第5話 知能が高くて強い魔物
-side カルム-
「大物?って一体?」
「魔物な可能性が高いわね。それもSランク」
スタンピートの調査をカリンさんから依頼された俺たちは原因の大物について質問していた。
そうだよねー。そもそも、弱い魔物だったらSランクを2人も差し向けない。
「姿も形もこちらでは捉えきれてないわ。気配遮断の魔法を使ってるっぽいの。圧倒的な圧がそこにあるから、存在感だけはわかるわ」
「相当な知能を持っていると言う事か。やっかいだな」
レオンの言う通り、Sランクでも知能がそこまでではない場合、わざわざ気配遮断の魔法を使うことはない。と言うことはSランク並に強いのにも関わらず、念には念を入れるほど用心深くて思慮深いと言うこと。
相手にするにはとても厄介だ。
「精霊さんの力を借りてもいいですか?気配遮断はなんとかなりそうです」
「あら、あなたの精霊魔法が見れるのね!」
「え!?ええ。まあ、大したものではないのですが?」
「何を言っているんですか!あなたの精霊魔法には多くの人間が助けられているわ。誰もが知る伝説の魔法」
「そ、それは持ち上げすぎでは?」
「いやー違うと思うな」
「そうね。この世界の人だったらカルムの魔法についてはみんな知っているわ。英雄伝にも演劇にもなっているし」
「--はっ!?」
アイリスさんが衝撃な事実を伝えてくる。
国を飛び出してから驚きっぱなしだ。
それに演劇とか英雄伝とかなんだか、規模感がよく分からないな。本当にそうなのだろうかと疑ってしまう。
「あっ……疑ってるな!?疑うのなら本は買ってあげるし演劇も一緒に観に行こうぜ!」
「それはいいわね!」
「う、うん」
ふーむ。それだけ言うんだったら事実なのだろう。今度どんなのか気になるし観に行こう。
「ふふっ!せっかく国外に出られたのですから、色々な世界を見てくださいね」
「あっ、ありがとうございます」
「でも、そうですね。カルムさんの精霊魔法が間近で見てるとあったらわんさか人間が集まりそう。一応、噂が広がらないように情報統制はかけておくわ。今回のスタンピート調査はなるべく穏便にやりたいのよ」
「ありがとうございます。でも、何か穏便に済ませたい理由あるんですか?」
「それが、相手の魔物なんだけど、どうもこちらに敵意みたいなのがないのようね?なんというか、圧は感じるけどのほほーんとしているみたいな?」
「下手に刺激しないほうがいいみたいな感じですか」
「そう」
それは聞けて良かったな。
「なんとか穏便にその場から立ち去ってくれたら良いのだけれど。それだけでスタンピートが起こる確率は激減するわ」
きっとその大物魔獣にとって、ダンジョンのスタンピートなど取るに足らない出来事なのだろう。
よっぽど人間の方が警戒しているのかな?そこら辺含めて頭の良い魔物だ。
「とりあえず、分かりました。いざとなればアイリスさんもレオンもいるし大丈夫でしょう」
「ええ」
「おう、任せとけ!俺に勝てない魔物なんてないからな!」
「だから戦うんじゃないわよ。この脳筋!」
「あだっ!」
アイリスさんのゲンコツが落ちた。
まあ、レオンはやる気満々だが、穏便で頭が良く最強クラスに強い魔物相手に中々こっちから仕掛ける事はおそらくないので、レオンの出番はないだろう。今回は大人しくしていてもらおう。
そんなこんなで、依頼を受ける事が決定したのだった。
「それにしても、それくらいのレベルに強い魔物ってそんなにわんさかいるものなのだろうか?過去にそれクラスの魔物は10匹出会った事があるのだけれども」
まだまだ世界は広いと言うことか。
それとも、まさか、知り合いとかはないよねえ……?
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