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訪問者  作者: 和茶
3/13

埋まりゆるもの

3章投稿きちゃ

# 第三章 埋まりゆるもの


巨大訪問者が倒れてから、しばらく風の音しか聞こえなかった。


砂がゆっくり流れている。


崩れた体の残骸が、少しずつ崩れていく。


さっきまで動いていた100メートルの巨体が、

今はただの黒い砂みたいになっている。


俺はレベリーンを肩に乗せた。


「……思ったよりあっさりだったな」


セツナは何も言わない。


ただ地面を見ている。


俺はそっちを見る。


巨大訪問者が倒れた衝撃で、地面が割れていた。


大きな亀裂。


その下に、何かが見えている。


石の床。


人工的な壁。


俺は言った。


「地下か」


セツナは頷く。


「遺跡かも」


俺たちは割れた地面から下に降りた。


砂を踏む音が響く。


地下はかなり広かった。


天井は崩れているけど、

壁はまだ残っている。


石の柱。


古い通路。


壁には何かの模様が刻まれていた。


でも風化していてよく分からない。


俺は言った。


「結構デカいな」


セツナは壁を見ている。


「……文字かも」


近づく。


確かに何か刻まれている。


でも読めない。


かろうじて読めるのは一部だけ。


**アジー……リ**


またその名前だ。


俺は言った。


「ここもそれか」


セツナは壁をなぞる。


「かなり古い」


「どれくらい?」


セツナは少し考えた。


「分からないけど」


「少なくとも何百年とかじゃない」


「もっと前」


俺は肩をすくめた。


「まあ俺にはさっぱりだ」


そのとき。


通路の奥で音がした。


**ゴッ**


小さい音。


石が動くみたいな音。


俺は止まる。


「聞こえた?」


セツナは静かに頷いた。


俺たちはゆっくり奥へ進んだ。


通路を曲がる。


そして。


広い部屋に出た。


そこにあったものを見て、俺は止まった。


地面に。


**訪問者が埋まっている。**


完全に。


体の半分以上が石の中に埋まっている。


サイズは小型。


1メートルくらい。


でも。


崩れていない。


黒い体がそのまま残っている。


俺は言った。


「……死体?」


セツナは近づく。


しゃがむ。


訪問者の顔のあたりを見る。


でも顔はない。


黒い面だけ。


セツナが言う。


「崩れてない」


「普通は砂になる」


俺は聞いた。


「じゃあ何で残ってる」


セツナは首を振る。


「分からない」


俺も近づく。


そのとき。


**カチ**


小さい音がした。


俺は止まった。


「今の」


セツナも動きを止める。


静かになる。


数秒。


何も起きない。


俺は言った。


「気のせいか?」


その瞬間。


埋まっている訪問者の指が。


**少しだけ動いた。**


俺はすぐにレベリーンを構えた。


セツナもダガーを握る。


でも。


訪問者はそれ以上動かない。


静かだ。


ただ。


かすかに。


音がした。


「……」


小さい。


空気みたいな音。


俺は眉をひそめた。


「今、声みたいなの」


セツナは何も言わない。


ただ訪問者を見ている。


もう一度音がする。


「……ァ……」


言葉になっていない。


でも。


完全な無音じゃない。


俺は思った。


これ。


もしかして。


**生きてる?**


その瞬間。


遠くで音がした。


**ズドン**


俺たちは同時に振り向いた。


天井の隙間から、砂が落ちている。


外だ。


何か落ちた。


俺は言った。


「また来たか」


セツナはすぐに立ち上がる。


俺たちは通路を戻った。


崩れた地面から外に出る。


そして空を見た。


黒い影が落ちてきている。


さっきと同じ。


いや。


違う。


**三つある。**


ドォン!!


ドォン!!


ドォン!!


三つの影が地面に落ちた。


砂煙が上がる。


そこから現れたのは。


**三体の訪問者。**


全部小型。


でも。


一体だけ。


動きが違う。


体勢が低い。


腕が長い。


そして。


**消えた。**


「!」


次の瞬間。


俺の目の前にいた。


拳が飛ぶ。


俺は避けようとする。


でも。


**間に合わない。**


衝撃。


体が吹き飛ぶ。


地面を転がる。


砂が口に入る。


「……っ!」


俺は起き上がる。


訪問者がこちらを見ている。


さっきのやつ。


速い。


今までより。


明らかに速い。


俺はレベリーンを握り直した。


口の血を拭く。


そして言った。


「……いいな」


訪問者が動く。


俺は構える。


「その速さ」


次の瞬間。


戦いが始まった。


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