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ローファンタジーショートショート

古い時計

 家に誰もいないとき、僕は一人で部屋で寝転がってふと壁を見た。見慣れた壁には、年号が変わるのを何回も見てきたとかいう古い鳩時計がかかっているのが目に入るが、その鳩時計も壁と同様に見慣れたものであるので特になにかを思うことはない。

 期末試験が近付いているので勉強をしないといけないのだが、その気持ちを誤魔化すように寝転がったまま時計を見続けていると、ちょうど午後の二時になって鳩が出てくる。鳩は二度鳴くと姿を再び時計に隠した。

 部屋が静かになり、僕は目を閉じた。


「こら、サボるのもほどほどにしろ。テストがあるんだろ」


 しかし不意にそんな声が聞こえて、僕は驚いて目を開くと鳩時計の中から鳩が出てきて僕を見ていた。

 僕が見たのを確認したのか鳩はまた時計へと帰っていった。


 僕はまた鳩に叱られたくないと思い、すぐに机へと向かって勉強を始めた。



 その日の晩御飯を食べている時に両親にその話をしたら、二人とも笑いながら「あの鳩さんは子ども好きだから」と言っていた。

 どうやらあの鳩が喋るのは、この家族の中では周知の事実であるらしい。


 サボっているのを含めてあれやこれやをいままであの鳩に見られていたのかと考えると、なんだか恥ずかしいような思いがした。

お読みいただきありがとうございます

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