太陽は武器を持つ
16歳になった。
いつもと何も変わらない。
夜更けまでダレンと酒盛りして、カレンとその後紅茶を飲みながらカレンと夜を明かし、闇の中から光を見つめ、変わり映えのしない日課をこなし、そうして一日が過ぎ去っていくものだと思っていた。
カレン達の息子は私の乳姉妹でこの男もカレン夫妻と同様、金色になんの恐怖も持たないおかしな男だったが、5歳を迎えた頃、侯爵家の後継者教育は始まるとのことでこの離宮を去っていった。
それ以来交流は途絶えているため、その後のことは知らない。
両親も兄も一度も見たことなければ、いつぞやの面会拒否の件から興味の対象にもならない。
離宮の使用人以外でお目にかかるのは不定期的に来るダレンと旧友だという軍人のおっさんと、昼夜問わずアホみたいに殺しに来る連中くらいだ。一応この軍人のおっさんから強制的に拳銃の使い方と剣の使い方を教わった。女に容赦を全くしないおっさんのせいでこの鍛錬の時ばかりは痣だらけだ。ただ、この鍛錬をまさか実践で使うことになるとは全く思いもしなかった。
容赦しないおっさんは世間一般で喜ばれるはずのこの誕生日だろうと容赦はしない。全く容赦しない。というか鍛錬が始まって10年近く。決まってこの日だけは絶対来る。
「おらおら。姫様!よそ見してるとほんとに首が飛びますよ!」
「ニコニコしながらほざいてんじゃねぇよ!くそジジイ!」
「ダレン様に紹介された時はお言葉も可愛らしくおじさま♡なんていい子でしたのに。いつからこんなにおじさんにきついもの言いになってしまわれたのか泣」
「おっさん達が悪の道に引きづり込んだんだろうが。ていうかおじさま♡なんていつ言ったよ」
初めてあった頃の自分をぶん殴りたい。
そもそも初対面でダレンに連れてこられた時のこのおっさん、人の容姿見て顔真っ青にしてたの忘れてねぇぞ。
そのくせいざ鍛錬になったら飄々としたたぬきになりやがる。
でも、このおっさんは強いんだろう。この10年近く鍛錬を受けて人並みには銃撃も剣もついでにこの言葉使いも慣れてきた気がする。
だが、おっさんに一撃を与えることはまだできていない。
「姫様も16歳になりましたなぁ。」
「そういえば、10年鍛えてもらったくせにおっさんの名前知らねぇわ。なんだっけ?」
「最初に名乗ったでしょう。通りでずっとおっさんとしか呼ばれていない・・・」
なるほど。知らんじゃなくて忘れていたのか。
きっと改めて知ってもまたおっさんとしか呼ばない気もする。
「私の名前はアレクセイ、ですよ。国軍元帥のアレクセイ・ウォージャーと申します」
おっさん改めアレクセイは剣を構え直しながらそう名乗った。
鍛錬は夕暮れまで続いた。
毎年この一日だけは普段よりも長く光の中にいる。生きる為の武器を携えながら。
でも、何故生き残る必要があるのだろうか。
答えはまだ見つかっていない。




