九尾狐 VS 剣聖
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賑わっている商店街。
街の人や観光客が多く訪れる場所で一人の女性が注目を集めている。その男女問わず注目を集めている女性とはステラだ。
ステラは誰もが認める美女。そんな彼女が歩いているだけで周りの視線を独り占め出来るのだ。
「ん〜何処から回ろうかの〜」
ステラはそんな視線など気にしておらず、今、彼女の頭の中には食べ物の事でいっぱいであった。
「どれもこれも美味しそうじゃのう!」
彼女は目を輝かせて屋台を見て回っている。その中で最も気を引いた屋台にステラは足を運んだ。
「店主よ、これは何ぞ?」
「姉ちゃん。アイスが欲しいのか?」
「ほぅ。この白いのはアイスというのか。 ならば店主よ、そのアイスとやらを一つ妾に」
「あいよ」
店主の男は慣れた手付きで器にアイスを盛り付けるとステラに渡す。
渡されると、ステラはアイスを口に運んだ。その瞬間、ステラの表情がより輝き、見えない耳と尻尾が激しく動く。
「ん? 風?」
「ん〜〜♪ 冷たい!そしてこの口に溶けて広がる甘味、最高なのじゃ!」
「気に入ってくれたか。それならもう一個」
「いいのかえ?」
「姉ちゃん別嬪さんだからね、サービスだよ」
「感謝するぞ!」
ステラはもう一つアイスを貰うと上機嫌な表情で屋台を去っていき、そのまま近くの噴水の所まで行くとベンチに座り、アイスを美味しく頂く。そんな時だ。
「ねぇ、其処の綺麗なお姉さん。俺たちと遊ばね?」
複数の男たちがニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべながらステラの周りを囲んでいた。
「………見て分からぬか? 妾は甘味中ゆえ、忙しいのじゃ」
「そんな事言わずにさぁ」
「絶対に後悔させないから、ね!」
男たちは彼女が幸せな時間を邪魔され機嫌が傾くどころか、急降下している事にさえ気付かず、あまつさえステラの腕を強引に掴み取る。その際に、持っていたアイスがステラの手を離れ、地に落ちる。
「あらら〜。 アイスおちゃったかぁ。まぁ、また買えば……ホゲっ!?」
その瞬間、ステラの腕を掴んでいた男が飛んだ。
「え…?」
「………主ら、覚悟は出来てるんじゃろうな?」
「…え、え〜と、すみませ……ギャァァァァ!!?」
男たちの叫びが街中に響き渡ったのだった。
「……気を取り直して次に行くかの」
男たちを軽くボコって少しスッキリしたステラは気持ちを切り替えて次の屋台に足を運ぶ。
「お、あの店の串焼き美味しそうじゃのう」
ステラはまた新たな屋台を見つけると、すぐさま移動し、串焼きを頼もうとする。
「「串焼きを一つ………え?」」
注文が重なった。横を見ると其処には黒髪の美少女ことソフィアがいた。そして、その手にはかなりの数の食べ物が入った紙袋が……。
「なんじゃ、ぬしもこの串焼きが欲しいのかえ?」
「……はい。串焼きの美味しそうな匂いに釣られて。ですが、お先にどう………」
「悪いね、お嬢ちゃんたち。今日、かなり売れて串焼き、あと一つしかないんだよ」
「「え?」」
申し訳なさそうな店主の言葉に再び二人の声がハモった。
「じゃあ、私にください!」
我先にと動くソフィアにステラは待ったを掛ける。
「ちょっと待つのじゃ! ぬしさっきは妾に先を譲ると言ったではないか!?」
「其れはまだあると思ったからで……。だけど、最後の一つと言うならば話しは別! その串焼き、私が貰う!」
「いや、妾じゃ!」
「まぁまぁ落ち着きな嬢ちゃんたち」
一触即発の空気。ちょっとでも刺激すれば爆発するであろう状況で店主は何を思ったのかこんな提案をしてきた。
「……なんじゃ店主よ。何か案でもあるのかえ?」
「此処は武術都市ブンバム。ならば決闘で決めようじゃねぇか」
「ほう、決闘とな?」
「良いの? こんな街中で」
「心配しなさんな。此処では日常茶飯事だよ。其れに、此処ら中の建物は全部そう簡単には壊れない作りになってる」
「……なるほどの。 ぬしはどうするのじゃ?」
「私も其れで構わないわ」
そう言いながら自身の得物に手を置き、構えを取るソフィア。そんなソフィアを見て、ステラは一言「決まりじゃな」とだけ言うと、店主に審判を頼む。
「では、始めようかの」
「………貴方、まさかその扇でやる気?」
懐から扇を取り出すステラにソフィアは尋ねるが、ステラはただ一言……。
「そうじゃが?」
その言葉にソフィアは自分が舐められてると思ったのか、ステラを睨むその目がより鋭くなった。
「……そう。私相手、その扇で十分と言いたいのね。良いわ、絶対に勝つ!」
「始め!」
ワッ!
