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疲れた男

作者: ケイト

死に戻りとはこのことか。


一度目はよくわからないまま、ほぼ前と同じ生き方をして、初回とは違う道で刺されて16で死んだ。

そして二回目の死に戻りである。

面白くもないので次回楽しむためにアクラー領の飢饉やグラワサ領の洪水など、いつ有ったのか対策はどうであったかを覚えておかねばなるまい。

事前に対策さえ有れば我が家が名声を得ることは確実だ。

相場も操作できる。


一人の犠牲者を生むこともなく、など理想だ。空想と言っても良い。

犠牲者さえ減れば良いのだ。


何度死に戻るかは知らぬが回数を重ねれば重ねるほど対策できることは増え、名声は高まるのだ。

なんと楽しみなことだろうか。




27回目にして、ついに一桁の犠牲者で済ませることが出来た。


52回目、ついに事前対策で誰も犠牲を出すことなく、治水も上手くいった。


60回目、いつになればループが終わるのか。

その後は色々と策動し隣国を戦を起こしたり戦を起こさず切り取ったりもした。

自殺してみてはどうだろうと試したこともある。


100回目の朝、うんざりとしていると紙が落ちてきた。

"100回達成おめでとうございます。続けますか? はい いいえ"

勿論 "いいえ" だ!

"チュートリアルを終了しました。それでは良い旅を"

は? は? 意味がわからぬ。

終わった、のか?

わからん。

しかし、終わりだとすればあの成功した50~60回目ぐらいのルートを辿っておかねば困るだろう。


そしていつも死んでいたあの頃を無事に過ぎ17を迎えられた。

本当に終わったようだ。

18になり初めての領政をこなし、嫁を取り、子供が出来た。

幸せとはこのことか。

軍役はさすがに恐ろしかったが、前の生では何度か楽しんだ戦である。

人は幸せだと戦で命を散らすのはこんなに恐ろしいものだったのか。


戦度胸を認められ席次が上がったのは嬉しいことだ。


子供も7人出来、長男も嫁を取り、孫も出来た。

私もそろそろ引退して良いだろう。


63になり、寝付いた。

程なく見える死に幸せだったこの人生を思う。

半月ほど経ち、妻や子、孫達に看取られて逝った。



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