第36話 月の鏡に映る者
「……あなたは“人間”です。ですが同時に、“人ならざる者”でもあります」
静かながら、深く響く声だった。
3人の司祭たちは、ボクの前に立ち、まるで預言を告げるように言葉を紡いでいく。
「本来、あなたは人として生まれるはずのない運命のもとにありました。
その血筋を辿っても、魂の系譜を見ても……“そうではない”と、明らかなのです」
(え……?)
「けれど、あなたは“人”として生まれてしまった。
その影響により、あなたの魂の中には――一枚の『鏡』が生まれてしまったのです」
「……鏡?」
「その鏡は、あなたの瞳に映る“他者の技能”を写し取り、
そして、自らの力として“昇華”してしまう……そんな性質を持ちます」
(……あっ)
「思い当たること、ありませんか?
見よう見まねで出来てしまったことや、ちょっと教えられただけで出来るようになったこと」
(……ある。めっちゃある)
「それこそが、かつて古の時代――“感応者”と呼ばれた者たちが持っていた特性。
あなたの“種族”なのです、オゼリア=プルート」
「……“感応者”……」
「純血の感応者は、すでに滅びた種族です。
ですが、幾重にも重なった偶然が、再びその血を呼び戻したのです」
「感応者は、職業に制限がありません。
なぜなら、どんな特殊技能でも“見る”だけで身に付けてしまうからです」
「現にあなたは、“魔法剣士”でもないのに、“魔法剣”の技を使っている」
「……あれって、やっぱりおかしかったんだ」
「ただし、それは強大な力であると同時に――制限でもあります。
“見なければ”、身に付かない。目にすることのない技術は、永遠に習得できません」
「だからこそ、感応者のための“特別なクラス”が存在するのです。
それは“職業”というより、“称号”に近い」
「古の人々は、水面に映る月の姿を“鏡”に例えました。
そして、その能力を“月の鏡”と呼び――」
「それを持つ者たちをこう呼んだのです――“ルナリス”と」
(ルナリス……)
「それが、あなたのクラスです。
そして“ルナリス”に、レベルは存在しません」
「どんな上級スキルでも、“見るだけで”会得してしまう者に、レベルなど意味を持たないからです」
(すごい……いや、すごすぎる。なんだこれ、チートすぎる)
「オゼリア=プルート……
“魔剣”と“魔槍”を携え、
“魔獣”と“神獣”と“精獣”、
そして――“竜”を従える者よ」
(……え?)
(魔剣がブリューで、魔槍がグラン……
魔獣はギギ? 神獣と精獣は……フーヨンとミョニルか?)
「……あの、すみません。“竜”って……何ですか?」
「あなたが連れている“雪狼”。
あれこそ、白銀の王――フロストドラゴンの系譜を継ぐ“竜の子”です」
「えええええっっっ!!???」
(あのワンコ……いや、ブリード。
まさか、狼だと思ってたのに、竜だったなんて……)
(……でも、よく考えたら竜の方がカッコイイな。うん、全然OK)
「それでは、あなたの“冒険者証”をお出しください。
運命の記録を刻みましょう」
目の前で、冒険者証が光に包まれ――情報が書き換えられていく。
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冒険者証 明細:
名前:オゼリア=プルート
性別:男
種族:人間・感応者
職業:ルナリス
レベル:――
冒険者ランク:総合B(陸B・海C・空C)
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「……あれ? “年齢”が“――”のままなんですけど?」
「それにつきましては……申し訳ありません。
私たちの力をもってしても、あなたが“いつから存在していたのか”が判別できないのです」
「……ま、まあ、年齢なんてどうでもいいか。若く見えるし」
(どうやらボクは、本当に“ただ者”じゃなかったらしい……)
でも、なぜか――
心は、いつものように静かだった。
いよいよこれから、何が始まるのか。
ボクの“運命”が、ようやく姿を見せ始めた気がした。
お気づきの方もいらっしゃるだろうか?
最近登場してきたブリード。
実はこの元ネタになっているのは、『フォーチュンクエスト』の『シロちゃん』です。犬にしか見えないけどドラゴンって設定がそのままですよね。
でも大丈夫です。
言葉を話したり「わんでし」なんて鳴いたりしませんので(笑)
プロットなし。その場の思いつきで書き足して行っています。
どこまで行けるか分かりませんが、不定期更新していきますので
温かい目で見守った下さいませませ。




