集中する。その時、ちょうど仮面の男が話していた。


「シン様はあなたに会うのを今度の休みに指定されました。そして、レイル様が渡された封書についてはシン様がそのとき直接お話しするそうでございます」

「わかった。今度の休みまた、あの場所に行けばいいんだよな」

「いえ、申し訳ございませんが場所は〈白園〉ではありません。あそこは家に近いものですからツキ様にばれてしまいますゆえ、場所は変更させていただきます」

「そうだった。ツキがいるんだったよな。それじゃ、どこに行けばいいんだ?」

「ツキ様の憩いの場でございます。〈白泉〉を知っておられますか?」

「たしか、滝があったところだったか?」

「そこでございます。そこの滝の奥にシン様が待っておられます」

「わかった。それじゃあな」


短い会話を終わらせ仮面とレイルが別れた。氷魔術について何も情報が無かったことにすこしがっかりしていたミリヤだが、ミリヤはその会話を聞いたことで更なる興味をレイルに抱いた。


(シン様・・・たしかホトギ家の当主だった人よね。ツキちゃんのお父さんよね。〈白泉〉でその人と会う・・・なんかすごいこと聞いちゃった!。レイル君ってホント何者なのかしら?確か今度の休みに会うんだったわね。3日後か・・・ツキちゃんに連絡して協力してもらいましょう)


ミリヤは3日後のレイルとシンの密会に潜入することを決意をした。


今回の話はサブタイトルの通りミリヤ視点で進んでいきました。

レイル視点に慣れすぎたせいか、少し苦戦しましたが何とか形にはなったと思います。

ただ、もう少し書いた方がよかったかな~と感じています。

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