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オゼリアプルートの冒険日記  作者: 鳳 翔平
41/59

第41話 ある冷え込んだ朝

秋が深まるにつれて、じわじわと寒くなってきた。


特に朝晩。空気が肌に刺さるような、あの感じ。


……こうなると、なぜか布団のささやきが聞こえるようになるんだ。


朝、目を覚ますたびに耳元で――


「布団の外は寒いよ~」


「どう? ここはあったかくて気持ちいいでしょ?」


「もっと一緒にぬくぬくしようよ~、ほら、ねぇ、お願いだから」


……こいつ、喋るだけじゃない。


最近じゃ「眠りの魔法」まで覚えやがったらしくて、


結果、今日も昼過ぎまで意識を布団に封じられていた。


完敗だよ、もう。


気を取り直して着替えて下に降りてみると――


暖炉の前で、例の二人(?)がのんびりしていた。


いつの間にか我が家に居座ることが確定したメルディーと、


もはや犬扱いに疑問を抱く余地もなくなってきたブリード。


「あー……腹減ってないか?」


僕がそう尋ねると、


「……空腹……」


「ワウ~ン」


と、揃ってテンション低めに返事してくる一人と一匹。


……何か作るのも面倒だったので、今日は姫舞花亭までご飯を食べに行くことにした。


たまには、ね。


で、食堂で耳にした話――どうも最近、山の方で「雪の精霊」がずいぶん騒いでるらしい。


もしかすると、明日あたりこの辺にも初雪が降るかもしれないって。


なるほど、寒いはずだ。


そろそろ本格的に冬の支度を始めなきゃな。


ということで、木材屋へ行って薪の丸太を買ってきた。


ギギに荷車を引かせてね。


こういう時、獣魔術ってほんと便利。


で、大きめの丸太を5本ほど買い込んで、家まで引いて帰ってきたら――


ちょうど玄関先でメルディーとブリードが遊んでいた。


「おーい、メルディー。巻き割り手伝ってくれ」


そう声をかけると、メルディーはこくんと一つうなずいて、


家の中から――身の丈以上ある戦斧を、ずるずると引きずって持ち出してきた。


……いや、それ出す!? しかも片手で!?


「……これ、全部割るの?」


「う、うん。できる?」


「……危ないから……離れてて」


言い終わるやいなや、彼女は丸太を一つ空中に放り投げ――


その丸太が地面に落ちるころには、綺麗な“薪”に変わっていた。


ぱっかーん。


しかも、その斧を……片手で、ひょいって……。


……これはもう、なにかの武道だよね。技じゃなくて、力の暴力的進化だよね。


教訓:腕力でメルディーに勝てる日は、来ない。


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