表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/15

付与術師、ボスと戦う。


 迷宮を彷徨って五日が経過し、次で目覚めた位置から丁度二十階層になる。この五日間、本当に大変だった。A級魔物の群れに遭遇するは、S級のデビルベアに襲われるはと、色々な魔物に襲われた。だが、其れも終わりだ。俺の目の前には階段ではなく、転移門がある。

 

 通常、階層の行き来は階段だが、唯一ボスの部屋だけは違う。ボスの部屋には転移門で行く。そして、その転移門がここにあると言う事は、次がいよいよボスの部屋。

 迷宮は基本五十階層までしかない。つまりは此処は四十九階層となり、俺はあの大穴からニ十五階層分落ちたとなる。


 いや、付与魔法があるからってよく生きてたな俺……。


 まぁ、其れはいいいとして、次がボス戦だ。俺は準備を整えると、転移門に乗った。すると、俺の体は光りに包まれた。


 

 やがて、光りが収まり俺は目を開く。視界に写ったのは夥しい程の奇怪な文字が施された壁画。そして、その中心に凛と佇むのは振袖を着た九つの尾を持つ、腰まである金色の髪で澄んだ青い瞳の麗人。



「人の子よ……此処に何用じゃ?」



 彼女の放つ気配で分かる。彼女は今まで戦って来た魔物の中でも別格。彼女の前では、あのデス・スコーピオンでさえ可愛く見えてしまう。そう感じてしまう程、彼女は異常だ。そして、同時に、頭の中にある単語が横切った。



 ――――天災級。



 最高ランク、S級を超える魔物につけられる階級。その魔物は存在そのものが天災であり、その力は国をも壊滅させると言われている。

 そんな化け物が今、目の前に……。



「俺は冒険者のジン。この迷宮を攻略する為に来た。その為にお前を討伐する」



「ほぉ。其れは妾が『九尾狐』と知っての狼藉か?」



 九尾狐だと!?



 俺は彼女の正体に驚きを隠せないでいる。

 九尾狐とは伝説の神族の一角であり、その力は計り知れないとされる種族。だが何故、神族が迷宮に………。



「目障りじゃ―――」



 その瞬間―――。


「死ね」



「ガッ……」



 俺は壁に叩きつけられていた。



 何が起こった……? 攻撃されたのか…?



 俺は気付いたら既に、壁に叩きつけられており、背後の壁が放射状に粉砕された。そして、肺の中の空気は強制的に外に出され、身体が砕けそうな痛みに俺は苦悶の表情を浮かべ、剣を支えに膝を着く。俺は自身に《防御力上昇》を付与している。にもかかわらず、このダメージ。あの威力の攻撃を何発も与えられたら確実に死んでしまう。



「………マジで、ヤバいな」


 

 だが、恐らく問題はこれだけではない………。



「《防御力低下》《身体能力低下》を付与」



 俺は九尾狐にデバフの魔法を付与する。



「付与魔法か……しかし妾には効かんみたいじゃぞ?」



 やはりダメか……。



 俺は奴に魔法を付与出来ない。

 そもそも付与魔法は誰にでもかけられるわけではない。かけるにしても其れ相応の魔力が必要なのだ。そして、対象が俺より強ければ強い程、大量の魔力を消費する。故に、俺の今ある魔力量では奴に魔法を付与する事が出来ない。


 

 それだけ、俺と奴には圧倒的なまでの力の差が存在しすると言う事だ。



(だが、其れが何だと言う)



 どちらにせよ、何もしなきゃ死ぬだけだ。



「《動体視力強化》《集中力上昇》を追加で付与!」



 これで、奴の動きを目で追える筈。



 そして、俺は身体が治ったのを確認すると、剣を構え、奴に斬り掛かる。案の定、九尾狐は迫って来る俺に自身の尻尾をぶつけて来た。先程の攻撃もこの尻尾でか………。



「何度も効くと思うな!」



 追加付与のおかげで、何とか奴の動きが見え反応することが出来ている。だが避けているだけでは行けない。攻撃しないと奴を倒す事は出来ない。だが………。



「そんなやわな攻撃、妾には通じぬぞ?」



「ッ!」



 奴に攻撃を仕掛けようにも素早く、避けられてしまう。そのほかにも、奴の毛が固く、当てられたとしても攻撃が通らない。



「これならどうだ!!」



 俺は、デス・スコーピオンとの戦いで使用した《爆破》が付与されている短剣を残り全てを奴に投げつけた。



「今度は飛び道具とな」



 しかし、奴はその短剣を全て、尻尾の風圧だけで弾き飛ばした。飛ばされた短剣は全て奴に当たる事無く爆発してしまう。



「綺麗な花火じゃの。で、次は何を見せてくれるのじゃ?」



「……これでも無理なのか」



 あれだけの数の短剣でも無理なら、もう撃つ手がない。



「ほれほれ、避けなければ死ぬぞ」



「ッ!」



 俺は、繰り出される攻撃を避ける事しか出来ず、付与魔法も時間が来ては解け、また付与する。これの繰り返しで、ジリ貧状態になっていた。



 そんな状況が続いていき、俺の体力は徐々に低下して行く。その一方で、奴はノーダメージと来た。そして、此処でまたしても、付与魔法のタイムリミットが来た。しかし、もう一度掛けようにも、残り一回分の魔力しか残っていない。俺の心は今までに感じた事のない恐怖が襲った来た。



 其れは死に対する恐怖。



 俺は生まれて初めて死の恐怖を感じている。

 どうやら俺は、今まで自身の力を過信し過ぎていたようで何処かで、俺ならと思っていたようだ……。



「ははっ」



 だが、実際どうだ? 手も足も出ず、無様に膝をついているではないか………。


 いやはや、井の中の蛙大海を知らず、とはよく言ったものだ。世界には、こんな化け物がまだまだいると言うのだから。



「九尾狐よ。俺は弱い!付与魔法しか取り柄のないただの冒険者だ!」



 俺は真っ直ぐに九尾狐を見る。



「だがな、弱いからそこで終わりじゃないんだよ。弱いなら、弱いなりに足掻いてやる!」



「ほぉ?この状況でまだそれだけの減らずくちを叩くか。良かろう! それなら、この攻撃、防いでみよ!」


 九尾狐は俺に止めを刺すため、九つの尻尾を一点に集中させ、槍の様に迫って来た。


 俺はアイテムボックスから、ある物を取り出すと、自身に《集中力上昇》を付与する。


 チャンスは一度。失敗すれば死ぬ。


 俺は、その攻撃を真っ向から受けた。



 此処まで読んで頂きありがとうございます。


「面白かった!」

「続きが気になる!」

「応援してる!」


 と思って頂けたら、広告下の【☆☆☆☆☆】から作品への応援お願いします!

 

 感想なども聞かせて頂けると嬉しいです。

 

 其れが、今後も作品を書き続ける強力な燃料となります!


 なにとぞ、ご協力のほど、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 5層から15階層分落とされて20層分移動したなら40層じゃない?
[良い点] ジンくんがデス・スコーピオンや九尾のキツネ耳少女相手でも 勇敢に立ち向かうところがすごいですね。 [気になる点] 確認ですが、付与術師は簡単に例えるとサポート役という解釈で大丈夫でしょうか…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