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オゼリアプルートの冒険日記  作者: 鳳 翔平
34/59

第34話 雪狼と福袋と、明日

今日も……うん、何もない。


買い物は昨日まででだいたい終わっちゃったし、

街を歩けば掘り出し物の一つや二つあるんだろうけど――


正直、外を出歩くのもだるい。


てなわけで、今日は宿でブリードとまったり遊んでました。


「それにしても……お前って、ほんと犬っぽいよな」


「ワン!」


(ヒャッハー、坊主、もしかしてだまされて犬買わされたんじゃねえのか?)


「そんなことないってば」

「……ね? ブリード、自分は犬じゃなくて“雪狼”なんだよな?」


「ワン!」


(俺様には“そうです~ぼく犬です~”って聞こえるがな)


そこにふらりと現れたメルディー。


「……犬」


「だから犬じゃないって、雪狼だってば」


「ワン!」


その声に、メルディーの無表情な顔が――

ほんの、ほんの少しだけ赤くなった気がした。


「……もしかして犬好き?」


返事の代わりに、メルディーは無言でしゃがみこむと、

すっと右手を差し出して、


「……お手」


「ワン!」


見事なまでの完璧な“お手”。


その瞬間、普段はどこまでもクールなメルディーが、

ちょっとだけ口元をほころばせて、静かにじゃれはじめた。


……いやいや、メルディーさん。

無表情なのに、めっちゃテンション上がってるのバレバレですから。


さて、ふと気になって――


「そういえば昨日の“福袋”、中身まだちゃんと見てなかったな……」


袋の中から出てきたのは――


① サビついた短剣

② 趣味の悪いペンダント

③ 変な装飾の鏡


「……福袋って、こういうのが正解なんだっけ?」


まずは短剣をグランに見せてみる。


(ただのナイフにも見えますが……持ち手に何か文字が。

これは古代魔法王国の文字ですね。“R……US……T”)


そのとたん!


「おい坊主っ!! 早くそいつをしまえ!!」


ブリューが突然騒ぎ出す。


(そいつは“アーマーキラー”だ。金属を腐らせる魔法武器!

対鎧系モンスターには滅法強いが、近づけるだけでこっちも危ねぇ!)


「……なるほど、取扱注意っと」


続いてペンダントを取り出す。


(そいつは“転送ペンダント”だな。魔女たちがよく使ってた魔道具さ。

裏側の魔方陣と、倉庫なんかに描いた対の魔方陣がつながる仕組みだ。

家の裏にでも描いておけば、遠くから荷物の出し入れができるぞ)


「へぇ……めっちゃ便利じゃん。それこそ、リアさんに頼めば……」


(あのビックリねーちゃんにな)


最後に鏡。


(それは“アマルガムの魔鏡”だ。

映した二つの魔具を、一つに融合させることができる魔道具だ。

ただし出来上がるものは運任せ。

時にはとんでもねぇ代物が生まれる時もあるから、賭ける価値はあるぜ)


「ブリュー……お前、意外と物知りだよな」


(それ、遠まわしに“バカだと思ってた”って言ってねえか!?)


……まあ、ブリューにしては、よく頑張ってくれたと思う。


そんなやりとりをしていたところに、宿の扉がノックされた。


「失礼いたします。中央教会の者です。

司祭様が本日、お戻りになりました。明日の朝、参詣をお願いします」


……来た!


やっと! やっとだよ!


ようやく明日、ぼくの“正体”が明らかになる日が来る――


少しだけ、胸が高鳴った。


(……いや、かなりドキドキしてるかも)

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