うごめく影
ちょっと物語が進展してきましたね
# 第四章 うごめく影
砂煙がまだ空に残っている。
さっき落ちてきた三体の訪問者。
そのうちの一体が、俺の前に立っている。
黒い体。
顔のない頭。
でも姿勢が違う。
体を低くしている。
まるで獣みたいだ。
俺は口の血を拭いた。
「……いいな」
レベリーンを構える。
「その速さ」
訪問者が動いた。
一瞬。
本当に一瞬だった。
砂が少し舞う。
次の瞬間。
目の前にいた。
拳が飛ぶ。
俺は横に避けた。
**ギリギリ。**
拳が頬をかすめる。
空気が裂ける音。
**バシュッ**
俺はすぐに距離を取る。
「速いな」
訪問者がまた動く。
今度は低い姿勢のまま突っ込んでくる。
足音がほとんどしない。
砂が流れるだけ。
拳。
蹴り。
連続で来る。
俺は全部避ける。
でも。
余裕はない。
ギリギリだ。
訪問者の拳が地面に当たる。
**ドン!!**
砂が爆発する。
俺は横に跳ぶ。
その瞬間。
もう一撃。
俺は刀で受けた。
**ガキィン!!**
衝撃が腕に響く。
俺は言った。
「その速ささ」
訪問者がもう一度来る。
俺は避ける。
「結構いいな」
訪問者の腕が振られる。
俺は踏み込む。
レベリーンを振る。
**ズバッ**
腕を切る。
黒い液体が飛ぶ。
その瞬間。
体に力が流れ込む。
速さ。
反応。
少しだけ上がる。
俺は言った。
「でも」
訪問者がもう一度来る。
今度は少し見える。
さっきより。
拳を避ける。
そして。
**ズバンッ**
胴を斬る。
訪問者の体が揺れる。
俺はもう一歩踏み込む。
「もう少し速くてもよかった」
レベリーンを振る。
**ズドンッ**
訪問者の体が崩れた。
砂みたいに。
静かになる。
俺は息を吐いた。
「……結構強かったな」
その瞬間。
横から風が来た。
**ブォン!!**
俺は反射的にしゃがむ。
拳が頭の上を通る。
残りの訪問者。
もう一体だ。
セツナがそっちと戦っている。
地面を滑るように動いている。
ダガーが光る。
**シュッ**
腕を切る。
すぐ離れる。
訪問者が振る。
セツナは横へ。
また斬る。
**シュッ**
セツナの戦い方は変わらない。
近づく。
斬る。
離れる。
その繰り返し。
無駄がない。
もう一体の訪問者が俺に来る。
拳が飛ぶ。
俺は避ける。
レベリーンを振る。
**ズバッ**
首を斬る。
訪問者は崩れた。
砂になる。
静かになる。
風だけが吹いている。
セツナも最後の訪問者を斬った。
黒い体が崩れる。
俺はレベリーンを肩に乗せた。
「……さっきの速いやつ」
セツナは少しだけ頷いた。
「今までのより速かった」
俺は空を見た。
さっき三つ落ちてきた場所。
空は普通だ。
青い。
何もない。
でも。
少しだけ気になる。
俺は言った。
「なあ」
セツナはこっちを見る。
「さっき落ちてくるとき」
「空でちょっと止まったよな」
セツナは少し考えた。
「……そう見えた」
俺は空を見上げる。
青い空。
雲が流れている。
俺は小さく言った。
「空で止まるって」
「普通じゃないよな」
セツナは何も言わない。
風が吹く。
そのとき。
地下の亀裂から。
小さい音が聞こえた。
**カチ**
俺は振り向く。
さっきの地下遺跡。
埋まっていた訪問者。
セツナもそっちを見る。
また音がする。
**カチ……**
まるで。
何かが。
**起きようとしているみたいに。**
俺は言った。
「……戻るか」
そして俺たちは、
もう一度地下へ降りていった。




