橙
17歳になった俺はいつものように戦っていた
危ない日もあったけど根性で乗り切った
毎日死んでいく仲間を見た
ただ一番強いと思っていたが
そうでは無かった
いずれ俺はこいつらに殺される日が来るのだろう
そんな予感はしていたが誤魔化して戦っていた
そんなある日俺は人差し指を負傷した
母親の手当てのもと回復はしたが
この世界で一番にはなれないと知った
落ち込んでいた俺に母親が新しい話を持ってきた
名前は忘れたが目に見えない力があり
少しの力で敵を倒せる世界に行く為の試練話だった
一番になりたかった俺はその話にのった
何か強いものを感じ惹かれたのかもしれない
試練は余裕だった
見た目は強そうな堅いのいい奴ばかりなのに
力は弱かった
いや弱すぎた
その後メガネのひょろい奴と話した
黒い服で正装していた
何を話したか覚えていない
質問に適当に返した
結果は不合格だった
よく分からなかったが多分その黒い服の奴に
落とされたのだろう
すっかりやる気をなくした俺は行きつけのバーで毎日飲んでいた
そこは女が沢山いたが男慣れしている女ばかりだった
それが俺には心地よかった
毎日のように通ってた頃一人の女と出会った
俺より年上で髪はロング、スタイルは抜群で綺麗だった
俺の横に座り
紅い口紅をつけた口でタバコをふかした
俺は戸惑いながらも声をかけた
というより誘われた気がした
何を話したか覚えていない
いつも以上にありったけの酒を飲み
ベロベロになった俺は
本能のまま女の部屋に入った
そこで俺は初めての悦びを知った
未知なる世界だった
その時の空は赤と黒が交じりあった
何とも言えない世界だった
何時間たったのだろう
ふと目を開けたとき
黒い堅いの良い男2人が俺の前にいた
相手は戦う気満々で戦闘ポーズに入った
俺も売られた戦いは必ず買っていたので戦おうと思ったが
何故か直感で負けると感じ
初めて逃げた
無我夢中で逃げた
その時沢山の障害物があったが覚えていない
持ち前の瞬発力で上手く交わした
逃げていた矢先行き止まりになった
下をみると何も見えず真っ暗でとても深そうだった
黒い奴らが追いかけてきていた
どうせ死ぬならもうどうにでもなってしまえ
そんな気持ちだったのだろう
あーーーと叫んで下に飛び降りた
その時場面が切り替った
多分夢を見ていたのだろう
灰色の俺が生まれた空よりも薄暗かった
そこにいた子供達の中に1人の少女がいた
酷く痩せており生命力がなかった
黒い大人がパンを配っていた
少女はパンを貰う為に並んでいたが少女の番になると
その黒い大人はパンを与えなかった
少女は脇で悲しそうにしていたが泣いてはいなかった
その時赤い戦士が通り掛かり少女に何か言った
少女は微笑み赤い戦士についていった
俺もついていった
赤い戦士は少女をパンで出来た部屋に連れていった
少女は大いに喜んでパンを一口チギッて食べた
そしてパンの部屋を出て行った
俺ならもっと食べるのに
何なら持って帰るぞと思いながら
赤い戦士を見た
左に黄色で英雄と彫ってあった
そこで目が覚めた
酷くボロボロで立ち上がることも出来なかった俺は
空を見て思った
俺英雄になろう
その時の空はそうだな…
オレンジだった