鍋いっぱいあったのに
掲載日:2026/07/20
知人の大竹さんの話。
大竹さんが夕食の支度をしていると、
ポンポン
と肩をたたかれた。
家にいるのは大竹さん一人である。
え?と、反射的に振り向いたが、そばにはもちろん誰もいなかった。
気のせいだろうかと作りかけの料理に再び向き合った。
しばらくすると、またポンポンと肩を叩かれた。
今度は驚いて悲鳴をあげ、気がつくと2階のベランダの物干し台のそばに立っていた。
1階の台所からベランダへとやって来た間の記憶が無い。
どうして、いつの間にこんなところにいるのだろうと思っていたが、コンロの鍋に火をかけたままだったのを思い出してあわてて、しかし恐る恐る台所に戻った。
台所には何の気配もなく、何故かコンロの火も消えていた。
そしてどういったわけか、鍋いっぱいにあった作りかけの味噌汁が無くなっていた。
もちろん鍋に穴などは空いておらず、味噌汁はどこにもこぼれてはいなかった。




