第7話 心配だしな〜♪
―side カルム―
「ふーむ、馬に必要な機能を一通り炙り出してみたが多いなあ」
今日は、公園にて魔物の調査のために馬車を改造して広範囲に異変を探索する魔道具を作る。
そのために必要な機能をノートにあぶり出していく。
ざっと、思いつく限りの機能をあげてその中から本当に必要な機能を選んでいく感じだ。
ちなみに他のみんなはレオンが取ってくれた宿にいる。宿の厨房を借りてみんなで飯を作ってくれているみたいだ。
「今のところ必要そうなのは地形の把握機能、魔物の危険度レベル測定、魔力探知機能、隠密行動機能かな。索敵目的だから居場所をバレずに敵の情報を探っていきたい」
なんせ相手はSランクモンスターだ。
生まれてからSランクのモンスターとは敵になって戦ったことがない。
会ったことは沢山あるのだが、なぜか分からないが大体が俺のことを見ると懐いてくるから戦う前に話し合いをして帰って貰うことが大半なのである。
まあ、Sランクの魔物はみんな賢いからな。
彼らにも人間を襲わない方が平和に過ごせるメリットと、人の前に姿を表し騒ぎになることのデメリットは分かっている。
だから滅多に争いになる事はないしはずだ。そもそも、普段は人が住まないような場所にいるため、普通に生活していたら個体数もほとんどいない上に目撃すらすることはないだろう。
だから、今回のSランク依頼は余計に気を引き締めなければいけない。相手のSランクの魔物にも事情があるのだろう。
「とはいえ、今は色々考えても仕方ないな。結局現場に行って相手の魔物を見るまでは分からないわけだし」
なるべく早く現場に行きたいな。ここに住む人たちのためにも。
そのためには早めに武器製作を終わらせないと。早速作っていこう。
「使う石はこれと、これと……これだな」
地形を調べるには土属性の魔石、魔力探知と魔物の危険度レベルを測定するには無属性の魔石。
気配を消すのには精霊石を使う。
「ここをこーして、こーしてっと。ふむ、[クラフト!]」
--ぴっかーーー!
機能を思い浮かべて[クラフト]と唱えると、スキルが発動する。見た目は特に変化はないが、馬車には機能が付いているはずだ。
思ったっよりぱぱっと作れた。特段機能に優れているわけではないが、これだけ作れば索敵には充分だろう。試しに試運転する。
「ふむ、異常はなし」
ちゃんとダンジョン1000階層くらいまでの地形把握できてるし、魔力探知もSランクの魔物にもバレないだろう。魔物の危険レベルもしっかりSランクの魔物まで測定できる。気配は本気で消したらどんな生物でも分からないと思う。
「よしっ!あとは父さんと母さん、シフォンの装備だなー。アイリスさんとレオンの言う通り、本人達の装備は初心者用の装備がいいな。強いていうなら防御はしっかりと整えておきたい。あとはもし負けそうになったら精霊さんの力で積極的に戦線離脱できるようにはしなくちゃ」
本人達には力を伸ばして欲しいからね。攻撃力はそんなにしっかりしなくてもいいだろう。
かといって傷ついてほしくもないから、防御はカチカチにするのと、逃げれるように外部から力を借りれるようなシステムを整えるのが良いだろう。
使う素材は以前にエンシェントドラゴンさんから貰った鱗とエルダートレントの樹皮にしよう。両方とも軽くで丈夫だし。
「ふんふふんふふ〜ん」
鼻歌まじりに作っていく。
リラックスして作っているからか普段より出来がいい気がする。う〜ん、もっとできるかもしれないけどこんな感じでいっか。
「そーいえば、フェーン王国にいた頃は冒険者ギルドとの取引は全て国がやっていたけれど、これからは自分でできるんじゃ……?」
ドラゴンの鱗とか売れば喜んでくれるだろうか?というか、どれくらいが相場なんだろう?
正直、今回の依頼の金額も半端ではなかった。
調査だけなのに普通に俺の半年分の給料だった。この程度のものにこんなに貰っていいのかと驚いたけど、レオンもアイリスさんも当然にって感じで普通にしてたしなー。
「まあ今はそのことはいっか。それより完成〜!」
ふむ。こっちの方もいい感じに作れた。
家族の事を思って作ったのか、仕事の責任から解放されたのか、普段より出来栄えがいい気がする。
「あとは、精霊さんに護衛してもらおうか。心配だしな〜♪ふんふ〜ん♪」
別に本人が強くなりすぎないってだけで護衛は強い方がいいに決まっている。
「精霊さん、うちの家族をお願いします。いざとなったらうちの家族を助けてください」
俺がそう唱えると“任せてー”と返事をしてくれる。これでよーっし。
「終わったか?」
「レオン!うん!終わった〜」
「そうか?お前のことだから大丈夫だと思うが、どんな感じだ?」
「普段よりはできた気がするー」
まあ、普段も別に大したものは作っていないが、個人的に今日の出来はすごい良かったな、
「ふ、ふーん。普段よりは……ね」
レオンが引き攣った顔で俺のことを見ている。
「んー?なーんだよ。その間は」
「なんでもない。それよりもお母様が飯作ってまっててくれているみたいだぞ」
「おっ!やった〜!」
今日の飯は何かなー。
期待を膨らませて俺は宿泊している宿屋に向かうのだった。
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