アジーリ王朝
# 第七章 アジーリ王朝
砂漠を越えていく。
兵士たちの隊列の中を歩きながら、俺は前を見ていた。
遠くに見えていた都市が、どんどん大きくなる。
やがて。
巨大な城壁が見えた。
高さは100メートル以上ある。
石ではない。
黒い金属のような素材。
古いのに、全く崩れていない。
門の前には兵士が並んでいた。
何百人もいる。
俺は言った。
「……要塞だな」
横で歩いていた男が答える。
「王都だからな」
この男。
さっき砂漠で会った隊長。
名前はまだ聞いていない。
俺は聞いた。
「名前くらい教えてくれよ」
男は少しだけ振り向く。
「ガルダ」
「アジーリ戦士団副団長だ」
俺は笑った。
「副団長か」
「結構偉いな」
ガルダは答えない。
そのまま門の前に立つ。
兵士が門を開ける。
**ゴォォォォ**
巨大な門が動く。
門の向こう。
街が広がっていた。
俺は思わず止まった。
「……なんだこれ」
都市が広がっている。
巨大な建物。
高い塔。
橋。
空中に浮いている通路。
まるで未来都市みたいだ。
でも。
人は普通の服を着ている。
商人。
子供。
兵士。
人々が普通に暮らしている。
俺は言った。
「46億年って本当なのかもな」
ガルダは少しだけ言う。
「本当だ」
俺たちは街を進む。
人々がこっちを見る。
レベリーンを見ている。
ざわざわしている。
「レベリーンだ」
「本物?」
「戦士長の剣じゃないのか」
俺は聞いた。
「戦士長?」
ガルダは少しだけ歩きながら言う。
「訪問者を作った人間だ」
俺は止まりそうになった。
「……作った?」
ガルダは続ける。
「正確には」
「大気圏の力を形に変えた」
俺は空を見上げる。
青い空。
さっきから気になっている。
訪問者が落ちるとき。
空で少し止まる。
まるで。
**何かに触れているみたいに。**
ガルダが言う。
「この星には膜がある」
「すべてを守る膜だ」
俺は言った。
「大気圏か」
ガルダはうなずく。
「その力を形に変えた兵器」
「それが訪問者だ」
俺は少し笑った。
「守るための兵器が」
「人を襲ってるぞ」
ガルダは少しだけ黙った。
それから言った。
「紫外線」
「訪問者はそれに弱い」
俺は聞く。
「だから壊れる?」
「理性がなくなる」
俺は思い出す。
地下の訪問者。
言葉を話した。
「……全部じゃないだろ」
ガルダは答えない。
やがて。
王城が見えてきた。
巨大だ。
塔が何本もある。
城というより。
**巨大な要塞。**
門をくぐる。
中に入る。
長い廊下。
兵士が並んでいる。
そして。
大きな扉の前で止まった。
ガルダが言う。
「王の間だ」
扉が開く。
**ゴォン**
中は広い。
天井が高い。
中央に玉座。
そこに。
一人の男が座っていた。
王だ。
年齢は分からない。
黒い王衣。
金の王冠。
目が鋭い。
俺とセツナを見る。
そして。
ゆっくり言った。
「レベリーンを持つ者か」
声が響く。
俺は肩をすくめた。
「まあな」
王は言った。
「アユト」
俺は少し驚く。
「……なんで知ってる」
王は笑った。
「この国には」
「すべての情報が来る」
俺は聞く。
「それで?」
王はゆっくり立ち上がる。
階段を降りてくる。
そして言う。
「訪問者を倒しているそうだな」
「素晴らしい」
俺は言った。
「褒めるために呼んだのか?」
王は近くまで来る。
目が冷たい。
そして言った。
「違う」
「頼みがある」
俺は眉を上げる。
「何だ」
王はゆっくり言った。
「訪問者を」
少し間を置く。
「すべて破壊してほしい」
俺は黙る。
セツナも黙る。
そのとき。
扉の奥。
暗い通路から。
気配がした。
一人の男が歩いてくる。
兵士たちがざわつく。
ガルダが小さく言った。
「……来たか」
男が光の中に出る。
長い髪。
黒い衣。
目が異常に静かだ。
俺はなんとなく分かった。
この男。
普通じゃない。
ガルダが小さく言う。
「戦士団」
「戦士長」
男が俺を見る。
そして。
レベリーンを見る。
少しだけ。
笑った。
「懐かしい剣だ」
その瞬間。
俺の背中に寒気が走った。
**この男。**
多分。
**訪問者を作った奴だ**
結構確信つくような話でしたね




