表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オゼリアプルートの冒険日記  作者: 鳳 翔平
5/53

第5話 職業:えーと、なんか、たぶん、全部?

どうやら昨夜はまたしても布団までたどり着けなかったらしく、

今こうして床で雑巾のようになりながら、昨日の出来事を思い出そうとしている。


昨日は、「職業の神様の教会」なる場所に行ってきた。

理由は単純。自分の職業が何なのか、いまだによく分からないからだ。


最初は「冒険者」で通せるかと思ったが、ギルドの受付嬢に

「え、どのクラスですか?」

と聞かれ、反射的に「はい」と答えてから先が進まなかった。


世の中には職業がたくさんある。剣士、魔法使い、盗賊、農民、闇医者、

ツルハシ一筋土木職(※三代目)などなど。


しかし僕のような「なんかよくわからない系」は、ギルドでは対応できないらしく、

「教会で“神託”を受けてください」と紹介状まで出された。


「まさか神頼みになるとは…」

そう呟きながら、ぼくは教会の大理石の階段を登った。



---


「本日はどうされました?」


「あの……ぼくの職業、調べてもらいたいんですが。」


「承知いたしました。では神に祈りを。正しい職が導かれるでしょう」


―というわけで、祭壇の前に正座。なんか背筋が伸びる。


司祭さんが、神様に向かってブツブツ何かを唱え始める。

神様のWi-Fiが弱いのか、しばらく無音。そしていきなり――


「えーと……二刀剣士?……あ、いや、精霊術士ですね……

あれ? 錬金術師? ちょっと待ってください……僧侶も……」


明らかに動揺している。まるでバグった占いアプリのように、次々と職業が出てくる。


「……これは……おかしいですね……」


「なにがです?」


「普通は一つか二つに収まるんですが……あなたの場合、

なんかこう……“いっぱい出てきてよく分からない”感じです」


「それってつまり?」


「職業が、多すぎて混線してます。神様も困ってます。」


そして結論:


「お手数ですが、“ノルズ中央教会”まで行ってください。

あそこならたぶん……たぶん、なんとかなるかと……」



---


ノルズ中央教会。

地図で調べたら、普通に3日はかかる。しかも山越え。


「無理ッ」


ということで、職業問題はいったん保留。

午後はまた、山奥の工事現場で「二刀流による土木技術」修行を再開した。


どの職業かはまだ不明だけど、

ぼくの手に馴染むのは――やっぱりツルハシのようだ。


いや、違うか。これはもう愛かもしれない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