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オゼリアプルートの冒険日記  作者: 鳳 翔平
56/59

第55話 冒険者パーティー『水面の月光』

朝。


目を覚ました僕は、庭の様子に思わず笑みをこぼした。


軽やかに追いかけっこをしているメルディとフリード。

それを離れた縁側から見守るメイ・デュアルウィールドの表情は、とても穏やかで。

そのメイを、隣に座るジャニスがジト目でじーっと見ていた。……いや、よく見るとジャニスさん、ヨダレ垂れてますけど? どういう感情なんですかそれ。


……平和だなぁ。


「みんな、朝ごはんにしよう。あとでギルドに行かないとだし」


僕の呼びかけに、全員が自然と顔を上げてこちらに集まってくる。なんだろう、この家族感。悪くないけど、どこかくすぐったい。


リビングに入ると、リシェーラとアンちゃんが朝食の支度をしてくれていた。


「おはようございます、あるじ。勝手にキッチンを使わせていただきましたが、よろしかったでしょうか」


「いや、全然。むしろありがとう」


「この程度、当然です。我々は食事を摂ることもありますが、半分はあるじの魔力で生かされておりますので」


え、マジで? ……ああ、そうか、テイムしたってそういうことか。


スケルトンたちも僕の魔力で動いてるんだよね? 吸われすぎて僕がミイラにならないことを祈ろう。


ーーーーー


朝食を終え、みんなでギルドへ。


姫舞花亭に着くと、すでにクリスさんがいた……って、飲んでます?


「ちょこっとだけよ〜、昨日の打ち上げってことでさ~。にゃはは~」と返す彼女の目の前には、テーブルいっぱいの空き瓶と、グロッキーなライトロッド。


……まだ昼前ですけど!?

それよりクリスさん、ちょこっとの定義をいま一度確認させてください。


仕方ない、気を取り直してマスターも交え、昨日の報告を始める。


・転移先が古代の遺跡で戦場跡地であり、そこに残された大量の遺体がアンデッド化していたこと。

・突如現れた生徒たちに反応したアンデッドたちが暴走を始め、それを鎮圧するために何体かをテイムしたこと。

・その遺跡で生体ポッドから目覚めたチャイルドベースを保護したこと


当然ながら、プロガノの存在や地下のシステムについては伏せたけど、ウソはついていない。うん、完璧。


「本当にそれだけか? なんか隠してることあるだろ」」


マスターの疑いの眼差しに、クリスさんがふにゃっと笑って肩をすくめた。


「冒険者の守秘義務は絶対。それが民間、国家。実害に繋がらない限りギルドマスターであっても追及できない。それがギルドの鉄の掟だと思ってたんだけどな? にゃははっ」


「……まあいい、嘘は言ってないようだしな。で、そいつが保護したチャイルドベースか」


「うん、ボクはメイ・デュアルウィールド」


マスターはジッと彼女を見つめたかと思うと、僕に言った。

「なあオゼリアプルート。こんな事は言いたくないんだけどな...お前デリカシーがないってよく言われないか?」


えっ、何のことでしょう?


えっ、急にどうしたんですか?


「女の子にずっと布一枚の格好させて……いいかげん服着せろ!」


すみません……。


するとマスターが近くにいたティシリアさんに、

「ティシリア! 悪いが、こいつ連れて服と適当な装備買いに行ってやってくれ。支払いはオゼリアの口座で」


ええーっ!?


ーーーーー


「さてだ...お前さんがテイムしたリッチたちについてだが。個人所有としては過剰戦力ではあるような気はするが、まあ問題はない」


ありがとうマスター。良識あって助かる。


「ただ、自立活動させるなら、従魔証明の首輪か腕輪は付けとけよ。あれがないと紛らわしい」


わかりました。でも高いんだよな〜。しかもジャニスにもまだ付けてないし……


何個必要なんだこれ。


指折り数えてると、マスターが興味津々で言ってきた。


「従魔の把握、ちゃんとしてんのか?どれ、ステータス見せてみろ」


はい、喜んで。実は細かいのは自分でも把握してないのでしてないんですよね。

水晶に手を乗せて、ステータス書き出し開始!

