生徒会執行部
嫌味なイケメンと本編でもう一人のヒロイン登場
八雲視点
昨夜、天狗党による放火が発生し、学園側は対処として生徒同士が互いに監視をしあい、報告したものには金一封を与えるという御触れを出した。
だがこの御触れでは互いに信用できないと俺がつい口走ってしまうと
?「今の話、もっと聞かせてくれないか? 」
黒髪の女の人が俺に話しかけてきた。
まさか!?この御触れを出したっていう酉居って人の関係者なのかと俺が思うと
?「安心しろ。私もあの酉居という男は気に入らない。だからここで私が君から酉居の悪口を聞いたとしても、『酉居様、この男が酉居様の悪口を言ってました!』なんて告げ口する気はないから安心してくれ 」
八雲「は…はぁ!? 」
一先ず安心した俺はこの人に治安維持法強化について自分なりの意見を話してみた。
?「なるほど、確かに密告というのはよくない 」
八雲「でしょう!なのに… 」
?「だが、綺麗事だけでうまくいかないのが現実というものだ 」
その言葉に俺は反論できなかった。
?「人が人を治めるというのは難しい話だな 」
俺がこの人の言葉に納得していると
?「そういえばまだ名前を聞いていなかったな 」
八雲「あっ!申し遅れました。俺は秋月八雲といいます 」
?「私は… 」
とこの人が名乗ろうとしたその時!
新「八雲ーっ!何やってるのーっ!! 」
ぐっ!!
八雲「新!? 」
新が現れて俺を捕まえてしまった。
そういえば新に飯をおごるんだったっけ!?
新「早くしないと食堂が閉まっちゃうじゃんか! 」
ぐいっ!!
八雲「ちょ…まっ!? 」
新は俺が止めるのも聞かないでそのまま連れていってしまう
だがその時!
平良「私の名は平良、それだけ伝えておくぞ八雲 」
去り際に女の人が名前を教えてくれたんだ。
食堂
八雲「な…何だこれは!? 」
食堂に着いた時、俺は驚くものを見てしまった。
それは…
バァーンッ!!
そこに出るのは漫画でくらいしかない山盛りご飯や大盛定食があったからだ。
八雲「新、これは何? 」
新「んっ?何って新さんスペシャルだよ 」
新さんスペシャルとは大食らいな新のために食堂側が開発したメニューで量は通常定食の三倍なのだがそれでも新からしては腹六分目らしい。
ちなみに量が三倍なので値段も三倍であり、新もお金がある時でないと食べない代物だ。
そして俺がこのスペシャル定食を払わなくちゃいけないんだよね
うぅ…最近色々あったから新の食欲をすっかり忘れてたぜ
新「いっただっきま〜す♪ 」
八雲「いただきます… 」
新が笑顔で定食を食べるなか、俺は安い掛け蕎麦を食べていると
新「あっ!醤油が切れてる!ちょっと取ってくるから待ってて 」
スッ!
新が醤油を取りに席を離れたその時だ。
及川「おっ!やっくんやんけ 」
八雲「及川 」
そこへ一番安いパンの耳が入った袋を持った及川が現れた。
八雲「お前、住む場所無くなったのによく明るくいられるな 」
及川「人生明るくなきゃいかんねんって!それに今は学園側が用意した仮部屋に住んどるからな、あそこは長屋より広いからいいもんやで♪ 」
こいつ、一体今までどんな部屋で暮らしていたんだ?
と俺が思っていると
?「フッ!卑賤(ひせん・社会的な地位や身分が低いこと)な者は食事も卑賤なようだな 」
あきらかに俺と及川を馬鹿にする声が聞こえ
及川「なんやと!!このくそった… 」
ブォンッ…
怒った及川が振り向くと
バァンッ!!
そこには嫌味っぽい感じなイケメンの男がいた。
その男を見た途端及川は
及川「これはこれは酉居様、あなたのような気品あふれるお方がこのような場所に現れるだなんて!? 」
及川はまるで手のひらを返したかのように急にペコペコしてきた。
待てよ。たしか酉居って御触れ書きを出した奴だよな
酉居「たまには卑賤な輩を見物しようと思ってね。それより貴様、さっき私に向かって『くそ』と申したようだな 」
男が及川に言うと
及川「とんでもございません!あなた様をくそだなんて呼ぶはずないでしょう!それより早くしないと昼休みが終わってしまいますよ!? 」
酉居「それもそうであったな 」
スッ!
