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12.どらごんは痛いのがお好き?

人外幼女枠。


後、ストックつきてますので更新間隔少々開きます…週1は最低更新する所存…。

「龍…龍だと?」


「お、黄竜さまじゃあ…!」


突如川面を割って現れた金色の巨体にその場の誰もが目を奪われた。

美しくも力強く、神秘的な…そして感じられる膨大な魔力。


「おい、なんだってあんなものが出てくるっ…ここは川の中でも支流…奴の縄張りからは離れているはずではないのか弟よ!?」


「いや、僕に聞かないでよ兄さん…」


ガラン兄弟がそんなやりとりをしている傍では帝国兵達が今度こそ腰を抜かし、中には祈り始めるものまでが見える。


「…どうもこうもあるか、貴様ら人の棲家(縄張り)の真横でどっかんどっかんと喧しいわっ、近所迷惑とか考えてよねっ!?」


……前言撤回、神秘的ではないな。

甲高い声といい女子供が大人に食ってかかる様な喋り方だ。


「……なんだ、コレはメスか??」


「っはあ!?何この無礼なクソガキ!私はねえ、どう考えてもあなたの何倍も長生きしてるのよっ、あと獣みたいにメスって言うな、女の子だから!!」


……長生きしているのに女児とはこれいかに。


「今またなんだか失礼な事考えた顔してるわね貴方…」


「いや?そんなことはあるぞ?」


「あ、そうなのならいいわ…って認めんのっ!?!?」


…頭に血が上りやすいと言うかわかりやすいと言うか…そう言えば配下にもこういう単純な者は何人かいたな、なんとなく憎めない奴だ。


「ああああっ、あんちゃん、あんちゃんやめてくれ、あんたが強いのは解ったが黄竜さまを煽らんでくれぇっ!」


船長に懇願されてしまった。

俺とて鬼ではない、この船がなければ円滑に移動はできんのだしまあ、矛を納めてもかまわないが。

……いや、俺は鬼であったな。


「朱天様、結局どうされるのです?」


むぎゅ、っと。

背後から抱きしめるように朱天に囁いたのは葛葉。

初心なのか大胆なのかわからない奴だな。


「…何故でしょう、こうすると妙に落ち着きます。」


ほぅ、と息を吐く葛葉。


「わ、た、し、を無視、すんな!」


ゴゥ!


その叫びだけで川面は波打ち、二つの船が激しく揺れた。

そして、黄竜の口腔内に灯る金色の輝き。


「不味い、ブレスだ…兄さんっ防御を!」


「チィッ…防げ、大針山の鉄鼠ジャイアント・ニードルラット鉄繭(アイアンコクーン)!」


「弾け…超重星杖(スコピオサクス)…歪曲障壁…!」


唯一残したガラン兄弟が乗る帝国軍船の先端を覆う円錐状に広がる鋼鉄の繭。

さらに軍船周りを包み込む薄紫色の魔力光…重力操作により生まれた斥力場がブレスの衝撃を左右に切り分けるようにして受け流していた。


「ぐ、グギギギ…兄さん、やばい、魔力が底をつく…!」


「堪えろ、堪えるのだ…ふんぬりゃあ!?」


…暑苦しい奴らだ。

対して俺は片手で展開した鬼術で軽々とその衝撃を相殺する。


「なかなかいい一撃だが…鋭さが足らんな、範囲を意識するあまり威力が拡散してしまっている…貴様のその膨大な魔力量なら使い方次第で俺を焼く事も可能かもしれんがーーその様子ではまだまだ研鑽が足らん。」


鬼術、角隠し。

本来の用途は溢れる程ある自身の妖力を隠匿し、周囲を無駄に威圧しない為の保護膜のようなものだが…範囲を広げ、表面に練り込む力の量を増やせば即席の防御の出来上がりだ、無意識化でも働く力ではあるが意識することでその防御は数十倍以上に跳ね上がる。


「な、なにぃ、なんじゃ貴様、なんじゃ貴様!?」


「…驚きすぎてお言葉が短調になってますよ黄竜様?」


葛葉がわりと容赦ない指摘をする。


「…いや、お主おかしいじゃろ、妾、竜じゃぞ、しかも名だたる五行竜の一翼じゃぞっ、そのわりと渾身の一撃を軽々防いどる子供とかいろいろおかしいじゃろーー!?」


「……まあ、朱天様ですからねえ…」


どうも牛鬼を見せて以来アルバ族の一部が俺を見る目がおかしいような気がする。


「……いや、まて、まてまとお主のその額…角…その魔力量に異常な力…まさか、鬼族か貴様!?」


「まあ、鬼ではあるな。」


「そうかーー気が変わった、此度の蛮行本来なら許さないところじゃが…おまえが鬼であるならば特別に許して…」


などと宣いながらその巨体が輝き、人の形へと収束していく。

その姿はどことなく幼さを残した顔立ちに、鱗や体色と同じ金の髪、白磁のように透き通る肌をした幼女だった。

体型は…見事なまでに起伏が無い。


スパァン!


「あ痛ーーって…何をするっ!?」


とりあえず妖力で作り出した平たい棒…坊主どもが座禅とかした時に動いたりした相手の肩を叩くアレの形状である…懲罰棒とでも名付けるか…を使って尻を叩いてやった。


「いや、なんとなくイラッとした。」


「理由軽くないかの!?」


「よしもう一度。」


「ぴっ!?」


思わず尻を庇おうとしたその手を多重展開して作り出した鎖で絡め取り、空中で思い切り懲罰棒を振りかぶる。


「や、やめっ…ぴぎゃあ!?」


バッシィン!スパァン!バチィン!!


次々と繰り出された懲罰棒の連打に涙目で身体を跳ねさせる黄竜。


「痛い、やめろ、あうっ、ひにゃっ、やめ、やめr…やめて、痛っ、な、なんかもうダメ、それ以上は新たな世界が見えちゃ…ッアーーーーーッ!?!?」


数十秒後。

そこには何故か恍惚とした表情で甲板に倒れて痙攣する幼女と、唖然とする船長と馬番がいた。


「い、痛そう…」


「…あんちゃん…文字通り鬼か…」


「……朱天様ですからねえ…」


何故頬を染める、葛葉。


そして、息も絶え絶えにブレスをなんとか防いだガラン兄弟は目の前の光景に大混乱するのだった。


「え、何、この状況…なんで幼女がお尻押さえてアヘッてるの???」


「……なんか黄竜が幼女になったのが薄ら見えていたんだが弟よ。」


「そうだね兄さんどうしよう?」


深く深く、海より深く考えた末に二人が出した結論はーー


「「すいませんでしたーー!!!」」


無条件降伏であった。

さもありなん。


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