新たな世界の幕開け
──西暦2098年/国会にて
とある一室にて、閣議が開かれていた。
「総理、このままではまずいです……」
「うむ、そうだな……。では、ゲームを製作するのはどうだろうか」
「ゲーム……ですか?」
「あぁ、そうだ」
日本の総理大臣はそう言うと、ニタリと笑った。
* * *
自衛隊員の数が足りていない。
──現在、政府が懸念している最も大きな事案だ。
世界的な治安の悪化が大きな要因である。
2050年に入り、世界の人口は爆発的に増加していった。
そして世界の各地で始まったのが『飢餓』なのである。
飢えた人々は食料を奪い合い、邪魔する者は排除し、互いに相手を憎み合った。
こんな世の中で自衛隊員に志願する日本国民はいない。
皆平和に暮らしたいのだ。わざわざ死に行くようなことはしたくない。
日本の防衛システムは終焉を迎えていた──。
* * *
総理大臣によると、そのゲームの開発には国力をあげて取り組むらしい。
「ゲームごときで国が変わるか!」
「そんな呑気なことを言っていて大丈夫なのか?」
「国民をバカにするのもいい加減にしろ!」
──各メディアからの評価は酷いものだった。
それでも大のゲーム好きだった日本国総理大臣はやり切ったのだ。
『ゲームの作製に関しましては、只今日本の名だたる企業への参加を要請しております。メディアによる情報の操作は誠に遺憾ですが、我々はこの計画を必ず成功へと導かせる所存であります。以後この計画はゲーム名にちなみまして、 War of Cooperation計画と呼ばせて頂きます』
日本政府主導のFPSが今、始まる──。
[プレイヤー数:国民全員/約9千万人]
[マップ:地球全体/約5億1千万km²]
[ゲーム制作元:日本政府/現代電子遊戯運営省]