sideソフィア
「……どれにしようかな?」
ギルドの沢山の依頼書が貼り付けられている掲示板と睨めっこする私。
現在、私は軽くなってしまったお財布の為に依頼を探している。原因は言わずとも分かる。昨日の食べ歩きだ。
「(……かなり買っちゃったからなぁ。 ジン君にも気をつける様言われてたのに……。)」
そんな事を思いながら私は依頼書を一通り見る。しかし、どれもソロではやる事の出来ないものばかりだった。
「……う〜ん。やっぱりソロで出来るのは低ランクぐらいのしかないか」
まぁ、それだけこの街には凄腕の冒険者が集まっているって事だから別にいいんだけど………。
「………お金が無いんだよねぇ」
だからと言って、低ランクの依頼を受けると駆け出しの子たちの受けるものが無くなるからなぁ……。
「……しょうがない、迷宮に潜るか」
正直、この間の事もあってしばらくは迷宮を控えていたけどそうも言ってられないわね。
「……あ、あの」
「ん?」
私が肩を落としていると、後ろから声が掛かる。
振り返ってみると、二人組の冒険者がいた。一人は槍を持った私よりも大きな体格の水色の色を短く刈り上げた男。もう一人は軽くウェーブのかかった長い水色の髪にネコを彷彿させる大きな目の童顔の可愛いらしい少女だった。
駆け出しの冒険者かな?
「私になにか?」
「……あの、昨日商店街で決闘していた人ですよね?」
「………そうですが」
うっ……。まさか昨日の決闘を見ていた人に会うなんて。
「昨日の勝負は凄かったです!」
「あ、ありがとうね。それで貴方たちは?」
「あ、すみません、いきなり。 私たちは駆け出しの冒険者で、名前はルカっていいます。此方は弟の」
「マックです」
自己紹介を始める二人。やはり駆け出しだったようだ。
「それで、その力を見込んでお願いがあるんです! 今日だけで良いので俺たちと迷宮に潜って下さい!」
「お願いします!」
ルカの後に頭を下げるマック。
「えぇ、構わないわ」
「本当ですか!?」
「やったな姉貴!」
断る理由のなかった私は二つ返事で了承した。
こう言った若手の育成は先輩冒険者の務めだ。まぁ、此れはジン君の受け売りなんだけどね。
「それじゃあ私も自己紹介しとくわね。 私はソフィアよ。よろし………二人ともどうかした?」
名前を名乗った瞬間、二人は固まり、壊れた機械のようにギギギと首を動かし、お互いを見合わせると驚愕の声を上げた。
「え、え!? どうしたの!?」
「……そ、ソフィアって、まさか剣聖のソフィア様!?」
「様!?」
ルカちゃんの発言に私は素っ頓狂な声が出てしまった。
そう言えば私、巷じゃ剣聖って呼ばれていたんだっけ……? この子たちが驚いていたのは此れのせいか……。 でもね、だからって『様』はちょっと………。
「や、やったぞ! 今日だけとは言え、剣聖様がいれば百人力だ!」
「やったね!」
なんか、すごい喜んでるけど、貴方たちが思っているほど私は立派な人間じゃないのに……。 剣聖っていう称号だって、ただジン君に褒めてもらいたくてひたすらに剣を振るっていただけなんだけどなぁ………。
「それじゃあ、今日は宜しくね」
「「はい!」」
まぁ、此処まで慕ってくれるこの子たちのにも悪いし、黙っとこう。
◇
「……とっ! このフロアの魔物は粗方片付いたわね。 そろそろ休憩にしましょう」
「「は、はい!」」
現在、私たちは迷宮の七階層にいる。まだ迷宮に入って一時間ちょっとしか経っていない。中難易度の迷宮と言えどこのペースは速い方だ。そして、この二人、動きが良い。これからも鍛えれば直ぐにでもグルドらを越えれるだろう。それだけこの二人には才能がある。
「マック、さっきの戦い方は危なかったわよ。 幾ら付与術があるからって無茶はダメよ」
「心配すんな!俺は姉貴の付与術を信用している」
「ありがとう。でもこれ以上無茶をするってんならもう付与してあげないわよ」
「うっ………分かったよ。気をつける」
ルカのお説教にマックはその大きな体を小さく縮めるしかなかった。
この二人を見ていると、まだジン君と二人で冒険をしていた時の事を思い出すな。私もよく無茶してあぁやってジン君に怒られてたな。
「ねぇ、ルカは付与術師なの?」
「はい。ですがまだまだ未熟で、私が一度に付与出来るのは一人まで。それ以上となると術式が崩壊してしまうんです」
「……付与術の事は私には分からないけど、ルカの悩みを解決してくれる人なら私知ってるよ」
「本当ですか!?」
「うん。ジン君って言うんだけどその人もルカと同じで付与術師なんだ」
「その人は凄い人なんですか?」
「うん。とっても凄いよ。実戦形式の勝負だったら私でも未だにジン君には勝てないんだから」
「………え、その人付与術師ですよね?」
「えぇ」
「剣聖様より強い付与術師………」
二人は思ったよりショックが強かったようで、少し混乱しているようだ。
「まぁ、この話しは迷宮を出た後にでも。そろそろ進もう………ッ!?」
立ち上がろとした瞬間、迷宮が大きく揺れ、地形が変わっていく。コレはまさか……。
「二人とも、大丈夫!?」
「は、はい! 私たちは大丈夫です!」
「それよりもこれは!?」
「……ステージアップよ」
「ステージアップ!?」
「えぇ。だから早くこの場を………危ない!!」
「……え?」
この場を離れようとすると、ルカの足元が崩れ、落ちそうになった。落ちる前に私はルカを突き飛ばした。だが、そのかわりに私がその穴に落ちてしまう。
「ソフィアさん!!」
二人の私を呼ぶ声が遠のいていった。
ルカ「此処まで読んでくれてありがとうね!」
マック「『面白い』『続きが気になる!』『応援してる!』と思ったのならば広告下の【☆☆☆☆☆】からポイントを入れて作品への応援をしてくれ!」
作者「感想なども聞かせて頂けると嬉しいです。其れが、今後も作品を書き続ける強力な燃料となります!」
「「「なにとぞ、ご協力のほど、よろしくお願いします」」」
マック「良かったな、ソフィアさんとパーティー組めて。姉貴、剣聖の大ファンだから」
ルカ「様を付けなさい様を!」
マック「……此処まで来るともう信者か?」
作者「まぁ、後はお二人の自由に……。其れでは次回もお楽しみに!」




