土砂降り
よろめき、躓き、汗ばむ額に手をやって、尚も歩き続けた
汚れたシューズ、破れたジーンズ、擦り傷、かすり傷、それに無頓着
「君は変わったよ」
ああ、あなたがそう言うのならば、僕は変わったのでしょうね
でも僕はまだ、空が好きだ、冷たい風の匂いが大好きだ、誰もいない場所なんてうっとりするよ
ただ、それらはもう、僕のことを愛してくれなくなってしまったけれど
やっぱり、変わったのか――何かが確実に
こうすればこの窮地から逃れられる、そんなイメージはいつも頭の中にある
計画はある、方法はある
確信を持って一直線に走り出せる用意はできている
ただ、そのスタート地点がどこなのか、はっきりしないんだ
僕は分かれ道にいる
これはイメージとは違う
右の道も左の道も、行き止まりかもしれない
もしかしたら、道の幻を見ているのかもしれない
僕はぎゅっと目を閉じたまま、自分に言い聞かす、目を覚ませ
ああ、やっぱりそうか
現実では、僕は濃霧の中に一人ぼっち
切り株の上に腰を下ろして頭を抱え、爪を噛んでいるだけだ
体中に心臓から毒が巡る、だから時々思い切り毒づいてやる
くそくらえだ、大嫌いだ、って
発せられた言葉は、罪悪感に震える喉元に巻きついて
今にも泣き出しそうになるくらい、僕を神経質な気分にさせる
空気が重くなる、もうじき予想外の雨が降る
誰もいない場所にいこう、灰色になってしまった空の下で
太陽はどこにいったのと、冷たい風に問いかけよう
静寂が僕を包む
無意識のうちに、世界のすべてを拒絶していたことを謝罪しよう
このくだらない愚かな罪を洗いながせるものがあるとしたら、今日の非常な豪雨であろう
今は傘も、パーカーのフードも、庇う腕も、必要ない
ただ、切り株の上に腰を下ろして、降り出しと日の出を待つ