空から降りゆくもの
全く新しいのを書いてみました。
前作は黒歴史なので見ないで〜。
# 第一章 空から降りゆくもの
空を見るのは好きじゃない。
理由は単純だ。
昔、見たからだ。
夜だった。
静かな夜だった。
流れ星みたいな光が、空を横切った。
でもそれは流れ星じゃなかった。
光は途中で、
まるで**何かにぶつかったみたいに弾かれた**。
空で止まって、
一瞬だけ歪んで、
そのまま真下に落ちた。
次の瞬間、街の外で爆発みたいな音がした。
そのとき父が呟いた。
「……また来たか」
あとで知った。
それが**訪問者**だった。
空から落ちてくる存在。
理由は誰も知らない。
ただ、落ちてくる。
それだけだ。
---
俺の名前は**アユト**。
普通の人と少し違うところがある。
動くものがよく見える。
普通より。
かなり。
ボールでも、虫でも、
ナイフでも。
全部見える。
そして避けられる。
だから鍛えた。
腕立て。
走り込み。
素振り。
毎日。
理由は簡単だ。
訪問者に殺されないため。
それだけ。
---
その日、空が歪んだ。
まるでガラスが曲がるみたいに。
空間が揺れる。
「……は?」
次の瞬間。
床が消えた。
体が浮く。
重力がなくなる。
「ちょっと待て!」
景色が白くなる。
落ちる。
落ちる。
落ちる。
そして。
**ドサッ**
地面に叩きつけられた。
「……いってぇ」
体を起こす。
周りを見る。
知らない場所。
崩れた建物。
石の街。
砂が風で流れている。
「ここどこだよ……」
そのとき。
背後から声がした。
「動かないで」
振り向く。
黒髪の少女。
両手にダガー。
俺をまっすぐ見ている。
「さっき空から落ちてきたよね」
俺は答えた。
「まあ落ちてきたな」
少女は少し警戒したまま言う。
「何?」
「いや俺も聞きたい」
「……?」
「俺もさっきまで普通に家にいた」
「気づいたらここに落ちてた」
少女は少し黙った。
それから言った。
「私も」
「同じ?」
「空が歪んで落ちてきた」
俺は肩をすくめた。
「じゃあ被害者同士だな」
少女は言う。
「私は**セツナ**」
「アユト」
それだけ言って、俺たちは歩き始めた。
---
歩き始めて数分。
セツナが急に止まった。
「……来る」
「何が?」
次の瞬間。
**ズドン!!**
地面に何かが落ちた。
砂煙が広がる。
そこから出てきたのは。
**人型。**
黒い体。
顔はない。
身長は1メートルくらい。
セツナが言う。
「訪問者」
訪問者が動いた。
速い。
かなり。
でも。
見える。
俺は横に避ける。
拳が空気を裂く。
**ブォンッ**
風圧で砂が舞う。
俺は言った。
「その攻撃さ」
訪問者が振り向く。
「もう少し狙った方がいいんじゃないか」
訪問者がもう一度来る。
俺は腕を掴む。
体重を乗せる。
**ドンッ!!**
地面に叩きつける。
その瞬間。
セツナが動く。
低い姿勢。
地面を滑るように走る。
**シュッ**
ダガーが首を切る。
訪問者は崩れた。
砂のように。
静かになった。
セツナは何も言わない。
ただ周囲を警戒している。
---
少し進むと、
地下へ続く階段を見つけた。
石の遺跡。
古い建物。
セツナが言う。
「中、見る?」
「武器とかありそうだな」
地下へ降りる。
暗い通路。
奥に広い部屋があった。
中央に何かある。
一本の刀。
黒い鞘。
台座に刺さっている。
俺は近づいた。
セツナは何も言わない。
俺は刀を握る。
そして。
引き抜いた。
その瞬間。
頭の奥に言葉が流れ込む。
名前。
**レベリーン**
能力。
**攻撃した相手の力を奪う。**
俺は小さく言った。
「……便利そうだな」
そのとき。
**ズドン!!**
天井が崩れた。
振り向く。
訪問者が落ちてきた。
さっきと同じくらいのサイズ。
でも。
**速い。**
訪問者が動く。
次の瞬間。
目の前にいた。
拳が飛ぶ。
俺はギリギリで避けた。
頬が切れる。
血が流れる。
「……速いな」
もう一撃。
避けきれない。
俺は刀で受けた。
**ガキィン!!**
衝撃が腕に響く。
訪問者がもう一度来る。
俺は言う。
「その速ささ」
拳を避ける。
「結構いいな」
訪問者が振る。
俺は一歩踏み込む。
**斬る。**
レベリーンが腕を裂く。
その瞬間。
体に力が流れ込んだ。
速さ。
反応。
全部上がる。
俺は言った。
「なるほど」
訪問者が来る。
さっきより遅く見える。
俺は避けながら言う。
「でもさ」
訪問者が振る。
俺は回転する。
**ズバンッ**
胴を斬る。
訪問者は崩れた。
砂のように。
静かになった。
セツナは何も言わない。
ただ俺の刀を見る。
「……それ」
俺は言う。
「レベリーン」
セツナは小さく頷いた。
---
そのとき。
遠くで地面が揺れた。
低い振動。
ドン……
ドン……
地平線の向こうに。
影が見えた。
巨大な影。
高さ。
**100メートル以上。**
四本の腕。
異形の頭。
ゆっくりこちらに歩いてくる。
俺はそれを見て言った。
「……あれも訪問者?」
セツナは頷く。
俺はレベリーンを握る。
「でかいな」
巨大な訪問者が腕を上げる。
**ドォン**
一歩踏み出すだけで地面が揺れる。
俺は言った。
「まあでも」
影を見上げる。
「やることは同じだな」
巨大な訪問者が腕を振り上げる。
空気が唸る。
そして。
戦いが始まる。
まだ俺たちは知らない。
訪問者が何なのか。
この世界が何なのか。
そして。
この星の歴史が。
**46億年続いていることを。**