そして男がこの場から去ると
及川「ケッ!偉そうにしおって!! 」
あの男が去った途端に及川があの男の悪口を言ってきた。
八雲「及川、さっきの男は誰だよ? 」
及川「あいつか?あいつの名は酉居葉蔵。生徒会執行部会計で身分の低い奴を見ると威張る最低な奴や、やっくんも文句があるなら陰で言った方がいいで 」
なるほど、この学園は執行部の権力が強いから誰も逆らえないわけか
と俺が思ったその時だ!
ガシャンッ!!
ガシャンッ!!と音がしたので見てみると
女生徒「す…すいませんでした!? 」
酉居「・・・ 」
女生徒が定食の盆を酉居にぶつけてしまったらしい
女生徒は必死に謝っていたのだが
酉居「この馬鹿者が!! 」
バキッ!!
女生徒「きゃっ!? 」
何と!?酉居は女生徒を殴ったのだった!
酉居「まったく!折角の着物が汚れてしまったではないか、これだから卑賤な者は… 」
酉居は女生徒のことなんか気にせず自分の着物ばかり気にしていた。
それを見ていた俺は我慢できなかったんだ!
八雲「おいあんた!! 」
酉居「んっ?卑賤な者が私に何か用かな? 」
酉居視点
どうやら誰かが私に話しかけてきたようだな
八雲「女の子を殴るだなんて何考えてるんだよ! 」
この男こそ何を考えているのやら?
酉居「私の着物を汚したのだから当然の罰を与えたまでのことだ 」
それが道理だ。
八雲「だとしても注意すればいいだろ!殴ることないだろ! 」
この男は馬鹿なのか?
酉居「貴様は馬鹿か?執行部会計である私に口答えするというのか?私の権力で貴様のような一生徒なんかこの大江戸学園から追い出すことなんて簡単なんだぞ 」
大抵の輩はこの言葉で謝ったりするものだ。
だがこの男は…
八雲「フンッ!俺が馬鹿なら、女の子を殴ったあんたは大馬鹿だよ!! 」
バンッ!!
その言葉を聞いた私は
ガシッ!!
八雲「ぐえっ!? 」
酉居「この私を馬鹿にするとは貴様は相当な馬鹿だな!! 」
私はこの男の胸ぐらをつかんで上げると
ジャキンッ!!
酉居「貴様を執行部侮辱罪で切り捨ててくれる!! 」
刀を抜いたのだ!
新「お待たせ!やっと醤油見つけたよ。って八雲!? 」
誰かが騒いでいるようだがそんなこと気にするものか
酉居「くたばれーっ!! 」
ブォンッ…
そして私が刀でこの男の首を切り落とそうとしたその時だ!
『ちょっと待ちやがれ!』
んっ!?
ピタッ!!
誰かが私に話しかけてきたので私は思わず剣を止めてしまった。
すると
ブォッ!!
『こいつを殺されたら俺が困るんだよ』
この男から鬼の幻影が出現したんだ!
これは幻覚か!?
『もしこいつが死んだら俺がテメェの体をズタズタにぶっ殺してやるから覚悟しやがれ!!』
スゥ…
鬼はそう話すと消えていった。
やはり幻覚だったようだな
私は鬼のことは忘れて
酉居「くたばれーっ!! 」
ブォンッ…
再び刀を振ろうとしたその時だ!
?「酉居君、やめなさい!! 」
ビビンッ!!
誰かが私に向かって叫んできた。
その人物は…
酉居「と…徳河君!? 」
私と同じ執行部の徳河詠美君であった。
詠美視点
まったく騒ぎを聞いて来てみれば
酉居君たら、あの人のような人が居るから執行部は嫌われるのよね
詠美「あなたは執行部としての名誉はないのですか!下がりなさい!! 」
私が酉居君に向かって叫ぶと
パッ!
八雲「ぐえっ!? 」
酉居君は男を離し
酉居「わかりました。これでいいんですよね 」
サッ!
そのまま食堂から去っていったわ
その後
八雲「いてて…!? 」
詠美「酉居君がすまなかったわね。大丈夫? 」
八雲「あ、はい大丈夫です 」
スッ…
そして私が差し出した手を彼がつかもうとしたその時よ
新「八雲ーっ!! 」
ドンッ!!
八雲「うわっ!? 」
突然現れた誰かが彼をぶっ飛ばした。
って彼女は!?
新「もうっ!!八雲の馬鹿馬鹿馬鹿ーっ!!すっごく心配したんだよ!! 」
八雲「ごめんごめん!? 」
新「あっ!そうだ。騒ぎを止めてありがとね詠美ちゃ… 」
パッ!
新「あれっ?さっきまでいたのに詠美ちゃんったらどこに行ったんだろう?厠かな? 」
彼女は私に会いたいようだけど私は会う気はないのでその場を去った。
またね新…
いや、吉音さん