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エピローグ



 そんな激動の、魔王討伐編から一週間後。

 俺は変わらず、この異世界で勇者として生活していた。


「……あのよぉトライオン」

「ん~?」

「なんか前にさあ、『魔王倒せば全部解決する~』的なこと、言ってなかったっけ?」

「言ってたっけ~?」


 いや言ってたよ。全部解決とかなんとか。あ、でもそれカムワロの方だったっけ。

 まぁ、何にせよ……。


「なんか……、全ッ然解決してなくないか⁉」


 というか、なんかいっぱい刺客とか送られてくるんだが!

 先ほどまで、ずらりと魔物の軍勢に囲まれていた次第である。


「いやほら、魔王倒したくらいで終わらないっていうか~。魔王が世界を統一しなくなったことでバランスが崩れて~、魔界から魔人たちがあふれ出してきてるっていうか~」

「はぁ⁉ 何だそれ⁉」

「いやちょっと考えれば分かるじゃん~?

 元々あの魔王は~、アタシら『三女神』の一体で~、それが悪落ちして魔王となり、この世界にのさばるようになっちゃったワケだけど~。ソレをユ~スケが倒したからこそ、三女神のバランスが崩れて~、違う次元のヤバい奴らがいっぱい溢れるようになっちゃった~……ってところだよ」

「しらそん」

「ユ~スケの聖剣もさ~。違う次元から取り出したじゃん~? アレも実は、この世界ではないところに無理やり接続させたうえで、無理やりこっちに『呼び出してる』んだよね~。他にもアタシの魔獣っぽい姿とかは~、元々悪魔との混血だったりしたから~とか。アハハ~」

「何その伏線⁉」


 伏線が高度過ぎるよ! そしてその伏線に、ほとんど俺カンケーねえじゃん! めっちゃ内内の問題じゃん!


「でも~、トリガ~を引いたのはユ~スケだよ~」

「ほとほと詐欺臭いんだが……」


 げんなりとため息を吐きつつ、俺は眼前の光景へ視線を移した。


「……今日も楽しそうに暴れてるなあ」

「女神パワーはないはずなのに、元気だね~」


 俺たち『勇者一行』を狙ってきた魔物たち。

 それらは今。最強のニンゲン種である、カムワロ・トシヤマに一網打尽にされていた。

 女神の座を降り、ただのニンゲンになったはずなのに、なんだあの力。


「ボーリングのピンみたいに吹っ飛ぶなあ」


 百九十センチという、魔物たち換算でいけば小さな矮躯の女性が、五、六メートルはある巨大生物たちを容赦なくぶっ飛ばしていた。


「さすが、勇者一行の特攻隊長だね~」

「俺の嫁が今日も乱暴で超複雑」

「でもベッドの上では俺が上?」

「いやベッドの上でも――――って何言わせる」


 よく晴れた異世界の空の下。

 空の下で生きていくことを選んだ女神二人と、俺は今日も歩いていく。


「カムワロー! ほどほどになー! ここ王政の管轄外だから、修繕費は出ないからさー!」

「任せろぬしよ。ぶっ壊すのは得意じゃ」

「いや分かってねぇ⁉」

「ん~じゃ、アタシもちょっと体動かしてこよ~」

「待てよお前ら⁉ この間の報酬も、結局修繕費にほぼ消えたんだからな⁉ 勇者活動は結構火の車なんだからな⁉」


 大型犬が野原を駆けまわるように、彼女らは今日も元気に舞う。

 俺はそんな二人を見て、大きなため息を吐くのだった。


 世界は混沌としてきていて。

 俺の心労は尽きなくて。

 導きの女神は強すぎて。

 女神じゃなくても、強すぎた。


「まったく。――――人生何が起こるか分かんねえなあ」


 そんな強すぎる二人に囲まれて。

 俺も、心を強く持って生きていくのだった。






 ついでに余談だが。


「しかし俺の現世での身体ってさあ。そんなにガタがきてたの?」

「そうじゃぞ~。吹けば飛ぶような寿命じゃったわい」

「マジか。でも全然身体に不調は無かったけどなあ?」

「ふむおかしいのう? 近々死ぬ予定じゃと出ておったぞ」

「ほいカムワロ~。ユ~スケのデ~タだよ~」

「ふむふむ……? ほぉれ見ろ、言った通りじゃろう? あとたったの八十年ほどで寿命じゃと出ておるわい」

「いや全然生きるじゃねえか‼ 今が三十歳だから、むしろ超長生きだよ!」

「え? だって八十年じゃぞ?」

「そだよ~。何も出来なくない?」

「色んな事が出来るよ! むしろ百十歳まで生きて寿命で果てるとか、大往生以外のなにものでもないわ!」

「え~? …………あ」

「あぁそうじゃったのう。ぬしニンゲン種じゃったわ。勘違いしておった!」

「え、えぇ~……」

「まぁ……、こうしてカワイイ嫁も出来たし、イイじゃろ?」

「今夜はアタシにも好きなことしていいし~。許して~」

「おっぱ、しり、おっぱ、ふともも、おっぱ………………、うん勇者許しちゃう!」


 我ながらあまりにもチョロすぎて不安にも思いつつ。

 エピローグの空気感を台無しにして、余話はこんな感じで終わり、

 また次の、混沌の満ちたエピソードが、開かれるのだった。




          導きの女神が強すぎる!

              Quest Clear!












 この春に一児の親となりました。嘘です。おふなじろーです。変わらず楽しく物書きさせていただいております。冒頭は言ってみたかっただけです。なんか、リアルも文筆活動も充実してる、大先生になったっぽくないですか。違いますかそうですか。


 さて今作。久々にステータスものを書きたいなあと思い、筆を取ってみた次第です。カミサマって何かしらヤバいもので、それを人間換算のステータスで測ったらどうなるんだろうねという、自問自答の答え……みたいな作品になりました。


 ヒロインはやっぱりでかい方がいい。ということで、思い切って七メートルくらいにしてみました。大抵身体のでかいキャラはかませになるんですが、彼女の場合は『強いからでかい』というテーマで作られていますので、徹頭徹尾最強のままでした。大怪獣を書いているみたいで楽しかったです。

 トライオンの方は、趣味をほとんど詰め込みました。他に言うことはないです。


 今作はだいぶ性的な表現をマイルドにしました。初稿では伏字箇所もかなり多かったり、黒丸部分も少なかったり、そもそも会話の流れが際どかったりしたのですが、改稿のさいにそのあたりは一気に修正しました。……大丈夫だったよね?


 最後までお読みいただきありがとうございました。しばらく更新無かったんですが、ちょっと違うジャンルに挑戦しておりました。その成果が少しでも発揮できていれば幸いです。

 また別の作品でも、お会い出来れば幸いです。現在動いているシリーズは、「バニー勇者の魔討譚」です。こちらもよろしければ読んでいただければ幸いです。


 それでは~。


     2023/11/11   おふなじろー





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