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オゼリアプルートの冒険日記  作者: 鳳 翔平
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第47話 地下迷宮と聖剣詐欺師(仮)

転送魔法陣がふわりと淡く光ったかと思うと、突然、猛烈な眩暈に襲われて——


気がつけば、僕は石の床の上に寝転がっていた。


……え? 今、何が起きた?


これが噂に聞く“転移酔い”ってやつ?


「やっと気がついたかい、死霊使いくん」


見上げると、遺跡探索者(トレジャーハンター)のクリスさんが、苦笑いでこちらを覗き込んでいた。


どうやらほんの数分気を失っていただけのようだ。その間に彼女は周辺を調べ、明かりの準備まで完了していた。さすがプロ。


「ここは……地下?」


「おそらく、もとの遺跡の真下。地下300メートル付近かと推測されます」


グランの冷静な推定。彼はこういうのに強い。


「ここ、覚えてる。間違いない。基地の地下51階層。わたし、ここで作られた」


メルディが静かにそう呟いた。


この場所——古代魔法王国時代、前線基地と研究所を併設して築かれた、かつての“戦場”。


(そうか……メルディの“故郷”なんだ)


「ちなみに、あたしたちのいた国は南の魔法王国。生体兵器の研究がメインだった。で、グランとブリューは敵国製。北側の魔導兵器国家の産物」


さらりと衝撃発言。マジか。


「ってことは、リアさんのアーデルワイトも……?」


「うん。北側の製品。リアさん自身は戦後世代」


まさかの国家間兵器バトル展開。古代戦争ってスケールでかい。


「とにかく、連絡しとこう」


魔女の首飾りを取り出し、“通信鬼”を召喚。


地上へ、生徒たちがこの地下遺跡に迷い込んだ可能性が高いこと、魔法陣の転移先が古代遺跡の深部であることを報告。


「ブリード、出番だよ。匂いを追ってくれる?」


ワン、と力強く吠えるブリード。よし、頼もしい。


「……あれ? ジャニス、なんか雰囲気違わない?」


「覚えてますか? マスターが“知り合いに頼んでくれる”って言ってた服、届いたんです」


紫の生地に金の縁取り、コウモリをあしらった装飾、黒のマントが揺れる。完全に“アンデッドの女王”仕様。


「似合ってるよ。怖いくらいに」


「褒めても何も出ませんよ〜?」


(言い方ァ!)


準備万端、いざ出発——の前に。


『チョットマッテクダサーイ!』


……ん?


バチィン!と光が走り、遺跡の一角に金髪の異国人が出現。


「クリスサン、ヒドイデース! 未来ノ旦那ヲ置イテクナンテ!」


「お前が未来でも現在でも旦那になる予定は一切ない!!」


現れたのは、白雪姫亭所属のSランク魔術士、ライトロッドさん。

雷の使い手で字名は『雷帝』。自称「聖剣ライトロッドの創造主」。胡散臭さ、MAX。


「サテ、皆様ノ安全ノタメ、破邪結界ヲ……」


「バカぁぁああああッ!!」


クリスさんの伝説の“ツッコミアッパー”が火を吹いた。


「使い魔見えねぇのか! 破邪結界なんて張ったら、浄化されるっつーの! 味方を即死させてどーすんの、あんたはッ!」


ライトロッドさん、黙って昇天。


そのまま5分ほど、漫才のようなボケとツッコミの応酬。


メルディが僕の袖を引っ張ってきた。


「夫婦漫才は放置で、先進む」


あ、はい。


迷宮探索、再開。


途中で追いついてきた漫才コンビも合流し、クリスさん、メルディ、僕、ブリード、ジャニス、ライトロッドの6人パーティに。


メルディの記憶を頼りに、僕らは迷宮を進んだ。


61層、62層、63層……


途中、雑魚アンデッドが湧いてきたけど、ジャニスの“死霊支配”が発動。


もはや敵というより、かわいいペット。まさに“ゾンビカフェ開店”。


「今日はこの辺で打ち止めだな。明日に備えよう」とクリスさん。


了解。時計を見ると、針は射手座を過ぎて、山羊座にさしかかる頃。つまり、20時半。


「そりゃ腹も減るわけだよね」


「でも、生徒たちはもっと空腹かも」とメルディ。


「それにしても、変じゃない?」とクリスさん。


「こんな装備なしで、あの生徒たちがここまで来れる?」


ジャニスが続ける。


「途中、新しい松明の燃えかすが落ちてたわ。最低限の装備、持ち込んでたのかも」


……ということは、あの魔法陣を事前に知っていた?


まさか、生徒たちが最初からここへ来る計画だったとか?


「さらに下層には“死の罠”や強制転移魔方陣が存在。ただし、今は機能停止している様子」


「基地の入口は65層にあるけど、侵入者を誘導するために64層には見張り役のゴーストがいる」


メルディの記憶、ほんとに頼りになる。


「よし、まずは腹ごしらえ!」


ギルド特製弁当を“魔女の首飾り”で呼び出し。便利すぎる。


「それ、私も欲しいなー」


「やめとけ。壊れたら終わりだぜ」とブリュー。


『欲しけりゃ紫色の水晶玉を探しな。“紫竜の水晶”アイテムを収納できて、そのなかじゃ時間も止まる優れものよ』


「……あれ? それなら、私、家に飾ってるかも」


マジで?


なんかすごい話をしながら、弁当をかっこむ僕たち。


明日もハードな探索が待っている。今のうちに寝ておこう。


おやすみなさい、地下迷宮。


(明日こそ、生徒たちを見つけて帰ろう)

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