王朝の門
# 第六章 王朝の門
遺跡の天井が崩れた瞬間。
空が見えた。
そして。
**影。**
巨大な影が、遺跡の上を覆っていた。
俺は思わず呟いた。
「……なんだよあれ」
影が動く。
遺跡の外から。
**ドン**
**ドン**
足音が響く。
セツナが言う。
「外」
俺はうなずく。
「行くぞ」
俺たちは階段を駆け上がった。
石の通路を走る。
崩れた天井の穴から外へ出る。
外の景色を見た瞬間。
俺は止まった。
「……でかすぎだろ」
そこにいた。
訪問者。
黒い体。
顔のない頭。
だが。
高さは。
**軽く200メートルはある。**
さっきの100メートル級より遥かに大きい。
足が一歩動く。
**ドォン**
地面が揺れる。
砂漠の砂が跳ねる。
俺はレベリーンを握る。
「さすがに」
少し笑う。
「これは楽しいな」
セツナは前に出た。
でも。
その瞬間。
訪問者の腕が動いた。
空気が震える。
**ブォン!!!**
拳が落ちる。
俺は横に跳ぶ。
セツナも跳ぶ。
**ドォォォン!!!**
地面が陥没する。
砂が空へ吹き上がる。
俺は着地して言った。
「速いな」
さっきの巨大訪問者より。
明らかに速い。
しかも。
腕がもう一度振られる。
**ブォン!!**
俺は走る。
拳が後ろに落ちる。
**ドン!!**
爆風。
砂が飛ぶ。
その瞬間。
セツナが動いた。
訪問者の足を駆け上がる。
黒い体の表面を。
まるで壁みたいに。
ダガーを突き刺しながら登る。
**ザッ**
**ザッ**
**ザッ**
訪問者が腕を振る。
セツナは跳ぶ。
腕を避ける。
そして。
足首を斬る。
**ザシュッ**
黒い液体が飛ぶ。
でも。
浅い。
巨体すぎる。
俺は言った。
「頭行け!」
セツナは返事しない。
でも。
もう登っている。
膝。
腰。
胸。
そして。
肩へ。
訪問者の腕が来る。
セツナは跳ぶ。
回避。
そのまま。
**首へ着地。**
俺は叫ぶ。
「やれ!」
セツナがダガーを振る。
**ザンッ!!**
首を斬る。
黒い液体が噴き出す。
でも。
訪問者は止まらない。
腕が動く。
セツナを叩こうとする。
その瞬間。
俺は地面を蹴った。
走る。
レベリーンを構える。
ジャンプ。
訪問者の腕へ着地。
そして。
腕を走る。
**ドドドドド**
腕を駆け上がる。
肩へ。
そして。
セツナの横へ。
訪問者の腕が戻ってくる。
俺は言った。
「下がれ」
セツナはすぐ跳んだ。
俺はレベリーンを両手で握る。
そして。
振り抜いた。
**ズドォォン!!!!**
首が割れる。
黒い体に巨大な亀裂が走る。
訪問者の体が揺れる。
一歩後ろへ。
**ドン**
地面が揺れる。
俺は肩から跳ぶ。
着地。
その瞬間。
訪問者の体が崩れ始めた。
黒い体が崩れる。
砂になる。
巨体が。
ゆっくりと。
**崩壊した。**
砂が空へ舞う。
静かになる。
俺は息を吐いた。
「……さすがに疲れるな」
セツナが横に立つ。
何も言わない。
そのとき。
遠くの砂丘の向こうから。
音が聞こえた。
**ゴゴゴゴ**
地面を揺らす音。
俺は目を細める。
砂の向こうから。
何かが来る。
砂煙。
そして。
見えた。
兵士。
何百人。
同じ鎧。
同じ旗。
旗には紋章。
**太陽を囲む円の紋章。**
隊列の先頭に。
一人の男がいた。
黒い長髪。
金の鎧。
年齢は分からない。
でも。
明らかに。
他の兵士と違う。
男は止まった。
崩れた訪問者を見る。
そして。
俺を見る。
しばらく沈黙。
それから言った。
「……その剣」
低い声。
俺は肩にレベリーンを乗せた。
「これか?」
男はうなずく。
「レベリーン」
「やはり」
俺は眉を上げる。
「知ってるのか?」
男は言った。
「もちろんだ」
「それは」
少しだけ笑う。
「我々の王朝の武器だからな」
俺は聞いた。
「王朝?」
男は空を見た。
青い空。
雲が流れる。
そして言った。
「アジーリ王朝」
兵士たちが一斉に膝をつく。
男は続ける。
「46億年前から続く帝国だ」
俺は笑った。
「……長すぎだろ」
男は真顔のままだ。
「冗談ではない」
沈黙。
そして。
男は言った。
「来い」
「王がお前たちに会いたがっている」
俺はセツナを見る。
セツナは何も言わない。
俺は肩をすくめた。
「まあ」
レベリーンを担ぐ。
「行ってみるか」
兵士たちが道を開ける。
砂漠の向こう。
遠くに見えた。
巨大な都市。
壁。
塔。
城。
それは。
**アジーリ王朝の都だった。**
そして俺たちは。
その門へ向かって歩き始めた。




