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オゼリアプルートの冒険日記  作者: 鳳 翔平
32/59

第32話 運命の扉は、まだ開かない

――昨晩は、ほとんど眠れなかった。


緊張していたのか、期待していたのか、それとも――

少し怖かったのかもしれない。


いよいよ“ぼくの正体”が明らかになる日。

窓から差し込む朝日が、目覚まし代わりに部屋を照らす。


ここは“教会都市ノルズ・グニル”。

教会都市の名にふさわしく、街の中心には巨大な聖堂がそびえ立っていた。


その中央教会には、「過去」「現在」「未来」を司る三柱の女神が祀られていて、

それぞれの神官や司祭たちは、その加護を受けながら旅人たちに助言を与えている――


……と、看板に書いてあった。はい、情報源はそこです。


ぼくが向かうのは、その中でも“現在”を司る女神「ベルダンディ」の神殿。


ここで、自分の正体を“鑑定”してもらう――

そのために、ぼくはここまで来たんだ。


受付の神官に案内され、荘厳な空気に包まれた部屋で数分の沈黙。


……そして返ってきた言葉は、


「申し訳ありません……あなたは、非常に特異な運命をお持ちのようです。

わたくしの力では、その“本質”を読み解くことができません」


えっ。


「現在、司祭様は巡礼に出ておられます。

戻られるまでの数日、この街に滞在していただけませんでしょうか」


……まさかの、足止め展開。


とはいえ、ここまで来たのだから待つしかない。


ぼくは宿の名前を告げ、神殿を後にした。


――さて。せっかくなので、今日は街をぶらぶら散策。


ノルズ・グニルはその名の通り、教会の力が強く影響している街らしく、

聖なる御守タリスマンや護符、聖光属性の武具が所狭しと並んでいる。


「これは……物欲センサーが刺激されまくるなぁ……」


でも金がない。

うん、現実はいつも厳しい。


そんな中、ふと目に留まったのは――


『聖女のぬくもりと称される絶対護符!

炎にも氷にも負けないタリスマン《乙女の護り》――55,000GP!』


「おおぅ……」


見るだけで財布が逃げ出しそうな価格。


「さすがに無理か~」と諦めかけたその時。


「そこの兄さん。その耳につけてるイヤリング、

両方で10万――いや、15万GPで売らないかい?」


唐突に話しかけてきたのは、露店の店主風の男だった。


「……え? これが15万!?」


「その宝石、“氷の涙”って呼ばれててな。

北海に棲む氷の人魚が流した涙が宝石になった、超レアモノだ。

見たところ、2つ揃ってるのは本当に珍しい。コレクター垂涎ってやつだ」


「えっ……そ、そうなんだ。なんか昔から身につけてたやつで、

デザインが好きだから……ってだけだったけど」


(主、それ、たしかリアさんが“似合うから”って耳に押し込んできたやつでは?)


「あ、そうだったかも」


店主はにやりと笑いながら、畳みかける。


「で、どうする? 本気で買い取りたいんだが」


「……じゃあ、お願いがあります。

この《乙女の護り》、おまけでつけてくれたら、売ってもいいよ」


「……おまけ!? ……チッ、商売上手だね兄ちゃん。わかったよ、乗った!」


そんなわけで――


イヤリングと引き換えに、ちょっぴりお金持ち&憧れの護符ゲット!


「よしっ、これで明日は武器屋と防具屋めぐりだな!」


(ヒャッハー、オレ様にピッタリの黒いフルプレート頼むぜ!)


(主よ、私の柄に合う洗練された銀細工なども――)


うん、まずは値段を見てからな。


明日は買い物。

明後日は……いよいよ、鑑定の続きだ。


ぼくの運命は、どんな形で明かされるんだろう。

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