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何年歩いたのだろう


英雄になりたいとは思ったが

何をどうしていいか分からず彷徨った


取り敢えず赤い戦士をひたすら探す為に

色んな世界に行った


この先相棒となるピンクのタコと出会ったのもこの頃だった


ピンクのタコと出会った世界は逸脱だった

空は虹色で綺麗だった


俺は世界は俺の種類しか居ないと思っていた

しかしこの世界はタコもいるし

イカもいるしトリもいるしサルもいるし宇宙人もいるし

取り敢えず何でも生き物がいて

で同じように生活していた


言葉は通じなかった時もあったが居心地は良かった

でピンクのタコは俺と同じ言葉を発していた

最初は戸惑ったがすぐに意気投合した 


ピンクのタコは怠けた顔をしている割には

口うるさかった


注意される事もあったが

何かと俺を尊重してくれた


何に注意されて

何に喧嘩したかは全く覚えていない


ただ居心地がよく安心感があった 


この頃の俺ももちろん女に困っていなかった



特定の女とは付き合わず

手当たり次第遊んでた


赤やオレンジ黄色

たまにいくピンクの世界はすごく興奮した


それと同時並行である女性に出会った

頭が良くて俺の知らないことを一杯知っていた 

優柔不断の時がある俺にこっちだと道しるべしてくれ

たくましい男勝りの所もあった

だからどちらかというと俺の方が甘えていた

ただ笑った顔は可愛らしかった


俺は彼女といる時昔の自分でいられる気がした


この虹の世界には戦士になる為の訓練が行われていた


何故かピンクのタコも参加していた


7本の足(本当のタコは8本だったと思う)をひたすら動かし  

何か叫んでいた 


お前どう戦うんだよと心の中で突っ込んだことを今でも覚えてる

案の定ボロボロだった


俺は鍛えあげていた力が認められた

ただ最後の訓練の師匠みたいな面の奴とは

折りが合わなかった


そいつは俺にどうかっこよく戦ってみせるかを強制してきた

でもその戦い方をしていると俺の力が弱まってしまう


最後の訓練に合格出来ないと戦士にはなれない

そんな葛藤の中ウイスキーを飲んでいたら


サルが赤い戦士に会った話をしていた

そのサルが言うには空の向こう側にいるとの事だった


俺はどうしてもそこに行きたかった




















その夜夢を見た


灰色の空の下で少女がオリに入っていた

少女はそのオリから出たがっていた

俺も出してあげようと何とか力尽くでオリを壊そうとしたが

壊れなかった


何度も何度も壊そうとしたが壊れなかった


腹がたった俺は自分の無力さに情けなくて自分を殴った

それを見た少女が滑稽だったのか微笑んだ


その時少女の前歯の隙間に

何か光のようなものが見えた


赤い戦士が来て少女に何か言った 

少女はまた微笑えみ前歯の隙間から小さな鍵を取り出し

自分で鍵を開けてオリから出て行った


安堵はしたが普通気付くだろうと思って赤い戦士を見た

左にはやはり黄色で英雄と彫ってあった













ぱっと目が覚めた


いてもたってもいられなくなり

何故かボロボロの自転車で逃げようとした

その時師匠面の奴に止められたが自然と殴っていた


ピンクのタコがこっちをみつめていた


お前も行くか?と聞くと

行く〜とやる気のない声で答えノロノロと籠にのった


ひたすらボロボロの自転車を漕いだ

どこへむかってもいいか分からなかったが漕ぐことを辞めなかった


ピンクのタコがもっとゆっくり漕いで〜と生意気な声で

言ってきたので俺はゆっくり漕いだ














ふと夜空を見上げた



夜空は真っ黒でピカピカ星が綺麗だった

ピンクのタコもその星が綺麗で感動したのかどうか分からないが

なぜか俺の人差し指に自分の1本の足を絡めてきた


可愛い奴め

これが女だったら…


そう思いながらほくそ笑んだ時



ボロボロの自転車は浮いて空へ向かった


お前何ものやと思わず突っ込んだ

ピンクのタコと俺は笑い合った


夜空に浮いても俺は自転車を漕ぐことは辞めなかった


その時だったと思う

俺の人差し指に絡まりつくピンクのタコを俺は離さないと決めた

お前も俺から離れたく無かったんだろ?


ボロボロの自転車は夜空を登っていった

希望と不安を乗せながら



















俺はこの夜人生で初めて満月を見た。





















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