その7
お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
「おかえり〜!あら、いいじゃない!すっきりしちゃって、いい男でしょ〜!」
母から褒められると、妙に恥ずかしかった。
「そうそう、ちゃんと渡してくれた〜?」
そう、母に尋ねられたので、「ちゃんと、渡した〜!」と返した。
さっき髪を切りに行った際、母から「これ、テルくんのお母さんか、お父さんに渡してちょうだい!」と、頂き物の「海苔の佃煮」と、お父さんの京都出張のお土産の「漬物3種入り」のセットを持たされていたので。
部屋に戻って、改めて鏡で自分の顔をまじまじと見る。
いや〜、なんか、いい〜!
眉毛も僕の顔に似合う形に、きちんと整えられている。
嬉しい。
そして、スマホで撮った写真から、昔ってほど昔じゃないけど、過去の自分の顔を確認すると、全然印象が違うことに改めて気付かされると、今までの自分が急に「ダサ〜」と感じた。
けれども、今更気づいたとて、しょうがない。
僕、今まで、こんな眉毛で坂口さんとかと顔合わせてたんだ〜。
ちょっとショックだった。
気を取り直して、荷物の中身を再確認。
まずは海水パンツ。
…あ〜、これなあ〜…
僕は数日前、テルやヒロキ、男ヤマシタやベルウッド達の「男連盟」で、海水パンツを買いに行った。
いつものショッピングモール内の特設会場で、「水着フェア」が行われていたので。
会場に到着すると、一緒に行く、坂口さん達女子に遭遇した。
少しだけ話したけれど、すぐに女子は女子ゾーンへ、僕達男子は男子ゾーンの売り場へ散った。
「へえ、こんなにあるんだ〜。」
僕だけじゃなく、みんなも同じ様な感想。
「早速…」とズラリと並んだハンガーラックにかけられてる、海水パンツ、いや、水着を見始めた。
色々ある。
カラフルだし、柄物もいっぱい。
要所要所に飾られているポスターに目をやると、日焼けが似合う鍛え上げた筋肉の、男の僕でも惚れ惚れしてしまうモデルさんが、ものすごく小さくてピッチリしているビキニパンツを履いてポーズを決めている。
いやいや、さすがにこれはちょっと。
そう思っていると、ベルウッドが嬉しそうに「これ、どうかな?」と、ハンガーにかかった真っ白いビキニパンツを頭上に掲げていた。
「えっ?お前、本気でそれ履くの?」
僕らが尋ねると、「いやあ、どうかなあと思ってさあ…。」とニヤニヤしているベルウッド。
僕は、修学旅行の時の風呂でのことを思い返した。
あの時は確か…あんまりじろじろ見た訳じゃないけれど、確かベルウッド、結構なもじゃもじゃじゃなかった?
部活での着替えの時も、脇毛がボーボーで、胸毛からへそに続く毛とかも、なかなかじゃなかったっけ?
同じ中3だけど、もう既に大人並みだったなあと記憶している。
それに、男ヤマシタクラスの「いい体」ならまだしも、お前、結構なぽっちゃりさんのおっさん体型じゃねえか。
そいつがビキニパンツを履きたいと、騒いでいる。
信じられない。
いいのか?それで?
お前、女子にモテたいんじゃなかったっけ?
それ履いて、女子にモテるかねえ?
僕は脳内で演説した。
まあ、外国だったら…案外、女子にウケるかもしれないけど…。
最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。お話はまだまだ続きますので、引き続き読んでいただけたら、とっても嬉しいです。どうぞ宜しくお願い致します。