いつのまにか集まった大衆が沸き立った。
「……行くわよ」
そう言ったソフィアは踏み込み一瞬でステラの横へ移動していた。
(ほう……。中々のスピードじゃな。しかし……)
カキィィィン!
「……主人殿よりは遅いのじゃ」
「ッ!」
鉄と鉄を激しく打ち鳴らすような音が鳴り響く。其れは、ステラがソフィアの剣を扇で受け止めた音だ。
「其れがぬしの得物か」
ステラはソフィアの持つ漆黒の刀身の剣に興味を持ったのか、尋ねる。
「えぇ、そうだけど」
「その形状は東洋の刀じゃな。 ぬしは東洋の出身か?」
「違うわ。この刀は以前に東洋の方に行った時に貰ったもの。 そう言う貴方は違うの? 服装が東洋の人たちが着ていた物にそっくりだし」
「………確かに妾は東洋で生まれたのじゃが、ぬしが考えているのとはちと違う。 まぁ、そんな事はどうでもいいとして、その刀、付与魔法が掛かっておるな。其れも多重に……此れはぬしが?」
「……いいえ、此れは私じゃないわ。でも驚いた、まさか今ので気付くなんて。あの人たちは一切気付かなかったのに」
「まぁ、そうじゃろうな。ぬしは根っからの剣士。この様な複雑な芸当は出来んじゃろ」
「………否定出来ないのが悔しいわね。でも其れは貴方のもでしょ?」
「……やはり気付いておったか」
「……幾度と私の斬撃を防いでいるんだから嫌でも気づくわ」
「此れは貰い物での、特別なんじゃ」
ステラの扇は昨日、宿でジンに渡された物であった。
〜〜〜〜
「なんじゃ此れは?」
ステラは渡された扇を見て首を傾げる。
「……扇だが見た事ないか?」
「其れぐらいわかるのじゃ。 妾が言っておるのは何故、妾にこのような物を?」
「なんでって、お前は今、幻術で尻尾を隠しているだろ? なら下手に使えないその間の防御手段にと思ってな」
「……じゃが主人殿は知っておろう、並大抵の得物では妾に傷一つ付ける事なんぞ出来ん事を」
「だが、痛みはあるだろ?」
「!!」
「其れに、並大抵の武器でって事はお前に傷を付ける事の出来る武器も存在するって事だろ? 其れに武器だけじゃなくても強い奴は沢山いる。 俺は少しでも危険は取り除いておきたいんだよ」
〜〜〜〜
(……九尾狐である妾の身を案じるとは主人殿も心配性じゃの。 じゃが、誰かに心配してもらうなんぞ、初めてじゃった。なんとも不思議な気分じゃの)
ステラは頬を薄く染め、微笑む。
彼女は常に強者。其れは種族間の中でもだった。彼女は種族の中でも異常なまでの力を持っており、彼女に勝てる者など居なかった。故に彼女は退屈していた。しかし、ジンと出会い、長い生の中で初めての敗北を経験した彼女は感じた事のない暖かさを感じていた。
(……だからと言って、ジン君が付与してくれたこの刀の斬撃を受けてもなお斬ることが出来ていない。 この扇に付与した術者はジン君と同等……いやそれ以上かも知れない)
一方でソフィアはジンが付与してくれた刀でも彼女の防御を突破出来ない事に戦慄していた。付与したのが同一人物とは知らずに………。
因みにだが先程から行われていた彼女たちの会話は全て攻防中に行われていたものである。