便利だよねこの装置。


従魔リスト(固有名あり)


・ギギ:青晶蟲・変異種(戦士)

・ミョニル:コスモサーペント

・フーヨン:神獣・変異種

・フリード:フロストドラゴン

・デュラン:首無し馬

・ジャニス:スペクター(上級魔術士)

・リシェーラ:リッチ(魔剣戦士)

・ルーベン:リッチ(上級魔術士)

・アンミラー:リッチ(盾使い)



従魔リスト(固有名なし)


・インプ(15体)

・ゴースト(6体)

・ホーント(3体)

・スケルトン(105体)

・ワイト(5体)

・スケルトルジャイアント(3体)


……ん? インプとかゴーストとか、知らない名前あるんですけど?


「たぶんジャニス。寝てる間にかわいいのだけ集めて遊んでた」


メルディの爆弾発言!


「ジャニスさん、ちょっとお話が…」

呼び出そうとしたけど、ジャニスは僕の影の中に潜って無言ガン無視を決め込んでいた。ハァ……


「ハッハッハ。洒落のつもりで死霊使いくんって呼んでたのに、そんなにアンデット従えてるんじゃ、名実ともにじゃないか」とクリスさん。


「所でこのワイトって何ですか?スケルトンとは違うの?」


「スケルトンとワイトは似て非なるもの。生前の未練から死体がアンデッド化したのがスケルトンで、死体に死霊系のアンデッドが憑依したのがワイト。だからワイトの方が基本性能は高いし魔法も使う」


「でもスケルトンメイジとかいるよね」


「あれは生前の素質と魂の素養。強い魂ほど上級化しやすい。あと密集した中でだと、共食いで進化する個体もいる」


なるほど博識でらっしゃる。メルディ先生ありがとう。


ーーーーー


「さて、ところで死霊使いくん」とクリスさん。


「冒険者パーティー、組まないの? 毎回急造パーティーじゃ危なっかしいでしょ」


僕もそれは思ってた。


「でもパーティーには人数制限があるから……リッチたちってパーティー枠に入るの?」


「従魔は入らんぞ」とマスター。


「従魔は個人の所有物だからな、人数には含まれない。つまりお前がいるだけでそのパーティーは反則級になるってこった」


なるほど、オプションで上級職が数人所属してるようなものだからね。確かに反則だ。


というわけで、パーティー結成することに。


「メルディは入ってくれる?」


「確定事項。私はオゼリアプルートのものだから」

メルディさん、事あるごとにそのセリフ言うけど気に入ったんですか?あらぬ誤解を生みそうで怖い。


「ボクも当然入れてよ! 保護者でしょ?」とメイ。


「私も面白そうだから参加しようかな〜」クリスさんまで!?


ギルド違うけど、それOKなんですか?

……ルール的にはそんな制約はないらしい。


「そのパーティー、私も入れてくださいよ〜」

うわっ、ビックリした。リアさん、いつからそこにいたんですか。


ともかく、これでパーティーメンバーも決まって再スタート出来そうです。


「おい、登録してやるから早くパーティー名決めてくれ。それとメイの冒険者登録もな」


はいは〜い、とカウンターに小走りで行くメイ。


さて、パーティー名ですか。


「...水鏡の月光(ルナリス)ってのはどうだろう」


「なに、それって自分のこと?自分を種族名にするなんて自信家だねぇ」というクリスさんに、


「いや...このパーティー、なんか色々集まってるからさ。オールラウンズとかよりは良いかなって」


「いいんじゃない?」

「いいと思うよ」

「賛成」


かくして冒険者パーティー『水面の月光』はスタートしたのでした。


「あの~」

はいリアさん、何でしょう?


「オゼリアくんのステータス見ちゃったんですけど…パンケーキくんの青晶蟲はいいとして、ミョニルちゃんの種族がコスモサーペントになってますよ?」


リアさんの指摘に、僕もびっくり。


「え? 本当だ。進化したのかな。呼び出してみる?」


「やめてください! 本物だったらこの建物壊れます!」


それは大げさ……じゃなかった!


街の外で呼び出してみたら、でっかい水蛇。しかも体の中に宇宙が見える? だからコスモサーペントか。

それよりもその大きさ...20メートル以上ある。


なるほど、あの時進化したのはフーヨンだけじゃなかったんだ。そりゃ魔力根こそぎ持っていかれるよね。


さらにギギも、青いクリスタルボディの、腕が4本あるイケメン蟲戦士になってたし。


お前ら勝手に進化しすぎ...

魔力持ってかれて僕が干からびそうです

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