「スゲェ……。あの子たち、あのスピードの中で会話してるぞ」
「目で追えねぇ……」
「何者なんだ?」
「あんな美人な子たちが俺の串焼きを巡って争ってるなんてな。俺も出世したもんだ! 残念だったな、野郎ども!」
「「「うるせぇ!!」」」
周りの観客たちはその様子に目を丸くする者、自慢する審判とキレる野郎たち。そんな大衆をよそに二人の動きはよりキレが増して行く。
(……驚いたのじゃ。本気ではないにしろ妾の動きを目で追えている。この娘、主人殿の付与魔法があればもしかしたら、妾と互角に戦えるかも知れんな)
「ねぇ、ずっと防御に徹している様だけどなめてるの?」
「……まぁ、少なくとも本気では無いな」
「ムッカァ! いいわ、その余裕直ぐに壊しやるわよ!」
ステラの言葉にソフィアは青筋を立てる。そして、一度ステラから距離を置くと、再び踏み込み一瞬でステラの目の前まで移動し、刃を振り下ろした。
「ハァァァァァ!!」
「またも正面からか……芸がないのう」
ステラはその一太刀を扇の親骨で受けようとする。その瞬間、剣の軌道が変わった。
「ッ!?」
ステラは一瞬で剣の軌道が変わった事により防御が間に合わず、後方に飛ぶ。しかし、刃は目前に迫ってくる。
獲った。そう確信した次の瞬間、二人目掛けて魔法が放たれた。
「「ッ!!」」
ソフィアは後方に飛び、ステラは魔法を扇を開いて風を起こして打ち消した。
「……今の魔法、明らかに妾たちを狙って放たれたものじゃな」
「……えぇ。その様……待ちなさい!」
ソフィアは人混みの中に怪しげなフードを被った奴を見つけるも、其奴は直ぐに姿を眩ませる。
「……逃げられたわね」
「まぁ、逃がしても大丈夫じゃろ。 それよりも勝負はどうなるのじゃ?」
「勿論、続けるわよ」
「じゃな」
二人が決闘を再開させようとすると、審判の店主から待ったの声がかかる。
「……なんじゃ」
「いや〜実は今の爆風で残りの串焼きの材料がダメになっちゃてな……」
「……え?」
「それってつまり……」
「悪りぃな。もう作れねぇ!」
「「ハァァァァァ!!?」」
二人の叫び声が商店街中に響き渡るのだった。
一方その頃、ジンは………。
「…ん?今、ステラとソフィアの叫び声が聞こえたような……気の所為か」
せっせと、鉱山にて鉱石採取を行なっていた。
ソフィア「此処まで読んでくれてありがとう♪」
ステラ「『面白かった!』『続きが気になる!』『応援してる!』と思ったのならば広告下の【☆☆☆☆☆】からポイントを入れて作品への応援をしてくれなのじゃ!」
作者「感想なども聞かせて頂けると嬉しいです。其れが、今後も作品を書き続ける強力な燃料となります!」
「「「なにとぞ、ご協力のほど、よろしくお願いします(のじゃ)!」」」
ソフィア「それよりも今回の勝負、貴方最後まで手を抜いていたわよね?」
ステラ「なんじゃ、悔しいのかえ?」
ソフィア「……当たり前よ。でも次こそ本気を出させて尚且つ貴方に勝つ!」
ステラ「楽しみにしておるぞ」
作者「と、言う事で、また次回もお楽しみに!」




